
7月11日にベーシストで作編曲家のチャーリー・ヘイデンが亡くなりました。享年76歳。持病のポリオ後遺症が悪化したためとのこと。彼の大ファンでしたが、そういう病を抱えていることは全く知りませんでした。
ひじょうに音楽の幅が広い人で、オーネット・コールマンとフリージャズをやったり、初期のキース・ジャレットとトリオやカルテットを組んだり、、、特にキースのカルテットはのちにアメリカン・カルテットと言われ、マイルス・クインテット(マイルス、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、トニー・ウィリアムス、ロン・カーター)やコルトレーン・カルテット(ジョン・コルトレーン、マッコイ・タイナー、ジミー・ギャリソン、エルヴィン・ジョーンズ)と並ぶジャズ史に残る名バンドとして数々のすばらしい作品を残しています。私が好きなのは、トレジャーアイランド、生と死の幻想、残氓、Eyes of the heartなど。
それから、デュオの作品がとても多い人で、アナログ盤しかないですがデニー・ザイトリン(pf)とのライブ、この中のエレン・デヴィッドという曲のベースソロは半音階でゆっくりと上がったり下がったりするだけなのにとても美しい演奏で、チャーリー・ヘイデンの真骨頂です。それからたぶんもう廃盤ですが、ミルチョ・レヴィエフ(pf)とのデュオ、この中でバッハのG線上のアリアをやっているんですが、その静謐にして研ぎ澄まされた美しさたるや!
ギターのクリスチャン・エスクデとのデュオアルバム「ジタン」の一曲目のジャンゴという曲、MJQのジョンルイスが往年の名ギタリストジャンゴ・ラインハルトをオマージュした曲ですが、その極太の力強いベースには誰もが度肝を抜かれるでしょう。もちろん、グラミー賞をとったパット・メセニー(g)とのミズーリスカイも良いですね。イギリスの知性派ピアニストジョン・テイラーとのアルバム、ラテン系のテクニシャン、ゴンサロ・ルバルカバ(pf)とのアルバム、いぶし銀のベテラン、ケニー・バロン(pf)とのライブ。もちろん忘れてならないのは、キースとのデュオ、ジャスミンとラストダンス。
エグベルト・ジスモンチ(g他)とヤン・ガルバレク(sax)とのトリオアルバム「マジコ」も忘れられません。それから、フリー色が強い自己のバンド、オールドアンドニュードリームスもありました。才女カーラ・ブレイと組んだリべレーション・ミュージック・オーケストラのあのユニークなサウンドも忘れ難いです。
しかし、本当に幅が広い人です。超前衛のフリージャズもやれば、メインストリームのスタンダードも粋にこなし、民族音楽系のミュージシャンとも共演し、ゴスペルやカントリーミュージックまでカバーするという幅の広さ!しかも、数秒聞けば、「あ、このベースはチャーリー・ヘイデンだ!」と分かるそのサウンドと存在感。
手数が多く流麗なテクニックを誇るというタイプでは決しいて無いのですが、正確なリズムキープ、正確な音程、少ない音で的確に核心を突くフレージング、唯一無二の人でした。合掌。
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