アオイネイロ

June 10, 2009
XML
カテゴリ: 小説
「疾風、今日予定ないの?」
平日なのに珍しく授業が無い籟琉が、部屋に居た疾風にそう言ってきた。

「特に無いが?」
「ふーん……。出かけないの?」

顔を上げてそう答える疾風に、籟琉が再び尋ねる。
「出かけた方が良いなら出かけるが?」
「い、や。いいんだけどさぁー」
疾風の返答に、籟琉が困ったようにそう言った。
その時、ドアを叩く音がしてそのまま勢い良く扉が開く。

元気よくそう声をかけてくる時歌。
「何だ?」
「あ、ちょっと付き合って欲しいんだけどー」
疾風が返事をすれば、時歌の隣に居たるかがそう言ってくる。

「皆、授業は無いのか?」
「はーい、ウチ等は全員無いですねー。因みに時歌はサボりですよー」

疾風の問いかけに、沙ゞが棒読みでそう返した。
「あっははー。籟琉、疾風借りてくねぇー☆ 行こ、るかと葵ー」
「おーう。行くかぁー」
時歌の言葉に、葵が頷く。
そしてそのまま目を白黒させている疾風を引っ張って出て行った。


「あー。ありがと。疾風が今日に限って外行かないからどうしようかと思ってねぇー」

沙ゞの言葉に、籟琉がほっと息をつくとそう礼を述べた。
「ケーキ作るの?」
「いや、折角だから疾風の好物にしようかと」
沙ゞの問いかけに、籟琉が材料を用意しながらそう言う。


「ん? 苺大福」
「可愛いなオイ」

苺夢の質問にそう答えた籟琉。それに沙ゞが半眼する。
「ふふっ、疾風のイメージとは掛け離れていらっしゃいますね」
「そうだねー。でもケーキとかより和菓子の方が好きだよね」
クスクスと笑う蜻羅に、天音も笑顔でそう返した。

「でもどうやって作るのぉ?」
「簡単だよ。あんこで苺包んで、白玉粉で皮作るの」
「さっすが姫様☆」

わたわたしている苺夢を横に、さっさと作り始める籟琉。
「あ、ボク洗い物係やるぅ!」
「じゃ、ウチは食器(シルバー)磨いてよか? どうせご馳走になるんだろうし」
元気よく言う苺夢に対して、沙ゞが肩を竦めてみせる。
「んじゃ、よろしくー」
籟琉のその言葉で、皆が一斉に準備し出した。



大通りを抜けて、交流街(ロール・タウン)と呼ばれる所へ行く。
学園の全生徒や職員が行き来する、大方のものが揃った場所。
「して、何用だ?」
「んー、買い物するので荷物持つの手伝ってほしーなぁって」
疾風の問いかけに、時歌が飄々とそう返す。

「買うものなんですかい?」
「飲み物と、お菓子とかだな」

るかの問いかけに、葵がメモを片手にそう答えた。
「何をするんだ?」
「秘密ですよ」
疾風のそんな質問に、凜が人差し指を口元に当てて薄く笑った。
「あー、飲み物重いわー」
デカいペットボトルを両手に、葵が思わずそうぼやく。
そんな葵の手から、疾風がすっと袋を受け取った。

「え?」
「荷物持ちの為に呼んだんだろう? 我が持とう」

きょとんとする葵に、呆れたようにそう言って袋をかかげてみせる。
「ふふっ。今回はアタシも持つ事にするよ」
紅亜がそう言って、るかからお菓子の入った袋を受け取った。
「あとは何かいるっけ? これだけ?」
「ます、たー。ちとせ、持つ?」
袋を軽く上げた時歌に、千歳がすっと両手を差し出した。
「ん、じゃあこれ持ってくれる?」
一番小さい袋を千歳に渡して、再び歩き出す。

「もう戻っていいですかね?」
「連絡取ったー。あっちは準備オッケーだと」

凜の言葉に、葵が振り返ってそう言った。
「準備?」
「あははっ。じゃあ、早くいこっか♪」
聞き返す疾風に軽く笑って、時歌がぴょんっと一歩先を歩く。
「今日……、何かあったか?」
「さぁて、どうだろうね」
隣に居た紅亜に尋ねるが、紅亜はニヤニヤと笑ってはぐらかす。
「さって、疾風。どうぞ?」
籟琉の部屋に戻ってきて、葵達が疾風を振り返ってドアを指差した。
「……?」
不審気に眉を寄せた疾風が、ともかくドアを開いた。
その瞬間

パアァンッ!

軽い爆発音と、カラフルな色が瞳に映って
思わず身構える疾風の目の前には、笑顔な皆の姿。
「な?」
「疾風、Happy Birthday!!」
唖然としている疾風の前で、皆が一斉にそう言った。
「た、んじょうび?」
「そうそう。ほら、籟琉が頑張って作ってくれたんだから」
吃驚した表情のままの疾風に、沙ゞが笑顔でそう言った。
「主が?」
「ほら、ドウゾ」
疾風がきょとんとしたまま籟琉の方を見て、籟琉がすっとお盆を出す。
その上には、紫陽花と可愛らしい苺大福。

「疾風、好きだったよね?」
「あ、あぁ。よく覚えていたな」

籟琉の心配そうな声で我に返った疾風が、慌てて頷く。
「へぇ、可愛らしいですね」
「いちご、だいふく……」
「ふふ。まあ、何はともあれ」
じいっとそれを見つめる千歳にクスリと笑うと、蜻羅がそう声を上げた
「はっぴーばーすでい、疾風!!」
笑顔で、皆が再びそう言う。
それから騒がしくなって、部屋には声が響き渡った。


その中で疾風は、ふと幼い頃に言われた言葉を思い出した
「オマエなんて生まれてこなければよかったんだ!!」
そんな中で生きてきたのは、求めてくれる人が少なからず居たから
一人ぼっちだと思い込んでいた自分の周りに、いつの間にか沢山の人がいて
笑顔が溢れていて
自分もその中で、笑えるんじゃないだろうかと、ふとそう思って
誰かの為に優しくなりたいと、純粋に、そう思っていたいと
たとえいつか移ろい、ひと時の思いだとしても……。
2009-06-10 22:52:21


~後書きと言う名の(ry)~
か、完成しました(- -;)ゼィゼィ
頑張った。けど
ごめんなさい。やっつけ感に溢れてて(汗)
雷琉さんが苺大福作って下さいました☆
ありがとです。。
色々あれですが
明日、直すかもです^^;





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  June 10, 2009 10:56:34 PM
コメント(0) | コメントを書く
[小説] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: