蒼い森の備忘録

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テーマ: お勧めの本(7899)
カテゴリ: 本・まんが
深川七不思議を題材に下町人情の世界を描く7編。



宮部みゆき さんの著書を読んだのは 「模倣犯」 が最初だったでしょうか?
でも、時代小説も抜群におもしろいことは、周知の通りです。中でも、茂七親分が活躍する本所深川ものは、NHKでドラマ化されたということもあり、よく知られているのではないでしょうか。



私は、この短編集の中では 「片葉の芦」 が一番好きです。


「片葉の芦」

〈文庫本内容紹介より〉


幼少時貧しい境遇であったが、蕎麦屋の源助の元で厳しい修行に耐え、今は一人前の蕎麦職人になっている彦次。
お美津に飯を恵んでもらっていた十二歳の彦次に藤兵衛が言った、 「いいか、お美津がおめえにやっているこの飯は、近江屋では捨てる飯だ。大川に捨てる飯だ。それをもらいに来ているおめえは、そこらの犬と同じだ。それでいいのか?犬に成り下がってもかまわねえのか?」

藤兵衛殺しの真相を探っていく過程の中で下駄職人の兄妹と知り合うが、妹のお園が言うには、幼くして二親を亡くした二人に「藤兵衛『おとっつあん』」はこう言ったという。
「金ならある。おめえたちを、ただ養ってやることもできる。でも、それをしちゃいけねえ。おめえたちはこれから大人になっていくんだ。人からお恵みを受けて生きることを覚えちゃいけねえ。」

そして兄には奉公先を見つけてくれ、自分にも子守奉公の口を世話してくれた。その後も困った時には「藤兵衛『おとっつあん』」はお金をくれたが、 「俺はおめえたちにお恵みをやるんじゃねえ。これは貸しだ。大人になって、一人前になったら返しておくんな」 と必ず言ったという。その後、下駄屋の店を出せたあとも何くれとなく援助してくれたが、返せる額はほんの少し。「藤兵衛おっとっつあんが百まで生きてくれなきゃ間に合わない」、と言うと、いつも「百まで生きる」と笑っていたのだという。そして、いつも自分達の下駄屋で下駄を買ってくれていた…。

犯人はお園の下駄屋の隣に住む瓦職人くずれだった。

その後、彦次とお園は茂七に伴われて近江屋に出向く。
彦次はお美津に遠い日の恩義のお礼を言うが、お美津は覚えてはいなかった。
また、彦次を源助のもとに世話したのは藤兵衛だった、ということも知る。


厳しい言葉と、その場の施し。「恵む」ことと「助ける」ことの差。人を本気で助けることの覚悟、自分の力で生きていけるようになることの大切さ。それを彦次は理解した。
それでも、「片葉の芦」に象徴される、お美津との幼い日のたわいない約束が、自分を支えてくれていたことは間違いないことだ、と自分に言い聞かせる。



あらすじ紹介のようになってしまいましたが、 宮部みゆき の時代短編集には「下町情緒」はもちろん、「人情」「切なさ」「人の心の機微」が描かれており、胸に迫るものがあり私は大好きです。



『本所深川ふしぎ草紙』宮部みゆき

発行所:新人物往来社
価格:\1427(税込)



本所深川ふしぎ草紙 新潮文庫(税込\540)





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Last updated  2007.12.22 05:04:14
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茂七親分、見てましたよ!  
品川もん  さん
こんにちは。
私もNHKのドラマ見てて、そこから宮部みゆきの小説も読むようになりました^^
(と言っても、まだ3冊ですが)

私は「馬鹿囃子」が一番ぐっと来ました。
うまいですよねぇ、人の心の機微を書くのが、本当に。
最近は北原亞以子にはまってますが(慶次郎縁側日記だっけな?確か。茂七親分と頭の中で絡まってしまう……)、宮部みゆきも読んでます^^ (2007.08.26 21:18:24)

はじめまして!  
淡紫  さん
品川もんさん、こんにちは。

>私は「馬鹿囃子」が一番ぐっと来ました。

私も、読み返してみて、切なくて涙が出そうになりました。

NHKの「ふしぎ草紙」観てらしたんですね。なかなかよかったですよねぇ。「足洗い屋敷」の美保純、「ならず者(砂村新田)」の遠藤憲一が良かったです。「紙吹雪」「鬼は外」なんかも印象に残ってます。

ご訪問&コメント、ありがとうございました。
また、よろしかったら遊びにいらして下さいね。


(2007.08.27 18:48:41)

どうも、訪問ありがとうです。  
品川もん さん
淡紫さん、こんにちは^^
こちらにまで来てくれて、ありがとうございました。

NHKの時代劇は、大学入りたての頃「とおりゃんせ」というドラマに感動し、そこから見始めています。
人情ドラマはそれまで見たことがなくて、ものすごく新鮮で鳥肌が立つ感じでした。

>私も、読み返してみて、切なくて涙が出そうになりました。

なんか、自分の環境と重ねて色々考えてしまって、深く心に残る作品でした。
私たちは、自分で馬鹿囃子を作りだし、また自分がその中に飲み込まれて、苦しんで生きてるのかもなぁ、そんな感想を持ちました。

「足洗い屋敷」も、慄えますねぇ。
そのほかの作品も、心が痛くなりそうなのが多かったです。
NHKはキャストが上手すぎで、芝居の上手な人ばかりだから、より一相楽しめました。
また、ゆっくり見たいなぁ^^ (2007.08.28 16:04:30)

ありがとうございます  
淡紫  さん
品川もんさん、こちらこそ、再度のご訪問ありがとうございます<(_ _)>

>私たちは、自分で馬鹿囃子を作りだし、また自分がその中に飲み込まれて、苦しんで生きてるのかもなぁ、そんな感想を持ちました。

そうですねぇ…。
そういった、生きていくということの苦しみや、逆に、ささやかな喜びといったものを、平易な言葉でもって考えさせてくれるところが、宮部みゆきを好きな理由かもな、と思いました。

NHKのドラマでは、私も好きなものがいっぱいあります。質が高いと思います。
ちょっとづつでもご紹介できればな、と思っています。

またのお越しをお待ちしてます。
(2007.08.28 20:35:33)

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