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2011.10.19
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カテゴリ: 石川県の民話 伝説
石川県の昔話 一厳洞 

[一厳洞]

[参考:白山の伝説より]


誰でもこの世でたった一人の人の心を救うことができたら極楽へ行くと言われています。しかし、たった一人でさえ心から信頼を得るのは難しく、なかなかできることではありません。

むかしむかし、白山開祖泰澄大師(たいちょうだいし)のお弟子に、一厳(いちげん)という方がいて、福井県越知山(おちさん)山頂で厳しい修行をしておりました。泰澄大師はその修業の姿勢を見て、この者こそ、わしのあとを継いで人の役にたってくれるであろうと、大変目をかけていました。

都の天皇の大きなお祈りに泰澄大師が呼ばれた時、大師は一厳を連れていこうとしました。ところが一厳、
「大師様、私はまだまだ修行が足りません。どうか今しばらく修行をさせてください。」
と断り、その後洞窟へ入って出てこなくなってしまいました。

ある日のこと、修行中の一厳のもとへ、もじゃもじゃの白髪で気味の悪い顔のじいさんが一人訪ねてこう言いました。
「おい、坊主、そんな修行をして何になる。いつかうまいもんが食えるのか。」
「私はうまいものなどいりませぬ。」
「じゃあ、何がほしい、金か名誉か。」
「私は金も名誉もいりませぬ。人の世が正直で、他人にやさしく、笑顔ばかりの世界になればと願っております。」
「わっはっは。だいぶあの泰澄というやつに狂わされとるの。どこにそんな世界がある。ぜひとも見せてもらいたいもんじゃ。自分が食うて遊んで楽しんだものが勝ちじゃろう。お前のウソなんぞなんのためにもならんわい。どうれ、そんな人を惑わすウソつきは、わしが退治してやろうかの。」
そのじいさんはそう言うと、ふいに目玉がぎょろつく不気味な竜の頭に変わり、バカリと赤い口を開け、一厳をひと飲みにしようとしました。ところがその時、バッと一厳の体からいくつものまばゆい光が飛び出し、周りを取り囲んだのです。その中には天上界に住み、すべての竜を従える竜王の姿も有りました。
その竜はひどく驚き、すぐに前のじいさんの姿に戻り、二三歩あとずさり、一厳の姿を拝んで言いました。
「これは大変なことをしてしまいました。まさか竜王様までついておられるとは。どうかお許し下さい。もしや、もしや、あなた様なら私を救うお力が有るかもしれません。じつは私は遠い昔、人でありました。悪行を重ねているうち、とうとうこんな身になってしまいました。今でも悪いことがしたくて心がうずいて仕方がありません。そうして長い月日のうちにウロコの中に悪い虫が住みつき、身を噛んで私を苦しめます。どうかどうかお助け下さい。」
竜は涙を流して一厳に訴えます。一厳はあわれに思ってこう言いました。
「竜よ、すぐに助けてやりたいが、私はまだまだ修行が足りんのだ。だが、お前が本当に助かりたいと思うなら、今までの悪事と、それによって悲しんだ人々の全てを思い出してきなさい。」

それからひと月ほどしてまたあのじいさんが現れ、一厳の前にはいつくばってこう言いました。
「あれからたくさんの悪事とそれによって悲しんだ人々を思い出してきました。ひとつ思い出すごとに、恥ずかしさと悲しんだ人々の顔が目の前に現れて身がよじれるほどでした。しかし、そのつどウロコの虫が一匹ずつ消えてゆくのです。今ではだいぶ身も軽くなり有難いかぎりです。この上は、私も修行をしたいと思います。どうかこれから何をしたらよいかお教えください。」
一厳が答えました。
「おお、それは良かった。では、お前が苦しめた人の分だけ、人を助けなさい。水害、干ばつ、台風、飢饉、人の悲しみは山ほどあるぞ。」

それから数年たった頃でした。ふたたびあの竜が一厳の洞窟へ現れました。しかし、今度はじいさんの姿では無くさっそうとした青年の姿なのです。
「一厳様、たくさんの人々を救ってきました。ウロコの虫はすでに身を噛むことも無く、痛みが無くなりました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。しかし私の罪はとてつもなく深くまだまだ修行が足りません。このたび竜王様に呼ばれまして、あの方のもとで人助けをしたいと思います。これでしばらくお別れです。いつかまたお会いできることを楽しみにしております。」
そう言って去って行きました。

それからやがて8年になる秋風の頃、一厳は山を降りて村人の家を一軒一軒まわり、手を合わせて、お別れを言って洞窟へ帰って行きました。村人たちは一体どうしたことかと次の日一厳の洞窟を訪ねました。すると一厳は静かに岩を枕にして横たわっています。村人たちが一厳に近づこうとした時、とつぜん一厳のまわりに光るものがいくつも現れ、次第に光が増し、洞窟の中を明るく照らし出しました。その一つ一つは人のような姿をして一厳を見つめ、なんとも言えぬ美しいお顔でほほ笑みかけているのです。その中には竜王も、一厳が助けた竜も涙を流してほほ笑んでいました。まもなく一厳の体からまばゆく輝く青年の姿が起き上がり、まわりの輝くものへニッコリとしました。そうして一厳はそのものと一緒に静かに歩き去ってしまったのです。

村人たちはただただ美しき天上の光に感動し恐れ多くて、洞窟の前ではいつくばっておりました。そのあと光が消え洞窟の中が元通りになると、村人たちは一厳の遺体を拝み大切に葬りました。そしてその洞窟を一厳洞と名づけ、長い間大切にしていたそうです。



[石川県昔話 目次]

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Last updated  2014.05.07 13:44:36
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