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到着初日の夜は、飛行機で細切れの睡眠をとってしまったのと、エアコンの効きが悪く部屋の湿気がヒドイのでなかなか寝付けず、結局ちょっとウトウトしただけで午前5時半頃に起床。1時間後には宿をチェックアウトし、早朝のデリーの街に出る。
ニューデリー駅前は、表で寝ている人も含めて朝から混み合っている。駅に着き構内に入ろうとすると、ノートとペンを持ったインド人がワタシの前に立ちふさがり「チケットを見せろ」という。てっきり駅員かと思って、日本でネット予約しておいたEチケット(専用サイトから事前にクレジット払いで購入でき、乗車時にパスポートと一緒にPCからのプリントを提示するだけでOKという超便利なシステム)を見せると、「このEチケットは、このままではダメだ」と言う。「なんで?」と訊くと、「これを今からボーディングパスに交換しなければ、このままでは列車に乗れない。オレが100ルピーで交換してきてやるから貸せ」などとふざけたことを言う。そんな必要がないのは知っているので「おまえはア・ホ・か」と男の顔の前で言い、なおも何か叫びながら腕をつかんでくるこの詐欺野郎を振り払ってホームに入る。
目指すホームはすぐに見つかった。自分の乗る車両の位置まで電光掲示で表示してくれるので、実に判りやすい。ホームで待っていると、驚くことに列車は定時前にキッチリやってきて、オンタイムで出発した。こんなことは初めてである。Eチケットのシステムといい、駅内情報の電子化といい、正確な運行時間といい、少なくとも鉄道のシステムに関する飛躍的な進歩だけは、20年前と比べると隔世の感がある。
しかしそんな快適な車内とは裏腹に、ニューデリー駅を出てすぐ、線路の両サイドに広がるスクワッター(不法占拠者の住居)の規模がもの凄い。ほとんど、山のようにうず高く積もったゴミと糞尿の巣窟の中でヒトが暮らしている感じである。線路の脇でウンコや歯磨きをしたり、裸でうろつく幼い子供たちの姿もたくさん目に付く。この子供たちの将来に、おそらく希望の光はない。スクワッターで生まれたら、どう足掻いても死ぬまでスクワッター暮らしだ。しかし、永遠に何も変わらないと思っていたインドで鉄道システムがIT化されているように、特定の産業の飛躍的な伸びによっては国家レベルの経済成長に変化が起こり、もしかするといつかは社会底辺の人々の福祉にまで金がまわるようにならんのかい、なんてことを思うが、13億人の人口をまかなうというのは、きっとそんな簡単なことではないんだろう。
片道3時間の特急列車は、インド鉄道最速のスピードで順調に進む。窓の外は、いつしか牧草地帯が延々と続くのどかな風景に変わる。しかし天候が良くない。雨季なので仕方ないが、チャンディーガルまで残り半分ぐらいの地点を過ぎた頃から次第に雲行きが怪しくなり、ついに雷鳴と共にものすごい豪雨になってきた。朝だというのに窓の外は薄暗く、列車はどことなく重いこの空気を切り裂くように走り続ける。<続>20年目の印度再訪記<番外編2> 2007年09月16日 コメント(9)
20年目の印度再訪記<番外編1> 2007年09月15日 コメント(14)
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