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「はぁ・・・なんで私がこんな目に・・・和輝、どこにいるのかなぁ・・・」
山の中をズリズリと巨大な何かを必死に引きずりながら、ポニーテールが特徴的だった女性、神堂 美咲は彷徨っていた。
本来、彼女はピンク色のリボンで髪を結び、ポニーテールにしているのだが、今回の殺し合いにおいて、そのリボンが没収されてしまったため、今は髪をすべておろした状態になっている。新鮮。
「てか、何よこれ・・・超重いんだけど・・・!なんで私がこんな武器割り振られなきゃならないのよ・・・!!」
そして彼女が引きずっているもの、それは「ナワノツメ」という武器。四角い棺桶を三つに区切ったようなデザインで、先端にはガトリング砲が搭載されている他、後方部分には捕縛用のロープが内臓されている。
非常に使い勝手が良いように思えるが、如何せん普通の女性が持つには重すぎた。
元々の持ち主であるリメイカーの能力として、「時を止める力」が付加されている。本来の使用者であるリメイカーならば、5秒。時を止めることができるのだが、先ほど試した時、時間は体感で2秒ほどしか止まっていなかった。
2秒もあれば、十分優位に立てる筈なのだが、如何せん武器がこの重量。
2秒止めたところで、逃げることもできなければ、この武器で攻撃するにしてもまずはガトリングの照準合わせから始めなければいけない。
美咲にとってこの武器は、手に余るものだった。重いし。
「はぁ~和輝~どこにいるのよ~・・・」
丸腰になるのは流石に不安なのか、彼女はナワノツメを引きずりながらも愛しの男を探して山を彷徨う。
その探す相手が、今現在川に流されているなど、彼女は知る由もなかった。
「・・・意外と長いな、このトンネルは。」
トンネルの出口へと走っていた皇帝だったが、トンネルの予想外の長さに少々驚いていた。時間は夜、外には明かりもなく真っ暗だ。トンネル内の電灯も、古いのか光が弱く、ほとんど暗闇と同じ。自分の声や、物音がよく響く。
「剣龍帝・・・一体何者なんだ、こいつは・・・」
カツカツカツカツ・・・
「!?」
響いた自分の声以外の音に、皇帝は後ろを振り返った。声を殺し、気配を殺し、物音をたてないようにする。
場所はトンネル。視界よりも、反響する音が相手に居場所を教えてしまう危険性が高い。
耳をすませ、響いてきた足音を聞く。
早い。どうやら走っているようだ。同時に荒い呼吸音も聞こえる。
(近づいてくるな・・・どうする・・・逃げるか?)
無暗に殺し合いはするつもりはない。ならば逃げるのも一つの手。だが
(相手がもし殺す気だったら・・・背後を見せるのは危険か・・・)
先も言ったように、ここはトンネル。横は存在しない。あるのは前進か後退のみ。自然と、逃走=相手に背を向けることになる。もし相手がこちらの位置をすでに把握していたら?遠距離攻撃が可能で、既に射程内だったら?
考えれば考えるほど、選択肢は浮かび上がる。疑心暗鬼。どれも正解の可能性があり、どれも不正解の可能性がある。
だが、時間は待ってくれない。足音は確実に近付いてきている。視界で確認できるようになれば、確実に戦闘になる。それで背後を見せて逃走など、危険すぎて出来やしない。
皇帝が選んだ答え、それは
(先制攻撃・・・それで怯んでくれたのなら、その隙に逃げる・・・!殺る気なら、そのまま殺るだけだ・・・!)
支給品のグローブを装着する。使用法は理解した。問題はうまく使いこなせるかどうか。
「それは・・・実践でお試しってな!!!」
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
近づいてきた足音の元凶に殴りかかる。暗くてよく見えないが、男のようだ。
狙ったのは、顎。ここに一撃入れれば、確実に相手の戦闘力は落ちる。それならば逃走も容易になる。
皇帝の考え通り、拳は顎に直撃。脳を揺らされ、もう戦闘不能になる・・・ハズだった。
ザクッ!
「グッ・・・!?」
嫌な音を立てて、皇帝の左腕に刃物が突き刺さった。だがおかしい。皇帝が殴りかかった男は、何もしていない。顎を殴られた衝撃で、地面に膝をつき、前かがみになっている。あんな体勢から、腕に刃物を刺せる筈がない。
バチッ
電灯がショートし、トンネル内が一瞬明るく照らされる。その時皇帝が目にした光景。
それは、あまりに異様な光景だった。だが、これならこの腕に刺さった刃物がどうやって刺さったのか、何故今その部分に刺さったはずの刃物が無いかも納得がいく。
腕にピンク色のリボンを巻いたその男・・・ガレッド=バスタードの周りには、無数の剣が浮いていた。
(なんなんだよ・・・)
目の前には、今自分に殴りかかってきた男がいる。
(なんでみんな殺し合うんだよ)
男は血が流れる腕を押えながら、こちらを睨みつけている。
(俺は・・・俺はただ・・・)
殺されたくない。じゃあ殺すしかない。仕方ない。仕方ない仕方ない仕方ない仕方ない仕方ない。
「俺は・・・リーダーに会いたいだけなのにっ!!!!!」
殺したくない。でも殺されたくない。
奇しくも今争いだした二人の男は。互いに争いを望まぬ者だった。
【北 トンネル内出口付近/1日目/深夜】
【ガレッド・バスタード@紫色の月光】
[状態]:顎を殴られたため、立ち上がれない。
[装備]:美咲のリボン
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本・カイトを探し、合流すること。
1 ・突然の攻撃に逆上。
2 ・精神的に不安定な状態。能力が暴走気味。
-美咲のリボン-
投影できるモノは、精度は使う本人次第。刀や剣の使用者なら、刀や剣を高精度で作り出せる。
ガレッドが作り出したのは精度の低い果物ナイフ。ただし、量は大量。
【皇帝@理由の無い日記】
[状態]:左腕負傷
[装備]:緑色のグローブ@誰かの館(瀬戸アカル)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
(基本):現状の打破
1:ガレッドの撃退、または闘争によって戦闘を切り上げる。
2:能力把握。
3:出来れば剣龍帝と接触する。
【南東 山中/1日目/深夜】
【神堂 美咲@希望と絶望の協奏曲】
[状態]:疲労
[装備]:ナワノツメ@吼えろ走馬堂(リメイカー)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
(基本):和輝との接触
1:この重いのをなんとかしたい
修正・・・!武器を修正・・・!!本当に迷惑をおかけした・・・!!!
しかし美咲に時を止める力、ファイティングスピリッツを付加。5秒だとさすがに長い気がしたので美咲の技量ならこれくらいかと2秒に勝手に調整。
とにかく・・・みんなゴメンなざい・・・!!!
今から、参加者全員の所持武器とかを書いたリスト作る作業に入る