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2006/09/13
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カテゴリ: 恋愛小説(連載)
【「きっと、二人なら…」を最初から読む】 【目次を見る】

「早川もさぁ、いつも俺に気 遣ってくれるんだよな…」
「え?」
「あいつ、俺が貴子のこと好きだって知ってるから、いつも気きかせてくれてさ。
もう気なんて遣わなくてもいいのにな。俺と貴子はもう…友達に戻ったんだから」
 夜風が貴子の髪をさらい、街路樹の葉をザワザワと鳴らす。
彼の口から出た『友達』と言う言葉が小さな棘となり、彼女の心の奥深くに突き刺さる。
--あぁ、そうなんだ。私達は友達…。
 心が…痛い。

どうして、どうしてこんなにも、彼が遠くに思えるのだろう…。
「早川に伝えておいてくれるかな? もう気は遣わなくていいからってさ」
 そう言うと純は爽やかに微笑んだ。
「うん。伝えておくね」
 貴子も何とか笑って見せたけれど、本当は泣いてしまいそうだった。
--バイト先でドジをしてしまった自分を助けてくれた彼。
初めて二人で行った水族館。
両想いに気づいたあの夜。
時の記念日に生まれた彼--。
幸せだった。心から幸せだった。
彼と出会ってからと言うもの、何もかも至福に満たされていて…周りの景色全てがきらめいて見えた。

 彼の優しい笑顔も、耳に心地良い涼しげな声も、この切ない想いさえも、いつか時が経てば…全て思い出に変わるのだろうか…。
「桜井君…?」
 細い声で彼の名を呼ぶ。彼がこちらへと顔を向けた。
ありがとう。幸せだった…。
そう伝えたかったけれど、切なさと寂しさで喉の奥が詰まり、結局開きかけた唇を再び閉ざした。


「そんじゃ、また明日な!」と、尚吾が振り返って手を振ってきた。
彼の自宅の方向は、貴子達三人とは全く逆の方向なのだ。
「あぁ、また明日な。言い出しっぺが忘れんなよ!」
 からかうように唇の端を持ち上げて見せると、純はそう言って彼へと手を振りかえした。
「気をつけて帰ってね。また明日!」
 貴子も笑顔で手を振る。数メートル先の方で、亜紀も同じように尚吾へと手を振っていた。
 歩行者信号が青へと変わると、尚吾は早足で横断歩道を渡りきり、もう一度だけ振り向いて軽く手を振った。
「三坂くーん、明日お見舞いの帰りにバナナパフェよろしくー!」
 亜紀が満面の笑顔で、道路を挟んだ向こう側に立つ尚吾へと甘えたような口調でそう言うと
「あぁ、分かってるって。その代わり、夜はたのんだからな」と、尚吾もまた笑みを浮かべる。
「任せといて」
亜紀のVサインを確認すると「んじゃまた」と言って、尚吾はヒラヒラと手を振った後歩き出す。
彼が曲がり角を左に折れて、その背が夜の闇に消えた頃、三人も再び歩き出した。
~To be continued~




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最終更新日  2006/09/13 08:01:26 PM コメントを書く


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