夢も希望もない、村井氏がめざす県政

夢も希望もない、村井氏がめざす県政
日本共産党長野県委員会副委員長 有賀光良






 村井仁氏が発表した立候補のあいさつやホームページ、松本市で行われた公開討論会や信毎の紙上討論などで、小泉自公政権が推し進めている、国民の生活をおびやかし、市町村を困難におとしいれている政治のもっとも忠実な実行者であることを正直に語っています。この間の村井氏の発言などから、村井氏は知事になって長野県をどこへもってゆこうとしているのかみてみたいと思います。

村井氏は、もともと国民いじめの政治をすすめてきた内閣のメンバーだった人

 村井氏は昨年秋まで自民党の衆議院議員として、今日大問題になっているお年寄りの住民税大増税や介護保険・医療保険の改悪、・自立支援法などの改悪や悪法を決めてきた人です。
 村井氏は大蔵政務次官、衆議院大蔵委員長、金融再生総括政務次官、内閣府副大臣金融担当と国の金融政策にかかわっていました。国民の苦しみをよそに大銀行に何十兆円と国民の税金をつぎこみ、国民には預貯金の利息を限りなく引き下げて、本来国民のサイフに入るべきお金を取り上げて、その分大銀行のフトコロを潤すという金融政策を推進してきた一人です。

「消費税引き上げは当然」と主張 

 信毎紙上の討論で村井氏は、「消費税引き上げは当然」「増税しなければ国の借金は返せない」と語っています。
 ここには、無駄な大型開発や、大企業には何十兆円も税金をまけてやる優遇税制をすすめ、米軍のために3兆円も負担しようという国の財政困難を作ってきた原因には手をふれずに、国民に負担を押し付けようというものです。
 消費税は国民生活特に低所得者のくらしを一番直撃し、経済を冷え込ませるものです。庶民の苦しみがまったくわかっていない人なのではないでしょうか。

市町村をいじめてきた人

 国は、平成13年暮れに地方交付税総額を16.9兆円(対前年度比マイナス1.2兆円)に抑制するとともに、交付税の代わりとしてきた財政対策債も約1兆7千億円削減を突然発表し、都道府県はもとより全国の市町村を一気に財政困難におとしいれました。このとき村井氏はこのような地方自治体いじめを強行した内閣のメンバーの一人でした。
 今になって、そのことに口をぬぐって「市町村が強くなることが喫緊の重要事だ」とか「81の市町村が輝く」などと言っても信頼できるでしょうか。村井氏に求められていることは、これほど地方財政を破壊してきた政治について説明すべきことではないでしょうか。

長野県はなくなってもいい、どこで切れてもかまわない

 自民・公明政権によって、政治がくらし・福祉に襲いかかっています。県民にとってよりどころとなる県政がいまほど切実に求められている時はありません。財政力や立地条件の弱い町村にとって、県の支援なしにはなりたちません。またこの県の財政を保障する国の責任は当然ではないでしょうか。
 これにたいして、村井氏は信毎紙上で「地方財政の三位一体改革で疑問を感じたのは、都道府県に権限、財源をよこせという議論ばかりであること。中間自治体としての都道府県は、ある意味で時代遅れだ」と言い切っています。
 何という冷たい官僚むきだしの論理でしょうか。
 公開討論会の席上、村井氏は驚くべき発言をしました。
「長野県がなくなっていいんだね、と知事はお尋ねになりました。私はそのとおりだと申しました」「(道州制で)今の長野県は、どこで切れるかわかりませんが、どっかで切れたってぜんぜんかまわないと思ってるんですよ。(長野県には)たしか3つの電力会社が入っている」とのべています。
 これから県知事になろうという人が、「長野県なんてなくなってもかまわない」と公然と言っているのです。
 道州制に備えて、県の役割を限りなく薄くしていくために知事になるという人に県政をまかせられるでしょうか。県民の幸せのために、こういう長野県にしようというものが見当たりません。「私が知事になっても、県政に何の期待もできませんよ」と言っているようなものです。

