
さかもとこーひーの坂本さんも参加するいつものソムリエK氏のワイン会です。今回のワインは、k氏のメールによると、、、
NV Jacquesson Cuvee 736
2004 Bourgogne Aligote (Domaine Leroy)
2004 Bourgogne Rouge (Domaine Leroy)
2004 Morey-Saint-Denis 1er Cru Clos de la Bussiere (Georges Roumier)
2011 Chateau Roumieu Lacoste
ジャクソンは2008年がベースで樽発酵、バトナージュをしながら樽熟成。
06 、07を中心にリザーヴワインを34%使用しています。
ブレンド比率は53%シャルドネ、29%ピノ・ノワール、18%ピノ・ムニエで、
ドメーヌの畑を中心にグラン・クリュとプルミエ・クリュの1番絞りのみ使用。
ノン・フィルター、ドザージュ3g/L程度です。
ルロワのブルゴーニュ・ルージュの中身は特級のクロ・ド・ラ・ロシュ、クロ・ド・ヴージョ、コルトン・ルナルド、
1級のサヴィニー・レ・ナルバントン、ヴォルネイ・サントノ・デュ・ミリュー、
村名のポマール・レ・ヴィーニョのブレンドです。
2004年は天候不順とマダム・ルロワの旦那さんの看病のため完璧な畑仕事が出来ず、
ルロワは全ての特級と1級を格下げしています。
そしてこの年はテントウムシが大量発生したそうで、ルロワのような全房発酵の生産者は
房の内部まで入り込んだテントウムシを取り切れず、虫の体液の影響を受け、
濁った味わいになったといわれています。
最後のソーテルヌはバルサックのシャトーで畑はクリマンスの周りにあり、
セミヨン100%です。
言葉だけで味わいを伝えるのは究極的には不可能です。飲んだり食べたりする以外には、分かりません。ところが我々味のプロは、常日頃味わいを言語化する訓練をしています。まあ、そういう事が苦手な料理人のほうが多いかもしれませんが、ソムリエの場合は味わいを言語化すること自体が仕事みたいなものですから、ちゃんとしたソムリエがワインのコメントしてくれれば、それに合わせる料理もイメージできます。まあ、ソムリエでも表現がやたら詩的だったりフィーリング的(キラキラする味とかいわれてもね、、、)だったりとか、ワインの味わいについて何言ってるのか分からない人も中にはいますが、私が親しくしているソムリエは、味わいをきちっと言語化出来る人たちなので、言葉だけでかなりのやり取りができます。
さかもとこーひーの坂本さんが、私のメールだけで説明したコース料理のデザートに合わせるこーひーを実際に食べ合わせたりしないでドンピシャのブレンドを作ってくれるのも、お互い味わいの言語化が正確だからだと思います。プロ同士のやり取りですね。難しく言うとシニフィエとシニフィアンの一致というやつですな。(笑)
料理に合わせてワインを選ぶのがソムリエの仕事ですが、ワインに合わせて料理を作るというのは、意外にやっている人は少ないと思います。私の場合もう30年近く料理とワインに携わってきたので、これに関しては結構自信があります。さて、、、
最初のシャンパーニュ、ジャクソンにはフォアグラのテリーヌの薄切りとラベルルージュのスコットランド産サーモンの自家製スモークにサラダ添えです。シャンパーニュ、特に今回のように白ブドウと黒ブドウの組み合わせの作りのワインは、合わせる食材が魚でも肉系でもいけます。まあ、美味しいものならたいてい何でも良いでしょうね。それに通常のノンヴィンテージのシャンパーニュは新酒に古酒もブレンドしますから、その意味でも味の幅が広いんですね。つまり、白ブドウのさわやかさと黒ブドウの力強さと新酒のフレッシュさと古酒の熟成感をあわせもっているという事です。
フォアグラのテリーヌはフォアグラだけをテリーヌに詰めて火を通したものです。ご馳走です。ラベルル-ジュのスコットランド産サーモンのスモークはスモークサーモンの最高峰でしょう!これもご馳走です。シャンパーニュはそういうご馳走を食べるためにあるワインです。

次の白ワインは、ドメーヌ・ルロワのアリゴテ。ブルゴーニュの白ワインの上等なもの(モンラッシェ、ムルソー、コルトン・シャルルマーニュなど)は、皆シャルドネで作られます。アリゴテはシャルドネに比べると2級品種です。普通は線が細くて酸味が強い貧弱な感じのワインになりがちですが、ルロワのような超一流が手掛けるとやはり違います。2004年は赤も白も良いワインができなかった年なので、パワーはありませんがやはりルロワの上品さは想像以上でした。こういうワインにはクラシックで複雑なニュアンスな料理という事で、1本釣りの豊後水道産の平スズキをクールブイヨンでポシェにしました。クールブイヨンというのは白ワインと水玉ねぎセロリニンジンなどとローリエやパセリなどのハーブを入れて香りが良い液体を作りそれで魚を茹でてやります。茹でることをポシェと言います。
平スズキは皮が厚いので、ゼラチン質がプリプリで美味しいです。ソースはオランデーズ。卵黄に少し水を入れて泡立器でかきたててサバイヨンを作りそこへ澄ましバターを少しずつかき入れていきます。バターで作ったマヨネーズみたいなとてもコクがある滑らかなクラシックソースです。上品なルロワのワインにぴったりでした。

赤の1本目もルロワ。上記のk氏のメモにある通り思わしいワインができなかったので特級や一級のワインを格下げしてブレンドしたといういわくつき、、、しかもテントウムシの味?まあでもルロワですからね、、、。飲んでみるとやはりさすがのルロワ!2004年だけにやはりパワーは無いですけどバランスや香りや味わいは問題ないどころか素晴らしかった。
繊細なブルゴーニュの赤ワインにこのように鮭を合わせてみるのも面白いです。三陸産の雄鮭に一塩あてて、皮はカリカリに身はしっとりと真ん中あたりに少しレアっぽさを残して焼き上げます。ソースはエシャロットと赤ワインと少し赤ワインヴィネガーも加えて煮詰め、バターでつないで漉したもの。ブール・ルージュ、赤いバターソースです。
少し温度が低めにサーヴしたルロワの赤ワインに見事にマリアージュしました。

2本目の赤、ルーミエのモレ・サンドニには初物のエゾ鹿のロースト。ソース代わりに添えたポルチーニのソテーはドライポルチーニのパウダーと鶏のジュを加えて旨味を強化してバターでソテーし、仕上げに小さく切ったフォアグラを溶かしこむように加えてフォアグラの風味をつけたもの。ポルチーニとフォアグラの相性は最高ですから、もう美味いに決まっています!赤身で柔らかく脂の無い鹿肉にポルチーニとフォアグラの旨味と脂肪分が合わさって素晴らしい味わいです。
やはり2004年らしく繊細な味わいのルーミエのワインがお料理を引き立て、ベストマッチでした。少し添えた栗と里芋も秋らしい演出です。

デザートは、栗粉とアーモンド粉とAOCのブレス産バターで作った生地をフィユタージュ(折り込みパイ生地)ではさんで焼きました。中には一晩モンバジャックの貴腐ワインで漬けこんだレーズンを入れてあります。ピティヴィエというクラシックな菓子の応用です。これが美味かった!さらにセミヨン100%のソーテルヌが抜群にマリアージュ!特にレーズンを食べると凄い相性でしたね。
最後は、さかもとこーひーのアニバーサリー秋2014とベラノッテで締めました。みなさんも大満足のワイン会でした。
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