下着を外した胸は予想外に豊かで、森之宮の掌では覆いつくせない。先端に待ち受けている部分はしかし森之宮が高校時代に農業実習で作った小豆のように小ぶりで、口に含むとかすかに甘い香りがした。 C'est bon, ou pas? (おいしい? そうでもない?) かすれた声でアンジェがつぶやく。 「もちろん、おいしい」 何度も繰り返し言う。ゆっくりとアンジェを押しながらベッドまでたどり着く。小豆をくわえたまま腰のあたりに右腕を回して持ち上げ、そっと降ろす。アエロフロートのスチュワーデス、ローザさんにもらったファーストクラスのアメニティのスリッパを片方ずつ脱ぎながら体をアンジェの上にかぶせていく。スチームが前提なので冬でも薄手の毛布しかかかっていない寝台を少しずつ後ずさりする。唇だけでアンジェに接しているので、空いている両手で毛布をはいでいける。やがてお目当ての三叉路にたどりつく。