アオイネイロ

May 11, 2010
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カテゴリ: 小説
「ねぇねぇ、みんなの初恋っていつだった?」
突然時歌が、そう声を上げた。
その場にいた皆が一瞬固まる。
「初恋か~。幼稚園の時かな」
「幼稚園! いいなー、一回行ってみたかった!!」
葵の言葉に、時歌がキランと目を輝かせる。
「幼稚園ですかぃ。この学園確か幼等部までありやしたね」
るかが思い出したようにそう言った。
「え? あったっけ?」

きょっとーんとした苺夢の言葉に、藾琉が軽く首を傾げる。
「で、他のみんなの初恋っていつ?」
「そんなのあったっけー? いや、無いかなー」
時歌が改めて問いかけたのに、藾琉があっさりとそう返した。
「えっとねぇ~。ボクも幼稚園の時だったよぉ~」
「ウチもそんぐらいでしたね」
苺夢の言葉に、るかもうんうんと頷く。
「私は、いつだっけ? 多分幼稚園じゃない?」
「みーんな幼稚園なのね。いいなぁ、幼稚園は出会いの場なのか」
沙ゞの言葉に、時歌がズレた感想を述べる。
「いやいや。あ、そういえば使い魔のみんなの初恋って?」

「え?」
「わぁ~ボクも知りたい~」
きょとんとしている使い魔に、苺夢がキラキラとした瞳を向ける。
「初恋………?」
「あはは、僕は5歳くらいの時だったっけ」

「5歳?」
「うん。確か幼馴染の男の子だったよ」
聞き返す苺夢に、天音が小さく笑ってそう言う。
「アタシは14の時だったかな」
面白そうに、紅亜も会話に参加する。
「へー。紅亜にも純情な時代があったんだな」
「あのね……ヒドいね、御主人」
感心したような葵の言葉に、紅亜があきれたような表情でため息をついた。
「凜と蜻羅は?」
「私は……多分、10歳の頃ですね」
振り返って尋ねてきた天音に、凜がにっこり笑ってそう言う。
「へぇ~。みんなの初恋なんて、可愛いね。見たかったー」
「あははっ。ところで蜻羅は?」
楽しそうにそう言って、皆が蜻羅を振り返る。
と、蜻羅はベッドに座ったまま固まっていた。
「はーい。蜻羅の初恋が誰か! ズバリ、『疾風』なんじゃない?」
「まっさかー。いくら蜻羅でも初恋が疾風って……」
時歌がにんまりと笑ってそう言うのを、葵が笑って否定する。
「ねー、蜻羅の初恋は誰だったの?」
笑顔で振り返ると、蜻羅は固まったまま、顔を真っ赤に染めた。
「…………え?」
「まさか、ホントに疾風?」
きょっとーんとして首を傾げる皆に、蜻羅はますます顔を赤くする。
その行為が、むしろ肯定していた。
「わー可愛いー。純情なんだねー」
「で、その疾風は初恋いつなの?」
きゃいきゃいと声を上げる女の子達に見つめられ、1人輪の中から外れていた疾風が顔を上げた。
「…………我の、初恋?」
「そう。初恋」
不審な目で聞き返した疾風に、皆がこくこくと頷く。
そしてそんな中で、頬を染めた蜻羅が若干の涙目で疾風の事を見つめていた。
「………我も、蜻羅………だと思う」
「マジで!? どんだけすごいのこのカップル! いいねーラブラブで」
何故か若干空を見ながら答えた疾風に、その場に居た皆が盛り上がる。
そんな中、蜻羅がようやく安堵の表情を浮かべたのに、疾風も息をついた。
「………で?」
「は?」
いつの間にか疾風の後ろに回った時歌が、小さく囁いた。
「疾風の初恋、ホントはいつなワケ?」
紅亜もにやにやしながら面白そうにそう聞いてくる。
「い、いや……だから蜻羅だと言っただろう」
「ほんとにぃ~? ま、いいけどね。それよりみんなの初恋話聞きたいよー」
しどろもどろになる疾風ににやりと笑ってみせると、時歌は何事も無かったようにそう言って葵達ときゃいきゃい話し始めた。
「ふぅ……。千歳は、恋はした事が?」
みんなの輪の中から外れて疾風の隣にちょこんと座っている千歳をちらりと見て、疾風がそう問いかける。
「………みんな。おともだち、だよ?」
「そうか。それもいいな」
千歳の返答に小さく笑って、疾風は千歳の頭をくしゃくしゃと撫でた。


*あとがき*
不意に思いついた。
そう、初恋ってイイヨネ☆
ちなみに疾風の初恋は蜻羅で無い事は確かだけど、本人もほんとに初恋だったのか若干疑問。
お相手は凪ちゃんでしょう。
そういや時歌さんの初恋だけ書くの忘れてたけど、まあいいでしょう。
藾琉さんはいないのかなーw





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Last updated  May 11, 2010 09:55:31 PM
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