
これは元三ツ星シェフのジョエル・ロブション氏の料理の再現。今が時期の鱈をシンプルに焼いて、キャベツとスモークサーモンをブレゼ(蒸し煮)したものの上にのせたもの。サーモンのスモーク香とキャベツの甘味が、ソース代わりになると言う料理なのだ。
冬に美味しい鱈とキャベツ。さりげなくスモークサーモンを組み合わせて実に見事なマッチングに仕立てているところは、さすがに天才ロブションの仕事である。
フランスのキャベツは日本のものより固くてちょっと葉が縮れている肉厚な品種で、生食には向かないのだが、加熱するとものすごく甘味が出る。だから普通の日本のキャベツでこの料理を作っても甘味が足らずに料理としてバランスが取りづらいのだが、わが自家菜園の有機キャベツの甘味旨味はフランス物にも負けないくらいなので、立派にこの料理が成立するのだ。
鱈と言うと普通は鍋物や煮つけにするか、安物のフライくらいが似つかわしい感じで鯛や平目と言った高級魚からするとだいぶ見劣りするような気がするが、一本釣り物の活け締めの鱈となると上物は下手な鯛より高いくらいで、鱈と言ってもピンキリがあるのだが、、。それにしても三ツ星と言う高級レストランで鱈のような庶民的なイメージの魚を使うのは、なかなか出来るものではないと思う。ロブション氏はこのほかにも鯖やニシンの白子なども大胆に使ってメニューに載せていた。もっとも彼の場合、鮮度の悪い高級魚より飛び切りの鮮度の鱈や鯖を使うというのだから、結して安物を使うわけではないのだ。
こういう、庶民的な素材ながら鮮度を厳選して三ツ星料理にしてしまうと言う仕事を最初に始めたのはおそらくアラン・シャペルの鯖あたりがはしりではないだろうか。そのほかにもベルナール・パコー氏のエイとキャベツの料理や牛テールの赤ワイン煮込みなど、美味しければ素材の格にはこだわらないと言うのが、20世紀後半からのグランシェフたちの傾向である。
高級素材イコール高級料理と言う図式は一見当然のようだが、どんな高級素材でもひどい調理をされれば美味しい料理にはならないわけで、むしろこのように庶民的な素材(と言っても本当は結して安物ではないのだが、、)にプロの技術を駆使して、とても素人にはまねの出来ない料理に仕立ててみせるというのがこういう料理においての腕の見せ所だろう。
夏ですねぇ Jul 31, 2009
ラタトゥイユもできました。 Jun 25, 2009
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