第1話・オタモイへの道


 これは、みっつ達が高校1年生の夏休みも終わりに差し掛かり始めた、お盆頃の旅行でのエピソードである。
 まず、みっつ達の内部関係と旅行へ行くまでの経緯を簡単に説明するとしよう。
 みっつ達が団体で行動を共にするようになったのは、意外にも中学を卒業してからであった。それまでは、同じクラスの仲間ではあったが、休日などに集まって遊ぶ事は無かった。
 仲良くなったきっかけは、当時土曜の深夜にNHKで放送していた「ビバリーヒルズ青春白書」を皆見ていて、その話題で盛り上がったとか、とても些細な事だったと思う。
 そして、中学を卒業して疎遠になるどころか逆に休日毎に豊平川河川敷へサッカーをしに行くなどして大いに仲良くなったのだった。
 その内に夏休みに突入し、誰彼とも無く「旅行に行くべ!」と言い出し、実行に移す事になった。行き先は、小樽のオタモイ海岸であった・・・。

 旅行の日、みっつはRYOの家へと向かった。
 家が近所のRYOとフェイと共にバス停まで向かう事にしていたのだ。RYO宅に到着し、ベルを鳴らしてみるとRYOの声で、
 RYO 「入っていいぞ~。」
 と、言うのが聞こえて、みっつは不覚にも無警戒なまま、
 みっつ 「おう。お邪魔しま~す・・・。」
 と、ドアを開けて中に入ろうとすると「ぱんっ、ぱんっ」という乾いた音と共にBB弾の洗礼が待っていた。
 みっつ 「痛ぇ!こら、この猿が!止めれ!」
 RYO 「親愛の印だよ~、フレンド~。」
 と、エアガン片手に馴れ馴れしく話しかけるRYOがみっつと前に立っていた。
 みっつ 「なにが親愛だ!このカスが!」
 RYO 「おっとっと、怖いなぁ~。」
 みっつ 「全く、朝から不愉快になるぜ!フェイはまだか?」
 RYO 「まだだな~。あ、梅昆布食うか?」
 みっつ 「いや、いらねぇよ・・・。」
 そんな感じで、居間でしばらく待っていると、暫らくしてフェイが到着した。ちなみに、今回のオタモイへの旅行はフェイが場所を決定し、企画を立てていた。それが、後に大いなる誤算を招く事になるのだが、この時は誰も想像していなかった。
 フェイ 「遅れて悪かったね。」
 みっつ 「いや、別にいいぞ~。さて、行くか?」
 RYO 「あ、待ってくれ。フェイ、残りの梅昆布やるから親父に借りた釣り道具持ってくんない?」
 奥の部屋から、RYOは釣り道具を持ってきた。フェイは素直に、
 フェイ 「別にいいよ。持ってくぞ~。」
 言いながら釣り道具を持ち上げて歩き出した。それを見ていたみっつは、
 (旅行の頭から体力消耗するような事をするなよ~。しかも、食べかけの梅昆布で!軽い不平等条約だよな~。)
 と、内心思っていた。だが、これはこれで面白いので、あえて何も言わずにRYO達と雑談しながらバス停まで歩いていった。
 既にバス停には今回の旅行の残りの参加者である、岩夫とヨハンが到着していた。この旅では、大巨人と下さんが都合が悪く不参加であり、参加者は5人であった。
 ヨハン 「やぁ、おはよう。」
 岩夫 「待ってたんだよ~!」
 RYO 「いや~、みっつがさぁ、遅刻してやがってさ~。」
 みっつ 「お前がエアガンを打ってたから悪いんだべが!」
 なんだかんだで、バスの到着時刻まで少し間があったので、荷物を地面に降ろして雑談していた。その内にバスが到着し、5人は待ってましたとばかりに乗り込んだ。
 みっつ 「今日の夕飯はどうするかね?」
 ヨハン 「まぁ、旅行といってもキャンプしに行くんだから自炊かな?」
 RYO 「じゃあ、俺の持ってきた釣り道具の出番だな!なぁ、フェイ?」
 フェイ 「あぁ~!!釣り道具がない!」 
 始めの内は、フェイが言ってる事を誰も理解できないでいた。しばらくして、冷静なヨハンが、
 ヨハン 「それで、釣り道具はどうするんだ?」
 この一言を契機に、RYOはパニック状態に陥った!
 RYO 「こ、この!フェイ!どうすんだ!親父に殺される~!!」
 フェイ 「つ、次のバス停で降りるしかないんじゃない?」
 走り始めてから10分ほどで次のバス停に到着した。そして、必至の形相のRYOと犠牲者のフェイは走ってバスで来た道を戻って行くのであった・・・。

 さて、出足から大きく躓いたオタモイ旅行!果たしてこれからどうなるのか?次回は、オタモイに到着した一行が味わう新たな恐怖体験を描く、第2話「オタモイに来てみたけれど・・・。」をお贈りします!どうぞ、お楽しみに~!

※この物語は事実を元に構成されたノンフィクションです。
           [総監督・原作・監修] 海ちゃん
           [脚本・シリーズ構成] みっつ
           [製作協力] RYO


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