大事にしたいもの
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4年前の今ごろ、息子が大学入学のためにひとり暮らしするアパートへ引越した。家具や家電は買い揃え、家からは数箱のダンボールを送って、息子と私はアパートへ向かった。届いた家電のコンセントをつないだり、家具を組み立てたりして、ひとり暮らしの部屋がだんだんできあがっていく感じがした。息子は期待と緊張が入り混じった感じの様子だった。翌日荷解きもほぼできて、昼頃に「じゃあそろそろ帰るわ」と息子に伝えた。最寄り駅のビルの最上階のレストラン街で一緒にお昼を食べた。何でもない会話をして、エスカレーターで何階か下ったところで、「じゃあここで」と別れた。あの時、自分はできるだけさり気ない感じで言ったつもりだったけど、息子の目が少し潤んでいたような気がして、あれでよかったんだろうかと後で考えた。休みのたびに帰ってくるだろうと思っていた息子は、正月くらいしか帰ってこなかった。緊急事態宣言がでていた時期もあったし、部活で忙しかったこともあった。部活のSNSを通じて、楽しそうに大学生活を送っている息子の姿を確認した。元気な様子を見ては安堵した。4年間のうち、何時間一緒に過ごせただろうか。この春、息子は大学を卒業し、社会人になる。会える時間はもっと少なくなるだろう。あの日、ちょっと旅に送り出すような気持ちでいた。でもそれが巣立ちの日だったのだと、今になって知る。
2025年03月29日
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