幕張本郷の小さなフレンチレストラン   サンク・オ・ピエのオーナーシェフ、中村雅信の日記ページ

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Nov 19, 2009
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カテゴリ: シェフの雑記帳

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 ボジョレー・ヌーボー本日解禁!!!ですね。これは、うちが今年導入した、ペール・ギヨのヌーボー。ペール・ギヨとはギヨおじさんという意味。ボジョレーというカジュアルなワインらしいメーカー名ですが、、、このギヨのワインはの「神の雫」にも取り上げられた凄腕の作り手で、ボジョレーで最も男性的なワインが作られるモルゴン村に本拠を置くドメーヌで、熟成にはむかない若飲みワインというのが普通なボジョレー、、まあ、もっても5年が限度と言ったボジョレーの常識を覆す当たり年なら15年でも20年でも熟成するという化け物ワインを造ることで有名な人。その名の通り男のワイン!という感じの作り手。

 さて、午前零時解禁を待って抜栓。色は、鮮やかな紫色でやや濃いめ。香りは、イチゴヨーグルト。マロラクティック醗酵(乳酸発酵)によるヨーグルト系の香り(微かだが)とボジョレーのブドウ品種のガメィ独特のイチゴの香り。それも完熟を少し過ぎるかもというくらい熟れたイチゴの香り。さらにモルゴン村ならではの土の香りすら感じる。ボジョレー・ヌーボーに土の香りを感じた記憶はない。味わいは、しっかりとした綺麗な酸味があり切れがよく余韻も長い。かなり厚みがあり、しなやかなタンニンを感じる。

 総じて、美味しいワインですね!さすがに評判通り力強いヌーボーと言えるでしょう。また作柄も評判通り、7月までの涼しさがブドウに綺麗な酸味を残し、8月以降の好天で一気にブドウが完熟したという作柄情報そのままを感じる作りです。

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 そして、これは南仏オード県あたりのワイン。

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 スペイン寄りで地中海近く、温暖な気候の土地ですね。ワインは、カシスやスミレの香りに少しプラムの香りが混じる、色合いはボジョレーよりはやや淡く、濃いめのルビー色。低めの温度でも引っかかる様なタンニンはなく、スムーズですっきりした飲み口。新酒ならではのチャーミングな感じで、軽やか!

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 これも同じオード県の白ワインのヌーボー。ああ、なんて爽やか!酸味もきれいで、ほんのりかんきつ系とかすかにはちみつやアカシアの花のような甘めの香り。新酒はいいなぁ!という感じですね!

 と、いうわけで昨日は 「ボジョレー・ヌーボーと南仏の新酒を楽しむコース」

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 これは、生ハムグランパルマのリエットの仕込み。生ハムを一本買うと、生食で美味しく食べられるのはモモ肉の部分だけなので、硬いスネ肉がどうしても残ることになる。そのスネ肉ともち豚の腕肉(前足の肉)を少しの水分とラードで低温で煮込む。それを煮崩して煮汁や脂ごと固めるのがリエット。本来は、クズ肉で作る保存食だったものだ。

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 半日ほど煮込んで、煮崩す。ハムや豚肉はフードプロセッサーで細かくして、そこに肉汁と脂を混ぜ、ボールごと氷にあてて冷やしながら練り上げる。水分と脂が乳化するように練るにはかなりのスピードと力が必要。とてもきつい仕事です。腕がパンパンになります。生ハムグランパルマの素晴らしい旨味が、もち豚の美味しい脂と溶け合って、とても力強いリエットができました。塩分は生ハムの塩気のみで、あとは胡椒とナツメグだけのシンプルな味付けです。カリッと焼いたバゲットにのせて召し上がっていただきます。

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 それから、これは新鮮なときめき鶏のレバーの塩漬け。ほんのりニンニクの風味をつけカマルグ産の海塩でマリネしてます。マリネというのは、マリン(海)から派生した言葉で、海に同化するというか、海水につかるというか、要するに海の濃さくらいの塩味をつけるといことが言葉の意味だろう。またそのくらいの塩分が、酒の肴にはちょうどいいのだ。ソテーして召し上がっていただきます。

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 さらに、これは温前菜のアンドゥイエットのテリーヌの仕込み。柔らかく下茹でしたモツ(豚の小腸)ともち豚の腕肉をミンチにかける。

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 モツは一部を取り置き細切りにして混ぜ込み食感を出すようにする。アンドゥイエットとは、本来腸の腸詰のことで、、、、小腸や大腸、胃袋やクズ肉のミンチなどを大腸に詰めたものがアンドゥイユで、おなじものを小腸に詰めたものがアンドゥイエットという。言わば究極のモツ料理と言えるだろう。フランスにはアンドゥイユ賞味騎士団とか、アンドゥイエット真正愛好会などという組織?があるくらいこの料理に対する思い入れがある人が多い。美味しくできたアンドゥイエットは、実によい酒の肴になるのだが、モノがモノだけにひどい作りだと臭くて食えたものではないということもあるらしい。もちろんサンク・オ・ピエのは美味しいですよ!

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 これは、広島産牡蠣のコンフィ。牡蠣は、フライパンで乾煎りして火を通し、塩とほんの少しのオイスターソースで味をつける。オイスターソースというくらいで牡蠣に牡蠣のエキスをまとわせるのだから合わないはずがない。最後に少しクミンシードを加えて、たっぷりのオリーブオイルに漬け込む。

 この他にも、自家製のイベリコ豚のラルドに自家製のドライトマト添えとか、自家製のもち豚ロースのスモークハムとか、自家製のピクルスやひと手間かけたオリーヴの実など、「ボジョレー・ヌーボーと南仏の新酒を楽しむコース」は、前菜豪華7種盛り合わせですよ!

 本日は解禁日なので、予約が無くてもこのコースをお出しできます。まあ、基本的に予約性なので、できればお電話かメールを入れてから来てくださいね!

 お待ちしております。

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 メインは、ホロホロ鳥のモモ肉の遠赤外線グリエとシイタケのフリカッセのサラダ仕立て。

 アバンデセール(デザートの前のデザート)をはさんでデザートは、、

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 クレーム・ブリュレ・ア・ラ・カソナードです。温前菜にはフォアグラも付いてます!

 詳しくは、 こちら。






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Last updated  Nov 19, 2009 09:08:56 AM


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ゆり777 @ こんにちは。 美味しそうですね~。 チキンがジュージ…
おかめ@ Re:食べる姿(10/31) なるほど!私も無粋な行為をしていた一人…
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