J.C. LODGE / I BELIEVE IN YOU '87 「I BELIEVE IN YOU」収録
ここまで、1STアルバム「SOMEONE LOVES YOU HONEY」のタイトル曲、2NDアルバムからは、「TO LOVE SOMEBODY」と「STICK BY ME」を紹介してきたジャマイカン・ラヴァーズロックの女王、JCロッジの3RDアルバムのタイトル曲。上記3曲は全てカバーだったけど、この曲はオリジナルみたいですね。かなり良く出来た上質のメロディだけど、他の誰かがカバーしてる訳でもないのが不思議なくらい。曲はゆったりと落ち着いた雰囲気の大人のラヴァーズロック。どこか物哀し気なメロディだけど、悲観することも気負うこともなく、どこか達観し無我の境地に立ったかのような雰囲気が素晴らしいですね。JCロッジの甘くやさしい唱法も流石のもの。時代的にドラムの機械臭のする音が曲にそぐわないのがチト残念。
JOHN HOLT
のアーリーレゲエのラヴァーズ・カバー。83年のアルバム「The Very Best Of Ruddy Thomas」収録曲。このアルバムは既出の 「REFLECTIONS OF MY LIFE」
など大甘なラヴァーズが多数収録されているのでラバーズロックのファンだけでなくスウィートソウルが好きな人にも是非押さえておいて欲しいですね。今にして思えばこの頃のルディ・トーマスは神がかっていたので、もっとこうしたラヴァーズ・カバーを残して欲しかった。
曲は83年産ということで適度に洗練されたヒューマン・トラック。後の FRANKIE PAUL
や FREDDIE MCGREGOR
などのコンピュータライズドと比べると格段に聴きやすい。ちょっと憂いを帯びた甘いメロディに、浮遊感を感じる淡いトラック。ルディ・トーマスの甘くソフトな唱法でオリジナルを更に甘く、より上品な味わいに仕上げています。
AISHA / THAT'S HOW HEART ACHES ARE MADE '86 (ARIWA ARI-52)
当ブログではお馴染みのイギリスのアリワ・サウンド・スタジオ産のマッド・プロフェッサー製ラヴァーズ・ロック。86年の12インチシングルの他に名ラヴァーズ・コンピ「BREAKING THE BARRIERS WITH SOUND」シリーズのVOLUME 2 「RUBBING THE WALLPAPER」などに収録されています。
オリジナルは1963年のBaby Washingtonのヒット曲で、Marvelettes、Loleatta Holloway、Dusty Springfield、といった女性歌手や男性ソウルグループのDELLSやPaul Young、Jerry Butlerなど幅広くカバーされています。オリジナルは少し物悲しい雰囲気のある曲ですが、このAISHA版はポップなレゲエ・アレンジで明るめに変貌しています。可愛らしいシンセ音が鳴り響くアレンジは81年の Randy Crawford版
を踏襲していて、むしろランディ版のレゲエ・カバーといった方が正確かも。そのランディ版を更に冷やかに爽やかに、そして洗練された内容に仕立て上げたマッド・プロフェッサーの手腕はお見事という他ないですねえ。(そんな彼のセンスと技術にほれ込んだ幾つもの日本のアーチストが彼にプロデュースしてもらっているはず。)
コンピ収録版では後半にダブが接続されていて6分23秒と長く彼の音世界を堪能できる。特にダブ部分の空間(無音部分)を自在に使う手法は日本庭園や日本画といった古来からある日本文化に似通った雰囲気があり、それがアリワ・サウンドが日本で人気だった理由の一つでもあったのではないかな。歌手のAISHAは他にもアリワに DANCING TIME
というラヴァーズ良曲を残していてお勧めです。
ロックステディの名曲「I'm A Loving Pauper」で有名なドビィ・ドブソンの1967年の甘いロックステディ。本曲はそのB面になります。Loving Pauperほどキャッチーではないけれど、甘いメロディと優しい唱法はスウィートソウル・ファンにも受けそうですね。恋人との甘い日々を反芻するかのような、甘さとほろ苦さが混在するメロディが美味。レゲエ前夜、トレジャーアイル産のロックステディの質素で軽いリズム・トラックとの親和性も高い。全体として感じられる古き良き時代の純朴な南国の甘いラブソング感は暑い季節の避暑的音楽に適してると思います。
TYRONE TAYLOR / COTTAGE IN NEGRIL (NEW VERSION) '01?「REGGAE LASTING LOVE SONGS VOL.2」
1983年の TYRONE TAYLORの自作曲
をCLIVE HUNTプロデュースにより再演したジャマイカ製ラバーズロック。2001年にVPから発売のオムニバスCD「REGGAE LASTING LOVE SONGS VOL.2」に収録されている。音の感じからするとやはり2001年頃に製作されたものと思わます。何故オリジナル発売から18年後にもなって再演されたのかは不明だけど、かなりポップに仕上がっています。オリジナルは少し憂いを帯びた甘いメロディの心地よいラヴァーズで如何にもリゾートの町ネグリルのコテージが似合いそうな雰囲気。解放的なサビも悪くないけどAメロの込み上げ系で濃密なメロディが素晴らしい。再演版はリズムがテンポアップしアレンジも大部洗練され聴きやすく。そして何よりタイロン・テイラーによる表現力の幅が広がり、歌が数段魅力的になっているのが驚きです。てっきりフレディ・マクレガー辺りのカバーかと思ってしまいました。タイロン・テイラーは他にも既出の MEMBERS ONLY
もお勧めです。
Boris Gardiner / This Old House (Extended Version) '87
レゲエ歌手ボリス・ガーディナーの1987年のシングル曲。オリジナルはオランダのポップロックバンド、George Baker Selectionの1987年の作品。特にヒットした訳でもないこの曲が何故カバーに選ばれたのか不明だけど、1986年に「I Wanna Wake Up with You」という歌謡レゲエを大ヒットさせた後の作品候補としては、同じ歌謡レゲエ路線ということで的確な選曲だったのは確か。曲は明るくポップな甘いレゲエでメロディはかなり大衆的。前曲同様ラバーズロックというよりも歌謡レゲエといった呼び方が似合いそう。「古いけど大切な家」というノスタルジックな歌詞通り、温かみや優しさ、愛情などを感じさせる内容。特にサビの高揚感と解放感はなかなかのもので、レゲエのリズムにのせることによりオリジナルの良さを倍増させた感じ。プロデュースはWillie Lindoなので明るくポップにアレンジされ、ちょっと甘ったるい側面もあるけど、かなり聴きやすく心地よいサウンドでリゾートなどで和むにはもってこいの内容。アルバム収録曲でもあるけど、12インチシングルのExtended Versionは後半が軽くダブが接続されていてなかなかいい感じ。こうした古き良き時代の歌謡レゲエも大部廃れてしまったようで残念ですね。
元Techniquesのリードで後にソロとして活躍したパット・ケリーの1969年のシングル曲。オリジナルは1957年のJohnny Mathis with Ray Conniff and His Orchestraで、バックはストリングス中心でリズム隊の無い質素な内容。他にSonny James、Sam Cooke、Bobby Vinton、Billy J. Kramer with The Dakotas、Glen Campbell、Chi-Lites、Tammy Wynette、Chairmen of the Board、Bee Gees、アグネスチャン、Olivia Newton-Johnなど200以上のカバーが存在する人気曲です。感傷的なメロディに甘い歌声が映える曲ですが、オリジナル同様ほとんどリズムを感じさせない内容が多い。それらに反しパット・ケリー版は実にリズミカルで個人的にはこの曲のベストカバー。プロデュースはBunny Leeで初期レゲエ、ロックステディな内容。溌剌とした躍動感のあるリズムをバックに、しかし歌声は甘く切ない。この組み合わせの妙味もまたロックステディの醍醐味の一つですね。なお、パット・ケリー版のオリジナルは1968年版ですが、1969年にアレンジを変えて再発されています。瑞々しいオルガンなど加えてかなりポップな内容で後者がお勧め。(誤ってMAX ROMEO名義で印字されているので注意が必要)因みに曲名の「TWELFTH OF NEVER」というのは、「決して来ない12=この世の終わり」(まで君を愛す)という意味の模様。
HORACE ANDY & ERROL SCORCHER / COME ON & ROCK ME '80 「UNITY SHOWCASE」
歌手HORACE ANDYとERROL SCORCHERのDJによる1980年のショウケーススタイルのミニアルバム収録曲。 HeptonesのWe Are In The Mood
の変名カバーで、オリジナル歌手の LEROY SIBBLESによるセルフカバーRock Me Baby
