ぼくの細道・つれづれ草

ぼくの細道・つれづれ草

2009.09.25
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  「いや いますぐというほどでもないが
   相応な値で買ってくれそうな上客を
   まず探してみてほしいのさ
   ちょっと予定していることあってね
   金の目途だけつけておきたいってわけ」
  「とおっしゃいますと
   お家でもお建てになりたいとか?」
  「ま 大したことでもないんだけどね

   並の出版社じゃとても引き受けてくれそうにもない
   つまり 世間では売れそうにもない詩集
   しかも こいつを羊皮紙で作りたいのだよ
   限定10部の特別装丁版で」
  「へえ 結構豪華な話ですが お金のほうも
   かかりそうですね」
  「そうだなあ 1部当たり30万円ぐらいってところか
   10部で300万円あれば何とかなるだろう
   ひとつ心当たりにあたってみてほしいのだがね
   ただし我侭を言わしてもらうと
   京都だけは避けてほしい

   売った方のプライバシーの問題でね」
  「わかりました 他ならぬ先生のことですから
   骨折ってみようじゃありませんか」
  「たのむよ」


   先生は 骨折りの駄賃にでもと
   なにやら 色絵の小皿を5、6枚渡したのだったが
   骨董屋の「臥竜洞」はいそいそと帰っていった






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Last updated  2009.09.25 13:56:37
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