前回の続 き。
■南海・ 鶴岡一人
監督は、 「別所引き抜き事件」
は読売新聞・武藤三徳常務
が謀ったものではなく、巨人・ 三原脩
監督の知恵で行われたものだったと断言
している。
「(南海の)別所と木塚を引き抜けば、巨人は強くなる一方、当面のライバルで
あり、手のつけられないほど整備されていた南海は弱くなるのだから引き抜き
は一石二鳥の効果をもっていたわけだ。俊敏な三原さんらしい狙いであった」
(『御堂筋の凱歌』鶴岡一人著)
■鶴岡さんの予想を後押しする、三原脩の愛弟子でもあった 青田昇
の証言もある。
別所が2ヶ月間の出場停止処分を受けたが、そのことを指して三原監督が青田に
語りかけた言葉を青田は憶えている。
「べつに別所が出場できなくても、それはそれでいいんだ。
たとえ、別所が今シー
ズン、巨人で1勝もできなかったとしても、彼の(昨年の勝ち星の)26勝が南海
から消えるだけで、ウチが優勝できる
のだから・・・」
(1)
■この考えかた(下線部)は、読売巨人軍に最近まで脈々と受け継がれる編成術でも
ある。「自軍の日本一を阻む相手チームの選手を招き入れ二軍に干しておく」ことは
代表例でもある。
そしてその伝統を作ったのは、1978年に起きた 「江川事件」
で読売と江川陣営に
対し「NO!」と反対の声を上げた三原さんだったことが意外ではある。正義感の
強い三原さんがなぜ?
ただ三原さんの次の言葉に、善悪で判断できない巨人軍監督が背負うものの
大きさを感じることもできる。義務づけられた常勝と、巨人ファンの異常な心理と。
「一般ファンの職業野球に対する考え方は、いいプレーを見たいという事と面白い
勝敗を見たいということにある。(中略)しかし巨人に対する一般ファンの考え方に
関する限りはそうではないと思う。つまり 巨人ならばどれ程勝ち越して一方的な試合
になろうとも、ファンはそれで充分満足してくれるのである
」
(2)(三原脩著『私の
新しい野球管理術』より。
※上記(1)(2)は『三原脩と西鉄ライオンズ 魔術師』(立石泰則著、小学館刊)
194~197頁より引用した。
※文中、敬称略。
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