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紹介文
人気絶頂のロックシンガー椎名ゆかは、コンサート中お気に入りの曲を歌っている瞬間に自分を撃ち殺してくれと頼む。シュウは彼女の額に照準を定めるのだが…(「シュート・ミー」より)。フィッツジェラルドを愛読するセンチメンタルな殺し屋のもとに転がり込んだ奇妙な7つの依頼。急逝した著者がハリウッドで映画化を夢見た幻のシリーズ。
殺し屋シュウ
いやぁ。
期待を裏切りません、野沢尚。
面白いし、設定に矛盾がないしリアルだし優しい。
相変わらずドラマにしやすそうな小説だなぁとおもいましたが
ドラマ化はされてないんですね。
舞台にはなっているようですが。
各章でタイトルになっているカクテルが出てくるのでタイアップで
スポンサーもつきそうなものなのに。
まず主人公がぐっときます。
『フィッツジェラルドを愛読するセンチメンタルな殺し屋』。
ステキです。
同じ主人公でシリーズ化してもよさそうな設定なのに
本1冊分で完結してしまっているところも潔い。
もっと読みたいなと
本編は間違いなく面白いんですが”あとがき”もまた印象に残りました。
1度だけ野沢氏に会ったことがあるという関口苑生によるもの。
『伊丹十三が自殺した。新井将敬が自殺した。・・中略・・皆が”死”に魅入られている。これが世紀末の人間の姿なのか。こんな大人たちの有様を見て、子供は思うに違いない。「要するに死ねばいいんだ。追い詰められたら死に逃げ込めばいいんだ。」ひと頃バタバタと自殺していた中学生は、このごろナイフを握るようになったが、「死」はより身近になり、甘美なものに思えてくるのに無理はない。危険極まりない時代だ。だから言いたい。「どんなに悲惨な過去を持っていようと、どんなに罪深い過ちを犯していようと、すべてを引き受け苑人生を生きろ、と」』
と野沢氏本人が言っていたにもかかわらず自身もまた自分で命を絶ってしまったことに対して
『悔しいぞ、野沢尚。』と言っています。
そのとおりだ、野沢尚。
生きていて欲しかったなぁ。
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