差し伸べられる手 ~誰の上にも平等に訪れる事を願って~

差し伸べられる手 ~誰の上にも平等に訪れる事を願って~

リベルテ

ぼくの生徒の日のノートの上に
ぼくの学校机と樹木の上に
砂の上に 雪の上に
ぼくは書く おまえの名を

読まれた全ての頁の上に
書かれてない全ての頁の上に
石 血 紙 あるいは灰に
ぼくは書く おまえの名を

金色に塗られた絵本の上に
騎士たちの甲冑の上に
王たちの冠の上に
ぼくは書く おまえの名を

夜々の奇蹟の上に
日々のパンの上に
婚約の奇蹟の上に
ぼくは書く おまえの名を

夜明けの一息ごとの息吹の上に
海の上に そこに浮かぶ船の上に
そびえる山の上に
わたしは書く あなたの名を

戻ってきた健康の上に
消え去った危険の上に
記憶のない希望の上に
わたしはあなたの名を書く


~「リベルテ」~
「エリュアール詩集」(思潮社刊)より
 Paul Eluard著 安東次男訳


© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: