第21話・ラビット、大食い列伝


 ゲームにはまってしまったラビット君。
 しかし、彼はそれ以上に大切にしている行動があった。
 当時の下宿人達も驚かせた脅威の出来事とは!

第21話 「ラビット、大食い列伝」

 私のいた下宿は、日曜・祝日と昼以外は毎日食事が出ていた。
 特に木曜日の夕食は決まって「カレー」が出てくる。
 我々の間では通称「カレー曜日」と称していた。
 ある日…
「遅くなっちまったなぁ」
「おめーがパソコンやり過ぎなんだよ!」
 と、ラビと海ちゃんが話しながら下宿に帰ってきた。
 時すでに21時近く。
 二人で食事をしに食事部屋に向かった。
「あ、お帰り~」
 いつものごとく、下宿のおばさんが声をかけてきた。
「あ、どうも~。ではご飯頂きますね」
 軽く挨拶を済ませ、二人は黙々とご飯を食べ始めた。
 そこそこおかず等が余っていたのだが、二人が食べるには十分だった。
「今日はお腹が空いた…おばさ~ん、これ全部食べちゃってもいいですかー?」
「は?ラビ、お前この量を全部食べんのかよ。どういう胃袋してんのよ」
「俺は今育ち盛りなんだよ」
 アホが、と思っていたら
「ラビット君、全部食べても良いよ。他の子達はもう食べたから」
 とおばさんが答えた。
 海ちゃんがゆっくり食べてる間にも、ラビはもの凄い勢いで食べていた。
(見ているだけでこっちが腹がいっぱいになるなぁ)

 そしてカレー曜日の日は…
 その日はラビと海ちゃん以外にも他の下宿人が来ていた。
 皿一杯に盛られたカレーは、それだけで満足なのだが、ラビはこの日も本領を発揮した。
「おばさん、おかわり!」
 と元気よくラビが言った。
「はーい、どの位食べるの?」
「大盛りで」
「はーい」
 本当によく食べるなぁとその場にいたみんなが思っただろう。
 そしてしばらくしてから…
「おばさん、もう一回おかわり!」
「どのくらい食べるの?」
「普通位でいいですよ」
(マジで?!)と間違いなく他の人も思ったはずである。
 なぜかというと、「普通」という表現は「大盛り」とほとんど変わらないのである。見た目だけではどっちが普通で、どっちが大盛りか分からないのであった。それがおばさん流である。
「ラビちゃんはよく食べるなぁ。ブラックホールじゃねぇの?」
「だから俺は育ち盛りなんだって」
「そういう問題かよ…」
 そしてラビはぺろりと食べ尽くしてしまったのであった。
 以後ラビの大食いさは、どこにいっても伝説を残しているのであった…

[次回予告]
 次回のお話は始めて一年生時代ではない話です。
 つい最近に起こったラビの行動になります。
 久々にラビと海ちゃんが遊びに行ったのだが…
 はたして悪友コンビの遊びの先にはいったい何が起こったのだろうか!
次回 「第21話 ラビット、海ちゃんと遊ぶ」にご期待下さい。

原作 海ちゃん
制作協力 みっつ



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