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ペトラプト・パルテプト
第1話 頭痛 その 3
『 おかえりなさい! 』
第1話 頭痛 ~ Mal de tête ~ 後編
今、何時だろう?
時計を見たいけど、私の視力では壁の数字が見えない。
枕元の目覚ましだって、たぶん顔を近づけないと見えないだろう。
さっきから手探りでまさぐっているが時計も眼鏡もいつもの位置にないみたい…。
あれから、おそらく9時間以上は経っているはずだ…。
本当なら胃の中のものが消化されるのに充分な時間だと思う。
でも飲んだ後はかなり遅い、全然消化されていないことだってありうる。
私の悲惨な経験から言って、あと3時間以上我慢できれば…何とか持ちこせると思う。
我慢できるだろうか…。
我慢か…。
我慢するしかないのよね…。
子供の頃からそれだけは得意だったはずよ。
ヒナ…。雛苺…。
あなたと会えなくなってから、わたしはずっと我慢しているわ。あなたと再び会えるのを…。
だから…、こんな苦しみくらい…。
……って、これに関しては自業自得なんだけどね。
別れたのも私のせい、そうかもしれないけど…。
もうそろそろ限界かもしれない。
とりあえず水だけでも飲まなくちゃ…。
ベッドからゆっくりと這い出す。
フラフラとするたびに頭痛が響く。
動きたくない心と動かざるを得ない心が互いにぶつかる。
どちらも私の意思ではないのかもしれない。
さすがに見えないと不便だわ…。
自分の部屋だから物の配置はわかっているつもりだけれど、これでは目隠しされているのに近い。
激しい頭痛と歪んだ空間に翻弄される私…。
眼鏡を探すべきなのかしら…。
最後に使ったのは昨日の朝に間違いないと思う。
鏡台の上にはコンタクトレンズの空になった容器があるからだ。
今見えないということは、昨夜帰ってから無意識にコンタクトレンズを外しているんだわ。
外してそのまま寝ちゃったか…。
付けたまま寝ないでいるだけ偉いわね。習慣かもしれないけど…。
壁伝いに廊下へ出てキッチンへ向かう。
テーブルの上にも眼鏡を置いてあるようには見えなかった。
ピンクの薔薇が生けられた一輪挿しと調味料が並ぶ小皿、小さな薬箱、リモコン立て、
そして小さな雛苺のぬいぐるみ…。いつもと変わらぬ光景…。
歪んだ視界のまま、手探りでコップを取り、水を注いだ。
ゆっくりと喉に流すと少し胸やけが納まった気になった。
体は現金なもので飲んでいる瞬間はおとなしかったが、飲み終えた途端に頭痛が酷くなった。
「じゃあ、次はこっちの方ね。」
テーブルの上にある小さな薬箱から頭痛薬を取り出した。
これも手探りに近いが間違えることがない。いつもお世話になっているから。
コップに2杯目の水を注ぎながら、薬を飲むことに不安を感じた。
果たして、胃の中でもってくれるのだろうか?
いつも二日酔いの日は躊躇してしまう。場合によっては逆効果になりかねない。
でもこのままでいるのもいけないでしょう…。
なるようにしかならない。そう自分に言い聞かせた。
今度は一気に薬を流し込む。
喉を通る錠剤の感覚がやけに気になる。
これでよし。
あとは寝ているだけで大丈夫だろう。たぶん……。
「ふぅーっ。」
少し安堵な気持ちのせいか、流しの前でしゃがんでしまった。
大きくため息をついて、そのまま座り込むと床の冷たさがお尻を通して伝わってきた。
駄目だ…。このままだと風邪をひいちゃうわ…。
わかっていてもすぐに動けない。
それに薬を飲んだからといってすぐに効いてくるはずがないからだ。
「寒いんだけど…。」
他の誰でもなく、自分自身へ言い放った。
一人暮らしも長いと何かと自分に話しかけてしまう。
独り言が増えた…。年のせいかな…。
体は依然として意思の通りに動こうとしない。
ベッドまでとは言わない。せめて、あそこまで…。
無理に動かすのはさすがに諦めたので、出来る範囲のことをするほうが無難に思えた。
なんとかテーブル横の椅子に座り込めた。
幸い、リビングにあるエアコンのリモコンがテーブルの上にあるので、スイッチを入れる。
リビングからこのキッチンまでは遮るものはない。これでこの寒さもマシになるだろう。
力尽きたようにリモコンをつかんだままテーブルに伏せた。
顔を左横に向けるとすぐ近くに先ほどの薬箱と小さな雛苺のぬいぐるみが目に入る。
ぬいぐるみの雛苺はいつもと同じ笑顔でこちらを向いている。
そんなぬいぐるみの雛苺と目があったような気がした。
「ごめんねヒナ…。私、またやっちゃった…。」
そっとつぶやいた。
「ヒナに見せられないな…。私のこういう姿…。ヒナだって見たくないわよね…。」
返事がないのはわかっている。そのぬいぐるみはローゼンが作ったものではない。
私が作ったものだから…。
正直言って、お裁縫はあまり得意ではない。
それでも高校の家庭科の授業で人形を作る課題が出たときに何とかがんばって作ったものだ。
高校時代は部活の剣道とドイツ語とフランス語の習得に明け暮れていたから仕方がない。
剣道は子供の頃からの延長だが、ドイツ語とフランス語は雛苺のため…。
ローゼンメイデンのことを調べるためにはドイツ語が欠かせない。
あの『人形の歴史』の本だってドイツ語だからだ。
そして過去に雛苺がフランスで目覚めていたと聴いたことがある。
