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2006/09/11
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ひどく蒸し暑い真夏の明け方、きなこは不思議な夢を見た。
こんなにも暑い時に見ている夢にも関わらず、夢の中の季節は正反対の真冬で、その上しかも雪まで舞っていた。
「おぉ・・さむ~!!」
 きなこが震える腕を自分でさすりながら窓辺へ歩み寄ると、庭の木々は薄っすらと白く色づきつつあるのだった。
こんな雪の降る仲、これから祖母は親戚の家まで出かけると言う。
きなこは窓から離れ、今まさに玄関を出ようとしている祖母の元へと走った。
玄関には祖母を見送るべく、家族全員が既に集合していた。
「おばあちゃん、雪がひどいから滑らないように気をつけてね。
ほんとは行くのやめた方がいいと思うんだけど…」

けれど彼女の祖母は、これくらいの雪なら大丈夫だと言葉を返して、淡い紫色の傘を差すと歩き出した。
他の家族が皆「行ってらっしゃい」と笑顔で見送る中、きなこだけは祖母のことが心配でならなかった。

 いまいちすっきりしない心のまま私室に戻ったきなこは、突然例えようのない睡魔に襲われ畳の上に横になった。
当然季節は真冬のため、何もかぶらずに横になれば寒いに決まっている。けれど押し寄せる睡魔には勝てない。
そうして寒さに震えながら畳みに横たわっていると、何者かがそっと毛布を掛けてくれたのだった。
きなこは睡魔を追い払うかのように必死で重い瞼を開くと、ゆっくりと身を起こした。
するとそこには、彼女を心配そうに見つめる見知らぬ美しい青年の姿があった。
彼は穏やかな笑顔で彼女の片手を取ると
「手がとても冷たいですが、大丈夫ですか?」と問うてきた。
イケメンからいきなり手を握られると言う普段絶対にありえない状況に直面したきなこは、あまりの動揺に言葉さえ失い呆然と彼の顔を見つめていた。
「あの、大丈夫ですか?」

そこできなこは、ある重要なことに気が付いた。
それは、先ほどから自分に問いかけてくるこの青年の声が、まさしく 『ちび○る子ちゃん』 の登場人物の一人である 丸尾君 のものであると言う事実だった。
だとすれば、この青年が丸尾君の声優さんなのだろうか…?

などと色んな想像がきなこの脳裏を駆け巡った。
 けれどそうやってきなこが無言なことを心配したのか、青年は更に「どうされました? 大丈夫ですか?」と優しい言葉を掛けてくる。
イケメン男性と密室に二人っきりと言う息の詰まりそうな状況に耐えられなくなった彼女は、
「すっ、すみませんっ!」とだけ言い残して猛ダッシュで部屋から逃げ出した。
そして二階の別室に駆け込むと、ほっと一つ大きな溜息を逃がした。
いまだ、初めて恋をした少女さながら胸は激しく高鳴り、心はときめき フワフワと弾んでいた。
と、そこで夢から覚めた--。

 朝にも関わらず、まとわり付く湿気が非常にうっとうしく、きなこは汗びっしょりの状態で布団から身を起こした。
「あぁ…変な夢だったぁ…;;
まさか丸尾 末男にときめきを覚えてしまうだなんて…終わってるわ私」
流れる滝汗を拭いながら、きなこは苦笑した。
それに、丸尾君の声をされている声優さんはそれほど若い人ではない。
そこからも分かるように、彼女の見る夢には何の根拠もないのである。
けれどその日見た夢がきっかけで、きなこはZガンダムの劇場版を観たいと言う激しい欲求に駆られることとなる。
「おぉ、カミーユ!」
~おしまい~




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最終更新日  2006/09/11 08:27:09 PM
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