村井氏の目標は道州制

 村井氏はホームページで「強い基礎自治体の存在を前提とする道州制の到来」を強調しています。
 もともと財界にとって、市町村合併の促進と道州制は地方制度改革の本命です。
 大企業の大もうけとなる大型開発プロジェクトは、現在の都道府県規模では、複数の県にまたがり、住民世論を考慮する県の姿勢もじゃまになります。住民世論に何の配慮もなく大型開発ができるために、住民世論が反映しにくい政治システムこそ財界の望むところ。いままで県がになってきた、教育・福祉・地域経済を守り、環境を守ることなどは市町村の力量にまかせておけ、ということでしょう。
 このような財界の願いである道州制をもっとも忠実にすすめよう、ということを公然と表明しています。

国の補助金をもっと使え

 村井氏は国の補助金をもっとつかうべきであると主張しています。
 長野県政に財政困難をもたらした根本的な原因は、村井氏も参加してきた自民党政府が本来地方自治体に保障すべき財源を保障してこなかったことと、補助金を使って地方自治体の財政を大型公共事業優先に誘導してきた国の地方財政のあり方にあります。
市町村道や農道なども、国の補助金が取れる規格に合わせるために、並木や歩道を無理やりつけた広い道路をつくらされている例もたくさんみられます。
 前県政の末期、長野県の借金の総額は1兆6000億円にのぼり、あのままの県政が続いていたら今頃長野県は財政再建団体に転落していたことでしょう。
 このような時に村井氏のように「もっと補助金を使え」「赤字は過度に心配しなくていい」などと主張することは、県の財政のあり方を旧県政時代に引き戻せという主張と同じです。これでは県財政にたいしてまったく無責任で、とてもこのような人に県政はあずけられません。

企業誘致をめぐって

 企業誘致を具体的な政策の一つにあげています。
 三重県では、亀山市にシャープを誘致するにあたってたった1社に90億円という補助金をだし、さらに亀山市から市の年間予算180億円の4分の1にあたる45億円とあわせて135億円という多額の補助金がだされました。
 亀山市はシャープの固定資産税を9割まけてやるという大企業優遇政策で実際にはシャープからは一割しか税収がないのに、地方交付税では計算上この税金分が全額入ったこととしてカウントされて、地方交付税の不交付団体になってしまいました。企業誘致で市の財政が潤うどころか、たいへんな目にあっています。
 企業誘致によって、1万2000人の雇用創出と宣伝しましたが、シャープの労働者3300人のうち請負、派遣、パートなど非正規社員が2016人で、61%が非正規労働者です。
 地元で採用された高校生は4年間で225人、亀山市の採用は「そのうちの4分の1」と説明されています。
 内閣府ですら「地域の経済2005」という報告書の中でこの三重県の事例をあげて「雇用面をみると、補助金の効果が明確にあらわれているとはいいきれない」と指摘しています。
 その上シャープ関連で亀山市に28カ国2213人の外国人労働者が外国人登録をしており、人口比4、6%、市民の21人に一人が外国人となっています。市も地域の人たちも28カ国にものぼる外国人にたいする言葉や生活・文化の違いを乗り越えて共生できる施策をもつこともできず、自治会活動やゴミだし一つについてもたいへん困っています。
 兵庫県は尼崎市に松下プラズマ工場の誘致に90億円をつぎ込みましたが、新規雇用は、正社員6人と、派遣労働者236人でした。
 全国的にも43道府県で大企業の誘致にばく大な税金投入が行われています。地方自治体が大企業の進出の食い物にされています。村井氏はこの長野県版をめざしているのでしょうか。
 ばく大なお金をつぎ込んだ企業誘致でなく、いまある県内企業を育て、発展をはかってゆくことこそ大事ではないでしょうか。

村井氏がめざす県政には
県民の希望は見出せません 

 みてきたように、村井氏の見解には、長野県にすむ県民の経済も暮らしむきも福祉も教育も美しい信州の自然も環境もありません。ただここに見られるのは、道州制にむけて県政の役割の解消だけです。
220万人県民の生活と未来をゆだねるにはあまりにもご粗末で、何の希望もみいだせません。



© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: