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2006/08/26
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カテゴリ: 恋愛小説(連載)
【「きっと、二人なら…」を最初から読む】 【目次を見る】

 その夜。梓は病院のパジャマから、私服の白いワンピースに着替えると、いまだテーブルの上に置きっぱなしにしていた貴子からの花束を手に病室を出た。
ナースステーションの窓口の前に立ち
「このお花、よかったら詰め所に飾って頂けませんか?」と花束を差し出す。
すると、髪を一つに束ねた中年の看護士が
「でも今宮さんこれ、お見舞いに頂いたものなんでしょう?」と当惑気味に尋ねてくる。
梓は無理やり笑顔を作って
「いいんです。どうせ花瓶もないし。もらってください」と半ば押し付けるようにして看護士へと手渡すと
「それじゃ私、ちょっと一階までジュース買いに行ってきますので」と告げて足早にその場を後にした。


 エレベーターで一階まで降りると、梓は自動販売機のある方角とは全く逆の方向へと向かって歩き出した。
広い待合室に並ぶたくさんの長椅子を横目に、正面玄関を目指す。
受付時間の終了した人気のない暗い待合室を抜けて、玄関の自動ドアをくぐった。
真夏の7時半はまだ薄明るく、西の空には濃い紫色を残している。
 梓は最寄のバス停でやってきたバスに乗り込むと、人の多い車内でつり革に掴まり立っていた。
あまり食事を摂っていないせいか、軽く人に押されるだけでフラフラとよろめいてしまう。
するといきなり、腰に腕を回されてそのまま何者かに引き寄せられた。
「えっ!?」
突然のことに梓が驚愕して目をしばたかせていると、
「あんた可愛いな」と言う男の低い声が頭上から降ってきた。
はっとして声のした頭上を見やると、二十代半ばほどだろうか。黒いサングラスをかけた茶髪の男が怪しげな笑みを浮かべて彼女のことを見下ろしている。

恐る恐る細い声で梓は訴えたが、男はそんなこと聞く耳持たないと言う様子で更に彼女のことを引き寄せると
「ねぇ、これからどこか行くの?」としつこく声をかけてくる。
恐怖のために言葉を失った彼女のこめかみからは冷や汗が静かに流れ、その細い指と踵は小刻みに震えていた。
「せっかくだからさぁ、俺とどこか行かない?」
震える梓の肩を抱きながら男が言う。

「すみませんが、俺の彼女に妙なことしないでくれます?」
聞き慣れた声と共に次の瞬間、梓は誰かの手によってヤクザ風の怪しい男の腕から救出された。
~To be continued~




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最終更新日  2006/08/26 10:11:08 PM コメントを書く


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