つづくスープは、、、

フランス料理のスープの王者コンソメ!しかもダブル!
仕込みが大変なんです。まず一日目は、フォン・ブラン(白い肉のだし汁)をつくる。鶏ガラ7キロくらい手羽先を2キロ、牛筋や牛クズ肉を合わせて5キロくらい。これらを寸胴鍋に仕込み冷水を入れて火にかけ、80度くらいになるまで加熱してゆく。血やあくが出てきて水が灰色に濁ってきたところで、材料も寸胴もすべてきれいに洗う。こうしないと綺麗なだしがとれないのだ。沸騰し始めるとまだあくが出てくるので、これを徹底的に取る。浮いてくる脂もこまめに取っていく。人参玉ねぎセロリなどの香味野菜とローリエやパセリの茎やタイム等で作ったブーケ・ガルニも入れて煮込んでいく。5~6時間煮て漉したら一日目は終了。
牛すね肉の筋を引き赤身だけにした肉をひき肉にする。細かめに切った香味野菜と生のトマトとトマトジュース、スープを澄ますための卵白を入れてよく混ぜ合わせ、前日のフォン・ブランを冷たいまま加えてよく混ぜる。真赤な肉と野菜やトマトジュースがドロドロになった状態で、これがあの澄んだコンソメになるとは到底思えない代物だ。何回も作っているが、これが透明に澄むのだからいまだに不思議。
火にかけ沸騰し始める少し前までかき回し続ける。鍋の中の対流が安定してくると、卵白が肉や野菜とともにあくも固めて、ちょうど蓋のようになって浮かんでくる。真中に穴をあけてやって、そこからスープが静かに沸き上がるようになった頃にはスープがすっかり澄んでいる。最初は、肉の香り、野菜の香り、ハーブの香り、トマトの香り、それぞれがバラバラで全く統一感が無い。数時間煮込むと、コンソメとしか言いようがないよい香りになってくる。その時が漉すとき。コンソメという料理はそのゴールを想定して、材料の配合のバランスや煮込み煮詰める火加減や時間をすべて逆算して作る料理。経験と確かな技術が必要だ。漉して仕上げたらコンソメの完成。独特の琥珀色は、黒焼きにした玉ねぎやニンニクを入れることで付ける。これでも十分美味しいのだが、、、。
3日目にもう一度コンソメの材料を用意し、前日のコンソメに加えてもう一度コンソメを仕込む。最初のフォン・ブランから始まって、かなりの量の肉が入るので、コラーゲンも多くなってくる。そのべたつきをうまく抑えて、旨味だけをいかに表現するかが、このスープの難しいところ。コツについてはとても言葉で書けるようなものではない。前日のコンソメに3日目の材料が重なり、卵白によって雑味が吸着されて澄んだ味のコンソメになる瞬間を逃さず漉して仕上げる。
ダブルコンソメ(コンソメ・ドゥーブル)、今回は30キロ余りの材料で20リットル程の仕込みでした。だしを取るだけで30キロもの材料を捨ててしまうのだから、なんともぜいたくな料理だ。近頃こんな手間のかかるスープなど仕込むことは少ないだろう。
スープ全体をトリュフの香りに支配されたくないので、ワンタンに包んで入れてある。ワンタンをかむと香りが炸裂するというわけだ。
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