ぼくの細道・つれづれ草

ぼくの細道・つれづれ草

2009.07.12
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   窓辺に差し込んでいた
   二人が肩を寄せ合って朗読する詩の一節が
   コヴァレフスキー邸の一室に
   静かに流れていた

    ああ どこへ去って行ったのか
    わが青春の黄金の日々よ
    あすの日は何を私に送るのか
    眼をこらして凝視しても

    いや その必要もない
    運命の掟は正しいのだから
    たとい私が
    一筋の矢に貫かれて倒れようとも
    あるいはその矢が身をかすめて飛び去ろうとも
    すべて良し 夢と目覚めの時は
    定められた時に訪れるのだから
    迷いの日も祝福あれ
    闇の訪れにも祝福あれ

   和魂洋才というべきか
   明治の九州男児が

   プーシキンの「オネーギン」の詩の一節

   こんな機会が訪れたこと自体
   巧まずして天が為せる運命の奇蹟と
   いわなければならない


   ロシア駐在武官
   片や ロシア海軍省水路部長子爵
   ウラジミール・コヴァレフスキー少将の
   令嬢アリアズナだったのだから

   しかし
   この詩の一節からは
   遠くない将来の広瀬の身の上に
   ふりかかる運命の予兆めいた
   格調を感じるではないか 





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Last updated  2009.07.12 16:02:08
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