その何らかの手がかりを得るためにはフランス語の文献を調べる必要があった。
そのためにはドイツ語だけでなくフランス語も読めないといけなかった。
それで暇さえあれば辞書を引いている状態だっただけに女の子らしいことはあまりできなかった。
それでも夢中になって作ったもの、それがこの小さなヒナのぬいぐるみ。
大阪に引っ越してからも私の良き話し相手…。
「ねえヒナ…。また会えるよね…。」
相変わらず頭痛が容赦なく響く。私を戒めるように…。
「ずーっと待ってる。ずーっと待っているんだから…。」
再び会える根拠は何もない。それどころか会えない確率の方がかなり高い。
こちらから探し出すことは不可能だ。
どんなに捜し求めてもローゼンメイデンシリーズのドールは手に入らない。
人間がドールをではなく、ドールが人間を選ぶからだ。
正確には人工精霊がミーディアムとなる人間を探すらしいが、それも確かな情報とは言いがたい。
天文学的な確率で「まきますか、まきませんか」と尋ねられるだけだ。
それでも私は再び会える日が来ることを信じている。
だから待つしかない。出来る限り、考えられる限りの準備をして待つしかない。
どんなに準備をして待っていても会える保障はどこにもない。それもわかっている。
でも私は雛苺のミーディアムだった。短くても大切な時間を一緒に過ごした。
お互いがお互いを今も求めていると信じている。たったそれだけが唯一残された希望…。
「ごめんね…。さびしい思いさせてごめんね…。」
私が悪いのは明白だった。何の力も持たない私が悪い。
中学生だったとは言い訳すらならない。現に桜田君は真紅のミーディアムでいられたから…。
あの頃、少しでもミーディアムである自覚があれば、別れすらもなかったかもしれない。
柏葉巴という少女があまりにも無力すぎた。ただそれだけのこと…。
本当に大切なものがなんだったのか見えないぐらい無力だった…。
そんな無力な私を救うために雛苺は自らの意思で契約を解除した。
雛苺がアリスゲームより私を選んだのだ。
ローゼンメイデンとしての誇りと宿命を捨ててまで私を助けてくれた。
『ごめんなさい、トモエ。ごめんなさい…。』
今でも夢に出てくるあの時の雛苺の台詞。
謝らなければならないのは私のほうなのに…。
それなのに…。
それなのに私は雛苺に何もできなかった…。
雛苺がアリスゲームで真紅に負けて、桜田君の家に引き取られたときも、ただ安心しただけ…。
自分ではどうにも出来ない理由から生まれた偽りの安心…。
今だから痛いほどわかる。あれは私が悪い。私さえ……。
あの時、怖くなって逃げ出さなければ…。
もっとしっかりと雛苺を守ってあげられれば…。
雛苺に力を与えてあげられれば…。
後悔ばかり…だ。そうずっと後悔ばかり…。
あれから10年以上もたって、大人になった今でも続く永遠の後悔…。
ぬいぐるみの雛苺はいつもの笑顔を私に向けている。無邪気な笑顔…。
そう、出逢った頃の無邪気な笑顔…。
忘れない…。忘れられない…。
自然と涙がこぼれる。
裸眼で見える歪んだ雛苺の顔がさらに歪む。
テーブルに顔を付けたままなので涙がそのままテーブルへと伝ってゆく。
「……また泣いちゃったね、ヒナ…。泣かないって決めたのにね。」
そうは言っても簡単に涙は止まってくれない。
ポロポロと流れたままだ。
無理に笑顔を作って、ぬいぐるみの雛苺に微笑みかける。
「もっと強くならなくちゃね、ヒナ。まだまだ駄目だなぁ私って…。」
頭痛は少しも和らぐ気配はない。涙を戒めるかのように強まっていく。
救いを求めるようにそっとぬいぐるみのヒナの頭をなでてあげた。
「ヒナ…。あっ……。」
ふいに恐れていたことが現実に進行しだしている。
やはり選択を誤ってしまった。薬は飲むべきではなかった。
さっきよりも胸のむかつきがひどくなってきた。まずいな…。
胃が自分の意思とは反して暴れ始めた。
「手遅れだわ…。」
考えるまでもない。こうなると我慢することさえ無意味だ。
動けなかったはずの体が意思に反して、逆に俊敏に動けてしまう。
ぼんやりとした中で体は確実にトイレに向かう。
どうせ吐くならキッチンよりトイレの方がいい。後片付けが楽だ。
そう体が覚えてしまっているからだ。
あんなに酷かった頭痛も忘れたかのようにトイレに駆け込んだ。
何度も経験していることだけに機械的に体が動いた。
こうなるとただの傍観者だ。やるべきことはひとつだけだが、意思とは無縁だ。
確実にさっきの頭痛薬が無駄になるよね…。
くだらないことを考えた。
二日酔いのベテランとしては何度も知っていることだ。もはや意味がない。
こんな状態で薬など受けつけるわけがない。
しゃがんだままトイレの蓋を開き、一気に…、吐いた…。
見たくない光景が目の前に広がる。でもおかげでどんどん胸が楽になる。
未消化な胃の中のものがすべて吐き出された。
苦しくて涙が止まらない。それに止める余裕さえない。
先ほどの感情と重なって苦しさも悲しさもごちゃ混ぜになった感じだ。
頭の中ではずーっと際限なく銅鑼が叩かれている…。
痛みは一向に軽くなる様子もなく、私を苦しめる。
私は泣きながら、素直な思いも吐いてしまっていた。
「ヒナ…。ヒナー! どこにいるのー! 会いたいよぅー!」
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