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【風が強く吹いている】 評価:★★★★★三浦 しをん 風が強く吹いている【内容】君だったのか、俺が探していたのは。走るために生まれながら、走ることから見放されかけていた清瀬と蔵原。二人は無謀にも陸上とは無縁だった八人と「箱根」に挑む。走ることの意味と真の“強さ”を求めて……。 <読書感想> まったくの偶然で、2冊続けて『走る』ことがテーマの本になった。今度は長距離、箱根駅伝の話。『長距離を走る』のに最も大事なことそれは、『速い』ことではなく、『強い』こと。1月27日の大阪国際マラソンの福士加代子の姿。すごかった。もし、福士にとって、走ることが『速さ』だけを競うものなら、きっとゴールを諦めていただろう。走ることが己と戦うことだから、福士は何度コケても立ち上がってゴールを目指したのではないだろうか。彼女は速くは走れなかったけど、とても強かった。そしてマラソンとは違う、駅伝に必要なもう1つの強さは、『自分以外のだれかに恃(たの)む強さ』自分の走る区間以外は、仲間にたのまなければならない。そして、自分の走る区間は自分だけのものではなく、襷(たすき)をつなぐチームメイト全てのものだ。それは、きっと想像以上に重い。でも、走ることで仲間とつながっているということが、自分を支える。信じる強さ、信じてもらう強さ。それが大きければ大きいほど、より大きな力を生む。『長距離を走る』ことは、『生きること』にとても似ている。大事なことは、『強い』ことだ。そして、自分以外の誰かを信頼して『たのむ』ことだ。
2008/01/30
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【一瞬の風になれ】 評価:★★★★★ 佐藤 多佳子 【第1巻】春野台高校陸上部。とくに強豪でもないこの部に入部した二人のスプリンター。ひたすらに走る、そのことが次第に二人を変え、そして、部を変える―。思わず胸が熱くなる、陸上青春小説。 【第2巻】少しずつ陸上経験値を上げる新二と連。才能の残酷さ、勝負の厳しさに出会いながらも強烈に感じる、走ることの楽しさ。意味なんかない。でも走ることが、単純に、尊いのだ。陸上青春小説、第2巻! 【第3巻】ただ、走る。走る。走る。総体に行くためだけでなく、タイムを出すためだけでなく、鷲谷と戦うためだけでなく、何より、俺たち4人でチームを組めたことのために走りたいのだった。全3巻圧倒的迫力の完結編!! <読書感想> ぞうりむしも陸上をやっていた。100Mハードル。そして400Mリレー。自分が登れる高みの限界を常に感じながらも、1秒・・・0.1秒・・・0.01秒・・・というほんの僅かな時間を縮めるために生きていたあの日々。本を読むようになってから2年。「この本をあの時に読んでいれば・・・」と思う本に出会うことがある。もしこの本を、あの陸上生活まっ只中に読んでいたとしたら、もっと頑張れたかも。もっと上へ登れたかも。そんな錯覚を起こしてしまいそうになった。あの時はあの時の限界で頑張っていたはずだけど、スポーツをやっている誰もが見る夢を、もっと大それた夢ぐらい見ていればよかった。ここまでだと決めた自分の心が、あの時、自分の限界を決めたのではないかとそう思う。ああ、走りたいな。堕落した生活でガチゴチになまりきった体の中、心が熱い。
2008/01/24
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【終末のフール】 評価:★★★★★ 伊坂 幸太郎 【Story】2***年。「8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡する」と発表されてから5年。恐怖心が巻き起こす、殺人、放火、強盗…。社会に秩序がなくなり、世界中が大混乱に陥る中、仙台市北部の団地に住む人々の葛藤を描く。 <読書感想> Today is the first day of the rest of your life.今日という日は残された日々の最初の一日。 生きるということ。その答えを私はまだ見つけていない。この物語に登場する8人の答え。そのそれぞれが正しい答えという気もするし、そうでない気もする。「明日死ぬとしたら生き方が変わるんですか?」「あなたの今の生き方は、 どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」考えてみたけど、やっぱり答えは出なかった。ただ、この本を読んで、生きるということに意味なんかいらないような気がした。生きている。ただ、それだけ。明日死ぬとして、今までと何か考え方が変わったとしても、誰かのために何か特別な事ができるわけでもないし、今の自分にできること以上をできるようになるわけでもない。明日死ぬと分かったからこそ、やろうとすることは、いつだって、たった今からだってできる。・両親や友達に感謝の気持ちを伝えること。・誰かを許し誰かに許してもらうこと。・なりたい自分への一歩を踏み出すこと。・大切な人に愛していると伝えること。「じたばたして、あがいて、もがいて。 生き残るってそういうことだよ」どれくらい生きるつもりかを考えて生き方を決めるのではなく、明日死ぬとしても、今日もいつもと同じように生きる。そういう生き方にしていきたい。
2008/01/09
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【ミーナの行進】 評価:★★★ 小川 洋子 【Story】美しくて、か弱くて、本を愛したミーナ。あなたとの思い出は、損なわれることがない―懐かしい時代に育まれたふたりの少女と、家族の物語。 <読書感想> この本のもつ雰囲気は独特で、でもどこかなつかしい感じがする。小学校の頃、父が仕事で遅くなる日に、母と兄と私の3人で外食をした。うちは田舎で、特別な時以外に外食する文化がなかったから、本来ならワクワクドキドキするはずのレストランでの食事が「父がいない」というだけで、ただそれだけで、なんだかひどく間が抜けていて、落ち着かない感じがしたことを今でも覚えている。たとえそれが疎ましく嫌うべき存在であったとしても、あるべきものがたった1つ足りないだけで、足元はすぐに心もとないものになってしまう。でも、ミーナも伯母さんもおばあさんもみんな自分の役割を淡々とこなしている。あの日の私が、楽しそうに振舞ったように。兄がそれほどでもないピラフをうまいうまいと言ってムシャムシャと食べたように。足りないのに足りないものなんてまるでないかのように振舞うことは、なんとなく切ない。だけど、ほんとはものすごく前向きなことではないかそう思えた。あるべき場所にあるべきものが収まっている。それは普通のことなのに、足りなくなってから分かる。それがどんなに心安らぐことなのか。でも大丈夫。足りないものなんてまるでないかのように振舞えばいいんだよ。ミーナは、そう教えてくれる。
2008/01/06
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