ぼくの生徒の日のノートの上に ぼくの学校机と樹木の上に 砂の上に 雪の上に ぼくは書く おまえの名を 読まれた全ての頁の上に 書かれてない全ての頁の上に 石 血 紙 あるいは灰に ぼくは書く おまえの名を 金色に塗られた絵本の上に 騎士たちの甲冑の上に 王たちの冠の上に ぼくは書く おまえの名を 夜々の奇蹟の上に 日々のパンの上に 婚約の奇蹟の上に ぼくは書く おまえの名を 夜明けの一息ごとの息吹の上に 海の上に そこに浮かぶ船の上に そびえる山の上に わたしは書く あなたの名を 戻ってきた健康の上に 消え去った危険の上に 記憶のない希望の上に わたしはあなたの名を書く ~「リベルテ」~ 「エリュアール詩集」(思潮社刊)より Paul Eluard著 安東次男訳