ラッコの映画生活

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2007.03.05
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カテゴリ: フランス映画
L'APPAT
Bertrand Tavernier
(117min)

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寸評:実際にあった事件の映画化としては、主人公(犯人)に対しても社会に対しても共感でも批判でもなく、いい距離感だ。こういう事件を起こした若者が実際にいたこと、そういう若者を生んだ社会であったということを淡々と描き、あとの判断や考察は観客に委ねている。ベルリン映画祭金熊賞受賞作品。

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邦訳題の意図はあまり良く解らないが、原題L'APPATとは魚釣りの餌のことであり、転じて欲望のこと。意訳するなら『欲望の餌食』ぐらいだろうか。男2人と女1の3人組若者が1984年に起こした犯罪で、女が色仕掛けで金持ち男性を誘惑し、男2人が金を奪おうというもの。被害者の男性は女の色仕掛けという餌の餌食になり、犯人の若者達も彼らの無思慮な欲望の餌食となるという掛け言葉だろう。

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主人公の若者3人はナタリー(マリー・ジラン)、その恋人エリック(オリヴィエ・シトリュック)、エリックにくっついている孤児院出のブリュノ(ブリュノ・ピュツリュ)で、ナタリーの母の持つパリ郊外のアパートに3人で暮らしている。ナタリー18歳はブティックでマヌカン、エリックは定職はなく親から金をせびっている。ある意味家庭としては経済的に悪くはない家の出身だ。ナタリーは女優か歌手志望だが、冒頭の女友達との会話で話されるのは、「映画出演でイザベル・アジャーニは1000万フラン稼いだけど、ジュリア・ロバーツは800万ドルよ(ちなみに約2億円と10億円くらい?)」。ナタリーの望みはケチなフランスよりアメリカだ。エリックもアメリカに渡ってチェーンの洋服店をやって大儲けしようという夢(?)がある。彼の発想もケチなフランスではなくアメリカなのだ。大きな成功という考え方で2人は共通している。

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ナタリーは女優になるために役立ちそうな男の来るカフェに出入りして知合いを得、ノートにはそういう男性の住所を収集している。しかしもちろん男の目的は女としての彼女、若く美しく擦れていない彼女の魅力だ。彼女にとっては女優や歌手になるために役立つかどうかであり、また3人の評価はデュポンやモンブラン等ブランドもののペンを使っていることであり、ポルシェやベンツに乗っていること、つまり金の有無が評価基準だ。

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そういうわけでエリックは、そして3人の計画はアメリカに進出して店を開くことなのだが、そのためにはまずは1000万フラン(約2億円)が必要だがそんな金があるわけはない。そこで彼らが思い立ってのはナタリーを餌にして男2人が金持ちの家に押し入り、金を奪うことだった。

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(以下ネタバレ)
最初はナタリーも不安で、友達のパトリシア(クロチルド・クロー)と2人で計画実行。しかし餌食となるはずの男の家には暗唱番号の必要なドアシステムや監視カメラ等の警報装置が多く、計画途中で諦める。次に狙ったのはナタリーの住所録にあった弁護士。ナタリーが弁護士と家に入り、隙を見計らってドアの鍵をあけておく。そこに覆面をしたエリックとブリュノが強盗として侵入。弁護士とナタリーを縛り上げる。エリック、あるいは3人の考えていたのは、映画の中で見たように金持ちの家には絵の陰に隠し金庫があること。しかし今時の金持ちが自宅の金庫に大金を所持しているなどということはなかった。苛立つエリックとブリュノ。別室に連れていったナタリーは殺したと言い、弁護士に殴るの蹴るで金の在り処を迫るが、たぶんもともと家には大金などはない。女を殺してしまったと言ってしまった手前、実際に殺していないとわかれば共犯だと思われ足が付くと考え、ブリュノが弁護士を殺すが、その様子を聞きたくないナタリーはウォークマンで音楽を聞いていた。そしてわずかばかりの現金等を奪って立ち去る。幸いにも新聞は書類目的の犯行と報じていた。

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この3人、そうした強盗殺人を犯していながら、普段と同じ生活を平気で続けていた。母親と別れて南仏に暮らす父親から送られてきた、クリスマス休暇を一緒に過ごすための航空券をナタリーは母親から受け取る。そこで彼女が言うのは「ファーストクラスかしら」で、母親がチケットにエコノミークラスと確認すると、「どのみち国内線にはファーストはないはね」と自分を納得させる。彼女の関心はそこにしかないかのようだ。3人は2度目の、やはり収穫の少なかった略奪品を分け合い、ナタリーはカルチェのネックレスや指輪を平気で身につける。

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ある日ナタリーの働くブティックに警官が訪れ、事情聴取のためにと彼女を警察に連行する。彼女は結局自白し、実行犯のエリックとブリュノのことを話し、男2人も逮捕されるが、映画を閉じるナタリーの警官に対する最後のセリフは、「話したからこれでいいんでしょ。いつ出してもらえるの?。クリスマスには南仏の父のところに行くんだから。」だった。

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こういう映画には監督のメッセージ、あるいは教訓のようなものが主張される場合が多いが、寸評にも書いたように、この映画の描き方の良い点は、社会に対する批判でもなければ、3人の若者に対する批判または同情でもないということです。しかし観客の判断に必要な情報はちゃんと与えています。まあそこに監督の判断が皆無ではないわけですが。ブリュノがテレビでクイズ番組を見ているシーンがあります。「pan-bagnatとは何か?」それがクイズの出題で、スタジオの回答者の頭上には大金の入った籠があって、見事「サンドイッチ」と答えたので運の良い回答者には現金が降り注ぎ、大金を手にするわけです。ブリュノもサンドイッチと解るんですが、彼はどうして大金を手にできないのか。安楽で贅沢な暮らしにはお金が必要。でもそれを手に出来るかどうかはこのクイズ番組に出られたかどうかの全くの偶然でしかない。

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この3人を愚か者と言ってしまうのは容易だし、事実愚か者だから「欲望の餌食」になるわけだけれど、金による安楽以外に何の価値観も持たされずにきたのも社会の産物ではないのか。そしてクイズのように金すら偶然の結果でしかない。映画最後のナタリーの言葉に象徴されるように3人には強盗殺人という事の重大性すらわかっていない。そもそも金しか価値観としにくい社会で、必要だけれども底辺の仕事をする者の月収が15万で、アジャーニが映画の出演で2億円を稼ぐ根拠は何なのか。持って生まれた美貌など自分の責任ではないわけで、機会均等などは最初からない。月収15万円の貧乏人と300万円の金持ち。そこに本当に20倍という根拠はあるのか。そういう社会の中で必然的に生まれてきた、やや例外的ではあっても、生まれるべくして生まれてきた3人であるのではないでしょうか。

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そんな意味でこの映画は真面目なテーマの映画だ。日本でDVD化はたぶんされていないと思うけれど、ボクはビデオで見た。そのビデオジャケットに「フランスNO.1アイドルスター、マリー・ジラン衝撃の全裸ハード・アクション!」あるいは「マリー・ジランが日本マスコミ誌上で井上晴美、高岡早紀に並んで巨乳ベスト3に選出!」とあったのが悲しいです。

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Last updated  2007.03.16 00:15:03
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