2007年09月06日
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カテゴリ: 旅行生活

「変態インド人のロック魂」の巻



地元の人に場所を訊き、コルビュジエの建築「レイククラブ」を訪れる。ここは「スポーツコンプレックス」になっていて、ヨットクラブとアスレチックジムなどの運動施設が一緒になった建物のようだが、50年も前のインドでこんな洒落たものを作ろうという発想がなかなか挑戦的である。建物自体はコンクリート打ちっぱなしの非常にコンパクトなもので、昨日の建築群よりもずっと身近にコルビュジエの息づかいが感じられる。外観もこの湖畔のリゾートによくマッチしている。
それにしても、賑わっている湖の入り口付近から100mほどしか離れていないというのに、ここの見学者はワタシとカラスだけである。というか、今日も街の中で外国人旅行者をまったく見かけていない。

レイククラブ隣接の別館のドアを開けて中を覗くと、薄暗いがテーブルが並んでいてレストランのようである。カーテンを閉め切った暗い店内の奥に、よく見ると店員が4人亡霊みたいに立っている。怖いよ。食事ができるのかと訊くと、できると言うので、ランチにする。窓を塞ぐ鬱陶しいカーテンを開けてもらうと、湖の眺望が抜群でベストポジションじゃないか。チキンコルマとビリヤニを頼んだのだが、これがなかなか美味い。カレーの上に散らしたパクチーが珍しく、香りが効いている。もちろん、ここでもお客はワタシひとりである。

さて、ランチを終えてレイククラブを出るが、当初楽しみにしていた「Art Gallery」も「City Museum」も、みんな休館日である。そこで、時間が余れば行ってもいいかと思っていた「ロックガーデン」という所に寄ってみることに。 芦屋の「ロックガーデン」 とは何の関係もないだろうし、せいぜい岩がいくつか転がった庭園でもあるんだろうぐらいに思っていたら、実はこれが、ワタシの予想を大きく裏切るスケールと面白さのラビリンスであった。
以下、ネット上の某サイトで見つけたロックガーデンの解説記事である。

ロックガーデンは、ネック・チャンドという1人の変人が作り上げた王国である。ネック・チャンドは交通局員だったが、1953年にチャンディーガルが造られる過程で出た大量の石や廃棄物などを見て心を動かされ、それらを再利用するために集めて郊外の森林に持って行き、それらを使って家や人形を作って秘密裏に自分の王国を造り始めた。しかしそこは政府の土地で、勝手に個人がそういうことをするのは違法行為だった。
1972年、政府が森林を開拓しているときにネック・チャンドが造った石の王国が発見された。チャンディーガルは大騒動となり何百人もの人々がネック・チャンドの王国を見に訪れた。しかし違法は違法である。政府としてはネック・チャンドを罰しなければならない。ところが、市民たちがネック・チャンドの味方になり、市民の要望によって政府は彼に石の王国造営を続けさせることを認めることになった。それだけでなく、政府は彼に給料と50人の労働者を与えた。こうしてネック・チャンドの情熱が作り上げた石の王国は政府公認のロック・ガーデンとなり、観光地に乏しいチャンディーガルの見所となっている。今も着々と王国は造り続けられているそうだ。



入場料10ルピー払って敷地の中に入ってみると、男根の形をした溶岩のような摩訶不思議なオブジェが、曲がりくねったモザイクタイルの道の両脇に乱立しているかと思えば、急に人ひとりがようやく通れる幅のむき出しの岩肌の隙間を抜けて滝のある風景に変わり、さらにその先の橋を渡ると、突然目の前に廃材で作ったと思われる奇妙な人形群が次々にバリエーションを変えながら登場する、といった具合で、これが高低差のある道で何キロも延々と続くのである。これはもう「ガーデン」というレベルではなく、まさに「狂人の王国」と呼ぶにふさわしい大パノラマ空間である(後で調べると、世界の美術評論家からも、いわゆる「アウトサイダー・アート」のひとつとして評価されているらしい)。このロックガーデンは、おそらくチャンディーガルの規則正しい計画都市に対する強烈なアンチテーゼとして作られていて、この両者の対比を見て、初めてチャンディーガル見物は完結するのだと妙に納得する。


それにしても、ロックガーデンの風景を見て歩きながらずっと「何かに似ている」と思っていたら、しばらく考えていて気がついた。これは「宮崎駿の世界」である。おそらく彼も以前この場所に来たことがあるか、少なくとも写真を見て作品のモチーフに転用しているとみた。千と千尋のカオナシでーす。〈続〉

⇒ネック・チャンドの「ロックガーデン」紹介サイトをみる(写真多数)
とにかく凄いこの創造力。






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最終更新日  2007年09月13日 17時07分22秒
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おおお  
といもい さん
シュバルの理想宮みたいやのお。私も、ひそかに鼻くそでも集めてみようかなあ。今のところ、30年あつめて、スズメバチの巣ぐらいまで成長してます。 (2007年09月13日 18時12分22秒)

Re:おおお(09/06)  
といもいさん
>シュバルの理想宮みたいやのお。私も、ひそかに鼻くそでも集めてみようかなあ。今のところ、30年あつめて、スズメバチの巣ぐらいまで成長してます。

おー、そうそう。確かに近いものがありますな。そっちも見にいかないと。
全世界から拾ってきた蝋人形で、ぜひトイモイ王国建国してください。
(2007年09月13日 18時19分13秒)

Re:20年目の印度再訪記<その5>(09/06)  
ナッチ(*^-^)  さん
心斎橋さん お帰りなさい
とっても濃い体験をされてきたようですね 
続編を楽しみにしています

トイモイ王国 私も建国して欲しいです
そこで雇ってもらおっ (2007年09月13日 19時58分01秒)

Re[1]:20年目の印度再訪記<その5>(09/06)  
ナッチ(*^-^)さん
>トイモイ王国 私も建国して欲しいです
>そこで雇ってもらおっ

鼻くその管理だそうですがよろしいですか

(2007年09月13日 21時26分56秒)

確かに。。。  
inhabitant #13  さん
カオナシだ。

松本零次なら怒るだろうけど、チャンドの家族は優しそうだから文句言わないね、多分。。。 (2007年09月14日 01時04分45秒)

Re:確かに。。。(09/06)  
inhabitant #13さん
>カオナシだ。
>松本零次なら怒るだろうけど、チャンドの家族は優しそうだから文句言わないね、多分。。。

にしても、似てますよね。
http://youtube.com/watch?v=mPdVLzItFgo

(2007年09月14日 14時42分55秒)

Re[2]:20年目の印度再訪記<その5>(09/06)  
ナッチ(*^-^)  さん
>鼻くその管理だそうですがよろしいですか
-----
お鼻くその管理は嫌です 
変な蝋人形の管理も嫌です 
庭掃除くらいでお願いします
(2007年09月17日 11時05分04秒)

Re[3]:20年目の印度再訪記<その5>(09/06)  
ナッチ(*^-^)さん
>お鼻くその管理は嫌です 
>変な蝋人形の管理も嫌です 
>庭掃除くらいでお願いします

全国津々浦々に200箇所ぐらい建設予定のようなので、身の回りの荷物をまとめておいてください。

(2007年09月17日 22時33分20秒)

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