ラッコの映画生活

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2007.07.14
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カテゴリ: アメリカ映画
CITY OF ANGELS

114min

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寸評:ヴィム・ヴェンダース 『ベルリン・天使の詩』 (1987)の舞台をロサンゼルスに移してのアメリカ版リメイク。ヴェンダースも絶賛したらしいが、良い映画だ。ただ2つの映画はリメイクと考えるよりも別の映画かも知れない。

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なるほど基本的設定や物語は一緒であり、クレジットもされているように正真ヴェンダース作品のリメイクだ。しかし実はまったく性格の異なる2本の映画だと思う。だからもし採点をするにしても、それぞれのジャンル内で80点だ、90点だ、と採点は出来ても、この2作品を比べて、片方を90点にするならもう一方は80点だ、などというのはあまり意味をなさない。ワインの質と日本酒の質を比べるようなものだ。比較し得る2本の映画ではなかったからこそ、ヴェンダースも手放しに絶賛できたのだろう。このリメイクを高く評価しても、自分の 『ベルリン・天使の詩』 の評価が変わることはないということだ。

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そう言えばロサンゼルスって「天使たち」っていう意味だから、この映画の舞台とするには正にうってつけの都市ですね。

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この映画の中での天使は、人間の持つ感覚とか感情を本来は持たない存在。姿を見せずに人の心を励ますこと、死に行く人に姿を現して天国へ導くこと、そういった使命を遂行する不滅の存在。そんな天使の1人、でも天使を「人」で数えていいのかな(?)、日本語って面倒です。英語なら"an angel"で済むのだけれど・・・。1人の天使セスが、ミスは犯していないのに自分の執刀した手術で患者を死なせてしまった心臓外科医マギーが苦しみ悩む様子を見て恋に落ちてしまう。やがてセスはマギーに姿を見せることもして、2人は愛し合うようになる。でも天使のままのセスと人間マギーの恋は不可能。天使は感覚を持たないから彼女に触れても何も感じることはできない。ある日マギーの患者メッシンジャーにセスは話しかけられる。メッシンジャーはかつて天使で、天使の永遠性を捨てて死すべき人間になった男だったのだ。セスはマギーへの愛のために天使であることを捨てようと思い悩むのだが・・・。

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ヴェンダースの映画では壁で2つの世界に区切られたベルリンの雰囲気、つまりそうした政治的世界の中での人々の閉塞感のようなものがあり、また物語の語りの意味や復権というテーマがあったので、あの芸術的風の作りはあれで良かった。そういうものを取り払ったこの映画では、生者と天使の恋を描くのに、主人公を生と死にかかわる心臓外科医としたのが巧みだと思います。(ヴェンダースの方では死と隣り合わせの空中ブランコでした。)そしてマギーやセスを取り巻く人々が皆善意の人に描かれていて、人の悪意がほとんど描かれない。そういう善意の世界を背景として、人が生きている意味、幸もあれば不幸もある人生で、自己選択の自由を持ち、一瞬一瞬の生を大切生きていくことの意味を描いていたと思います。感情・感覚はないけれど、しかし静謐で美しい世界にありながらも、それを捨てて有限の「人」の生を選ぶセスが描かれるわけです。単純には「愛のためにすべてを捨てること、自分を賭けることができるか」というテーマでもあります。

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そしてそのキッカケとなるのがセスのマギーへの愛で、この映画は愛の賛歌の映画に見えました。先日ケン・ローチの 『やさしくキスをして』 を見て、「決して壊れることのない永続的な(しかし拘束的な)家族愛と、未来の不確実な今だけの男女愛とどちらを大切にするか」という描かれ方があって、たとえ将来の保証がなくても「今の愛」に忠実であることが「人としての」生き方ではないかと思ったのですが、同じような人生や愛に対する考え方だと思います。最初に描かれる幼い子供の死、また人知では死ぬはずのないマギーが手術をした後死んだ患者、こういう何時訪れるか人知ではわからない死を必然とした儚い人の生を我々は生きていて、だからこそ例えば洋梨を食べて美味しいと感じる味覚でもいい、そういう日々の幸せこそ大切にするべきであり、その条件の下では一瞬一瞬を大切に生きるべきだという、こうして改めて言葉にしてみると気恥ずかしくなるようなこと、それを2人の愛を描く中に我々に再認識させてくれる、清々しい映画だと思います。幸福感の中で自転車で風を気持ち良さそうに感じながら走る最後の方のマギーが印象的ですね。

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アメリカ映画音痴、たぶんここ20年間に作られたアメリカ映画は10本も見ていない自分なので、ニコラス・ケイジもメグ・ライアンも名前しか知りませんでした。後で2人の出演作リスト見たら、見た映画は1本もなかった。どちらも、特にメグ・ライアンはなかなか素敵な人ですね。ヴェンダースの映画でマギーにあたる役を演じたソルヴェイグ・ドマルタンも素敵な人で、彼女あってこそ 『ベルリン・天使の詩』 も感慨深い映画になっていたけれど、好き嫌いはあるでしょうがこの映画も、性格はかなり違いますが、メグ・ライアンの雰囲気が良かったと思います。だからもっとメグ・ライアンを知っていて彼女が嫌いな観客にはこの映画は駄目かも知れません。ラストに関しては色々と、「こうあって欲しかった」とかもあるでしょうが、ああしなければ映画の意味は薄れてしまうと思います。そしてそういう「こうあって欲しかった」を観客に感じさせたということは、映画の成功でもあると思います。

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Last updated  2007.07.16 14:55:20
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