幕張本郷の小さなフレンチレストラン   サンク・オ・ピエのオーナーシェフ、中村雅信の日記ページ

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Dec 2, 2012
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カテゴリ: シェフの雑記帳

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 これは、ブラジル製のステーキナイフ。食事用のテーブルナイフですが、普通の庖丁並みによく切れます。ブラジルやアルゼンチンなど、南米の人々は分厚いステーキやシェラスコという特大肉のバーベキューが大好きです。ところがあちらの肉は、和牛の霜降り肉みたいに柔らかい肉ではなく、赤身の引き締まった肉ですから、こういうスパスパ切れるステーキナイフが必需品なんですね。

 フランスでも、高級ソムリエナイフメーカーのラギオール社などが、よく切れる刃のついたテーブルナイフを出しています。ラギオールはソムリエナイフで、数万円!(ワインの栓抜きですよ!)しますから、 テーブルナイフ も2~3万なんていうお値段なのでなかなか手が出ません。それでいろいろ探していたら、これを見つけました。千円もしないのですがスパスパよく切れます!リンゴ、レモン、大根など切って見ましたがスパスパです!

 切れ味の悪いナイフで肉を切ると、肉汁が出てしまうし、人間は五感の生き物ですから、切れ味が悪いと手が肉を硬いと感じてしまうんです。よく切れるナイフなら、好みの大きさに切りやすいし、肉汁も失われないので、一層おいしく食べることができます。というわけで、よく切れるステーキナイフを導入しました。もろに刃物ですので、お取り扱いには十分ご注意ください。

 さて、もう師走。早いもので今年も残り少なくなってきました。昨日から、サンク・オ・ピエ、 プレクリスマディナー が始まりました。それから クリスマスディナー のご予約受付もスタートしました。すでにかなり埋まってきましたので、ご予約はお早めにどうぞ!忘年会などをご検討のお客様もいらっしゃると思います、 予約の状況を確認できるカレンダーをホームページ に張り付けました。予約で満席の日や大人数が無理な日がありますのでぜひカレンダーでご確認ください。

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 プレクリスマスディナーは、フォアグラ100%のテリーヌ、自家菜園のサラダと白ワイン風味のレーズンのコンフィ添えでスタート。しっとり焼き上げたテリーヌに甘いレーズンのコンフィを合わせて食べて、ボルドーの貴腐ワイン、サント・クロワ・デュ・モンやハンガリーのトカイの完熟遅摘み甘口ワインのオレムスなどを合わせれば、まさに至福!フレンチの前菜の最高峰といわれるだけのことはあります。

 フォアグラテリーヌと言えば、若いころ勉強のために某高級レストランに食べに行ったら、テリーヌ一皿で¥6000くらいしましたね!まあ、バブル真っ盛りのころの話ですけどね、、、。そのころに比べれば、フォアグラの仕入れ自体今のほうが安くなりましたし、品質もずっと良くなりました。

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 2皿目は、サンク・オ・ピエ、シェフ風ブイヤベース。

 ブイヤベースという料理は、もとは南仏マルセイユあたりの素朴な漁師料理で、売り物にならない小魚を煮込んでスープを作ったのがはじまりです。地元マルセイユには“ブイヤベース憲章”なる物があって、それにのっとって作らないとレストランでマルセイユ風ブイヤベースと名乗ってはいけないことになっています。実際にその通りに作ると、かなり濃厚で魚の風味も強く、フェンネルやアニスの香りも強烈で日本人がイメージするブイヤベースとは程遠い感じになります。

 で、私の作り方は、魚のあら(頭や中骨、今回は金目鯛、黒ムツ、ホウボウ)を多めのオリーブオイルでニンニクとフェンネルシードと一緒に炒めます。魚がグスグスに崩れて、水分が少し飛んでパサパサしてくるくらいまで、焦がさずによく炒めます。そこに水とトマトを入れて煮込みます。アクが出るのでよく取り除きますが、油は取らないようにします。油によい風味があるから、ここがポイントです。20分ほど煮たら、シノワで漉します。そこにサフランを入れてやや強火で煮詰めていきます。これが、soupe de poissonsスープ・ド・ポアソン、魚のスープです。

 普通、ブイヤベースは魚をこのスープで煮込むのですが、私の場合は皮をパリッとポワレします。スープ皿にクルトンを敷き魚をのせ、スープをはります。ルイユソース(ニンニクとパプリカ風味のマヨネーズ風ソース)を絞り、グリエールチーズを卸してのせます。最後にパプリカパウダーを散らします。このパプリカパウダーは、スペインのハライス・デラ・ベッラのもので、燻製にして乾燥させたパプリカを粉にしたもので、その独特の風味が魚介系の料理をとても引き立てます。オリジナルからはかなり遠くなりますが、美味いです!魚料理とスープと両方楽しめます。

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 メインは、牛ヒレ肉のステーキ又はエゾ鹿のロースト、フォアグラのソテー添えマデラ酒風味のソースとトリュフの香りです。画像は、エゾ鹿です。鹿は低温ローストでしっとり仕上げ、フォアグラのソテーを添えて、マデラ酒とトリュフのソースです。まあ、間違いなしの絶対美味しい組み合わせですね!これなら文句ないでしょ?という感じですね。

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 クレーム・ブリュレ、ヴァローナのグランクリュ・ショコラ・マンジャリの生チョコパヴェ、シェフ風フィナンシェ。デザートですね。特にヴァローナのマンジャリの生チョコが美味しいですよ!これに合わせたさかもとこーひーが美味いです!

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 昨日ショコラと合わせて飲んでみたんですが、あまりのマリアージュに脱力感すら感じてしまいました!よくここまで、合わせるもんだと、、、。坂本さんの見事な仕事をお楽しみください。

プレクリスマスコースは20日まで、ご予約受け付けております。






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Last updated  Dec 2, 2012 10:29:09 AM


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madame-H@ キッシュに入れてます。 相かわらず、手間のかかるスープを楽しん…
ゆり777 @ こんにちは。 美味しそうですね~。 チキンがジュージ…
おかめ@ Re:食べる姿(10/31) なるほど!私も無粋な行為をしていた一人…
mermerada @ はじめまして! エスカルゴは好きで、メニューに有ると頼…
福島@ ソーモン う、うまそうですねーーー! 思わず涎が…

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