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一念発起して出世競争に乗り出した若者3人は60年安保の激動期に遭遇して数奇な出会いを強いられた。一人は行動右翼に、一人は警官に、一人はカメラマンになって立ち会ったのは首相私邸の前での暗殺未遂事件の主役としてであった。青春の哀歓をこめて政治とのかかえありを描いた異色の長編小説。
そういえば遠藤周作氏の作品の感想をここで
書くのは初めてでしょうか?
あまりにすばらしい本の場合
感想なんて
書くのもおこがましい気がして、
もしくは何度読んでもまだ理解しきれていない気が
いつもするため
なかなか感想をかけない
ので
“海と毒薬”
や “白い人・黄色い人”
なんかは
いつ感想が書けるかわかったものではありません。
が、この本は割りと気軽に読める内容だったので
感想書けそうです。
1966年の作品だそうで・・。
60年安保・・。
ワタシにとっては 歴史上のお話
って感じなので本当!!
残念ながら読んではいてもあまり緊迫感は感じられませんでした。
3人それぞれの思考も40年前の若者の
思考って感じでちょっとわかりにくい部分もありました。
ちょっとスレた風に装っているらしい
人も今から見ると ものすごく素朴
だったり。
昔の人って(ほんの30年ほど前だけど)義理堅くて
まじめだったんだなぁ。
警官になったほうも右翼になったほうも
基本的にはまじめで他人に影響されやすい人なのですが
ただ単に出会った人が違っただけで両極端の
立場になってしまう。
たまたま出会った人たちに影響されて
とんとん拍子に警察学校へ行ったり
右翼の塾に入ったりするのが ものすごく
都合よく
話が進むのですが、この話自体が
ファンタジーワールドのように現実感の無い
ワタシにはそのご都合主義ですら“そんなもんかな”
と気にもなりませんでした。
もっと年代が上の実際に60年代を覚えている人たちには
きっとちがった感想を持つのではと思いますが。
この本で一番印象的だったのは警察官になった男が
“個人的には安保反対なのに警察官としてデモ隊に
抵抗しなくてはいけない。“という ジレンマ
に
悩むってところでした。
ここまで極端じゃなくても
自分に忠実になることの難しさ
ってちょっと考えちゃいました。
でもそれが解決することなんてほとんど無くて
大体の場合において妥協しながら自分や立場を
だましだまし生きていかなくてはいけない
普通の人間の弱さや哀しさ
っていうものを遠藤周作氏は
他の小説でよくテーマにしていましたが
この小説では問題提起だけで 深く掘り下げられて
いなかったよう
なのが残念。
この本の発行の直前に名作 ”沈黙”
が出版されていることを思うと
どちらが先に執筆されたものかはわからないけれど
もしかしたら似たようなテーマが隠されているのかも?
と深読みしてみたり。
ほかの著作と比べてしまうと印象が薄いけれど
読みやすいので(時代背景はともかく)
入門偏
にはいいのではないでしょうか。
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