も非常に良い出来(昔ジャパンスプラッシュで来日した時歌ってくれました)。「STRICTLY ROCKERS」P.89掲載曲で菅野さんは「ラバーズロック」として紹介しています。前半が歌で後半がDJとなっていますが、特に前半のホレイス・アンディの女性っぽいハイトーン・ヴォイスによる歌に味わいがありますね。元歌の良さと歴史的名トラックの出来栄えもありますが、のんびりした和み系レゲエとして実にいいムード。後半からDJに変わるのも一興で楽しい雰囲気ですね。
TYRON TAYLOR / MEMBERS ONLY 「REGGAE HITS VOL.3」(英JETSTAR)
ディープソウルシンガーBOBBY BLANDの代表曲のカバー。おそらく80年代後期の作品。ボビーブランドの歌はDEEP臭くて苦手という人もこちらのタイロンテイラーの軽やかなレゲエカバーならニッコリとなるか?でも歌声はDEEPですけどね。こういう泣き節な曲をあっさり軽めな雰囲気に出来るのもレゲエリズムのいいところ。それにしてもこの名前芸名だろうけど、いかにも歌えそうな名前ですネ。ディープソウルファンの鑑賞にも耐える歌いっぷりでオススメです。英JETSTARのコンピで聴けるが、「REGGAE LASTING LOVE SONG VOL.3 '03 VP RECORDS」にはアレンジがいまいちな別バージョンが収録されているので要注意。彼名義のベスト盤にどちらのバージョンが入っているのかは不明です。
GREGORY ISAACS / MY TIME '77
大御所シンガーのグレゴリー・アイザックスというと名曲 NIGHT NURSE
のような暗めの曲が多い印象だけど、この曲は珍しく明るい曲調。牧歌的なメロディが70年代のレゲエのリズムにもよく馴染んでる感じ。オリジナルはコクソン・ドット・プロデュースの1970年のBOB ANDYの初期レゲエで こちら
も悪くないけど、聴き比べてみるとグレゴリーの歌手としての力量を感じさせますね。彼にはもっとこうした明るめの曲を歌って欲しかった。ダブの接続されたロングバージョンよりも、サクッと終わる短いバージョンの方がお勧め。
既にこのアルバム収録の 「TO LOVE SOMEBODY」
も紹介済みだけど、JCロッジの和めるラヴァーズ・シリーズ第三弾ということで。売れ線になってからの彼女の作品に魅力を感じない人もいるかと思うけど、初期の彼女は素朴な味わいがありラヴァーズ歌手として一時代を築いたのではないかと思います。
曲はレゲエではお馴染みのヒット曲のカバー・バージョン。JOHN HOLT,DENNIS BROWNといったところのものが有名でしょうか。シングJスタイルの 「Johnny P & Thriller U」
のバージョンは明るくポップな内容で、毛色は違うけどこちらも私の大好きなバージョンでオススメ。オリジナルは62年の 「Shep And The Limelites」
みたいですね。JCロッジのバージョンはちょっとバックの機械臭が気になるけど、女性らしい甘く柔らかなヴォーカルが曲調に合っていると思います。
KEN BOOTHE / WALK AWAY FROM LOVE '78 (C.KRIPPS) PRODUCED BY LLOYD CHARMERS 「TROJAN REGGAE CHILL OUT BOX SET」収録
ソウルファンならみんなが大好きな「DAVID RUFFIN / WALK AWAY FROM LOVE」 。鳥肌ものの素晴らしいメロディが有名で山下達郎も既に3回もオンエアしてるね。で、こちらはそのソウル定番曲のカバーヴァージョン。レゲエのベテランシンガー、ケンブースによるこのカバーは8分以上もの長尺でその世界を楽しめるのが良い。もちろんデヴィッドラフィンの出来には足元にも及ばないが、この世紀の名曲をレゲエのリズムで長く楽しめるというところに意義がある。「WALK AWAY FROM LOVE」ファンなら是非押さえておきたいところ。他には甘茶ソウルグループChoice Fourが「I'm Gonna Walk Away From Love」というタイトルでやっている。こちらはリードにかなり物足りなさを感じるが、甘いコーラスやラフィン版同様ヴァイブの軽やかな響きはなかなか素晴らしい。他にはSmokey Robinson , Willie Clayton , Chuck Jackson , Marvin Gaye , The Temptations , Billy Griffin といった大御所たちもやっている模様で、是非全て網羅してみたいところ。でも一体誰がオリジナルなんだろう。