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紹介文
父と母、幼い二人の弟の遺体は顔を砕かれていた。秋葉家を襲った一家惨殺事件。修学旅行でひとり生き残った奏子は、癒しがたい傷を負ったまま大学生に成長する。父に恨みを抱きハンマーを振るった加害者にも同じ年の娘がいたことを知る。正体を隠し、奏子は彼女に会うが!?吉川英治文学新人賞受賞の衝撃作。
だ~いぶん前に読んだ記憶があるのですが
感想も書いていないようなので再読。
・・やっぱり面白いよ野沢尚!
亡くなってしまったのが本当に残念。
ホント、映像が目に浮かぶような
文章にテレビドラマを見ているようなテンポのよさ。
自分以外の家族が皆殺されて、生き残ってしまったと
感じている主人公のだけど、かわいそうなだけではない
内面のいやらしさ
(家族同然にしてくれる叔母家族の愛情への疑いとか)
や葛藤がしっかり描かれていて○。
本人にとっては優しい父だったのに実際は知り合いの加害者を
罠にかけて多額のお金を巻き上げるような人間だったと
知ったときの主人公の気持ち。
それでも被害者面をしていられるのは罪も無く殺された
幼い弟たちが免罪符になっていると思う罪悪感。
実際にこんなことが起こったら当然そうなるであろうと思う
マスコミや世間の反応、それに翻弄される関係者たちが
まったく違和感無く書かれているのはさすが。
対する加害者のほうの娘の葛藤もとてもリアル。
更には加害者自身の気持ちを推測するのも
わかるわかる~と思いながら読みすすめました。
どちらも幸せになれる可能性を秘めて物語りは
終わっています。
どちらにも幸せになってもらいたいな、と思います。
どちらの女の子のその後も気になります。短編でいいからその後の彼女たちの物語を読みたかったなぁ。
残念だなぁ。
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