ソウル生活〜

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入院手続き




翌日、火曜日は運良く、午後しか授業がなく、午後は父兄会で授業が無かった。

キョンヒ大学付属病院には、漢方病院があり、そこには外国人相談係りがある。たまたまその外国人相談係り=日本語勉強中と知り合いだったので、キョンヒ大学の付属病院へ行くことにした。そこの整形外科は有名らしいし。

レントゲンを撮り、やはり早急に手術をしないといけないと言われた。

入院する部屋を選んだ。

普通の入院費用で賄おうと思うと、5人部屋があてがわれる。

その5人部屋は中庭に面していて、暗くて狭い。ベッドがひしめいている。

部屋代を少し払うと、4人部屋、明るい。

気分が滅入る入院なので、少し割り増し料金を払っても、気持ちのいい部屋がいいだろう。

入院手続きをとり、入院の前にお金を払わないと、部屋には入れない。

医療保険がなかったので、400万ウォン払うよう言われた。

400万(40万円)もある訳がない。

外国人相談係りの人が掛け合ってくれて、300万ウォンまで下がった。市場で洋服を買うような、値段交渉が続いた。

しかし、300万ウォンさえもある訳がない。

大学院の授業料を支払って、お金は何も残ってない。

困ったときの偽ヨン頼み。送金してもらい、入院することができた。

韓国の病院はアメリカシステムをとっているらしい。日本だったら、退院するときに入院費用の支払いをすると思うけど、韓国ではお金のないものは、治療は受けられないのだ。

私が入った4人部屋は、おばあさんばかり。

一つベッドが空いていたが、その夜、新しい患者がやってきた。

登山をしている途中、上から岩が落ちてきて、その岩と一緒に転がって、複雑骨折をしたらしいおばさん。応急手当てを当直の若い医者がやり、添え木をしたのだが、痛がるおばさんは大声でわめき、泣いた。我慢するということばは韓国にはないらしい。痛いときは痛いとわめき、泣く韓国人。いいなあ、と思いつつ、大声を聞くのがつらかった。

高校の授業は、日本の大学院に留学している学院時代の教え子が、春休みで韓国に帰っているので、急遽たのむことにした。学校側は日本人を希望したが、日本人の友達はいないので、韓国人で押し通した。

夜、偽ヨンが仕事を終えて、来てくれた。

韓国では入院すると、必ず「保護者」が付き添わなければならないらしい。
日本では完全看護、家族が病院に泊まるなんて考えられないが、韓国では誰かが患者の下の小さなベッドで寝て面倒を見なければならない。

病室はみんな、安物の旅館のようなありさまだった。家族が寄り集まって、キムチをだしてご飯をたべ、他の保護者とも物物交換をして保護者たちは食事をすませるのだ。

大きな体をベッドからはみだしながら、小さくなって偽ヨンは寝ていた。

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