2006年01月06日
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カテゴリ: 映画生活


かつて少年時代に日本海に面した町に住んでいた頃、自宅から海岸までは自転車でほんの10分もかからない距離で、夏場には毎日のように海辺で遊んでいたものだが、季節が冬になると、夜中寝ている枕もとまでゴゴゴゴゴと地の底から響くような「海鳴り」が聞こえてきて、真っ暗闇の真っ黒い海のうねりの中に引き込まれていくような恐怖を想像しながら、子供心に「海って怖いなぁ」と密かに震えていたものであった。※ちなみにワタシが遊んでいたのと同時期、「横田めぐみさん」がいなくなったのも同じ海岸であった。

そんなワタシが怖いものみたさで観たのが、映画 『オープンウォーター』 である。昨日の日記に続く「実話再現もの」で、これは、1998年にオーストラリアのポートダグラスで実際に起こったダイビングにまつわる事故をモチーフにした作品である。ボートのスタッフのミスで沖合いに置き去りに去れた夫婦がそのまま行方不明となってしまった事故なのだが、映画ではその夫婦がその後、海上でどのような状況に見舞われたかということを想像で映像化したものであり、正確には「実話」ではなくてひとつのシミュレーションの提示である。

感想がどうか言うと、まずとにかく「気持ち悪い」。映画の大半が海上で漂流しているシーンなのでゆらりゆらりと画面が揺れまくりで、まるで船酔いの感覚だ。で、作品全体のデキはどうかと言うと、テーマの選び方としては思わず手を伸ばしたくなる設定でつかみはOKなのだが、その後の夫婦が行方不明状態に至るまでのシミュレーションがはっきり言ってイマイチである。遭難後の展開は誰も知らないワケだからフィクションならフィクションとして、想像の部分はいっそ思い切って作品を面白くするためにヒネリようがいろいろあったと思うのだが、どうも中途半端に「実話」を意識させようとしたためか話の展開が陳腐すぎてダメである。結局、海で怖いのは「サメが襲ってくるから」というだけの話に見えてしまうのが残念。

ま、多少評価するとすれば「やっぱり海って気色わりぃなぁ」と漠然とした恐怖を再認識する意味では、なかなか健闘している作品である。360度見渡す限り上下にうねる海しか見えない中にただポツンと浮いている自分を想像するだけで発狂ものである。映画の中で「今足に何か触った!」とか言うシーンがあるのだが、これなんかは底の見えない海の気色悪さを良く醸し出している。あー怖い怖い。
てなわけで、まぁこの映画はどちらかと言うと、海の気色悪さと船酔い感覚を共有したい方だけどうぞ。

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最終更新日  2006年01月12日 02時41分47秒
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