暮れに書けなかったので、いまさらですが2014のクリスマスディナーのお料理です。忘備録も兼ねてます。

Frivolité de Saumon d’Ecosse Label Rouge fumé et
Parfait de foie gras à l’armagnac ,Aspic à la moriileラベルルージュスコットランド産スモークサーモンのムース
フォアグラのパルフェ、モリーユ茸風味のアスピック添え です。
向かって右のスモークサーモンのムースは、ジョエル・ロブション氏のレシピです。普通魚のムースは火を通して作るんですが、これはスモークサーモンを生のままピュレにして、たてた生クリームと合わせたものです。サーモンに火を通していないのでなまめかしい味わいです。ロブション氏の料理名のFrivolité de Saumon フリヴォリテ・ド・ソーモンという言葉は、直訳すると サーモンの軽薄 という意味。ロブション氏がなぜそのような名前をつけたのかは、よく分からないのですが、、フランス語の単語には裏の意味が多いので私が持っている程度の辞書では、軽薄としか出てきませんが、、、まあ、私なりの解釈では、食べるとヘラヘラしてしまうほど美味しいというような意味ではないかと思っています。実際食べると思わず笑ってしまうほど美味いです。添えたイチゴがまたよく合いますね。左側のフォアグラのパルフェ、Parfait de foie gras は 完璧なフォアグラと言う意味。作り方はフォアグラのテリーヌを裏漉しして、アルマニャックブランデーを少し垂らして軽く練り、たてた生クリームと合わせたもの。香り高く旨味たっぷりのモリーユ茸風味のアスピック(コンソメゼリー)が良く合います。
どちらも、消え物的な魅力ですね。あっという間に消えてからの余韻のほうが美味しさの本体といった感じです。こういう料理にはやはりシャンパーニュしかないですね!サーモンやフォアグラの余韻とシャンパーニュの泡と余韻がなんとも心地いいです。とても評判が良い前菜でした。一皿目からパンのお替りも多かったですね。

Bisque Riche de Homardオマール海老のリッチなビスク です。
名前の通り、オマールをたっぷり出汁に使っています。もうほとんどアメリケーヌソースと言っても良いくらい濃いのですが、えぐみや臭みは出さないように工夫して仕上げてあります。ちょっとした火加減なんですが、独自の方法だと思います。濃厚なのにくどくない。上品にまとまったと思います。
普通スープにはワインを合わせないのですが、これはもうほとんど海老料理ですからワインもいけます。相川商店のドメーヌ・ミレーのプティ・シャブリなんですが、、、プティ・シャブリと言うのは、ブルゴーニュのあの有名辛口白ワイン シャブリ の格下のクラスなんです。プティ・シャブリ自体 小シャブリと言う意味ですからね、条件の悪い畑や樹齢の若い樹など格下のブドウで作るのが普通です。まあ、普通は安酒なんですよ。だから、あまり輸入もされていません。ところが、このミレーのプティ・シャブリは樹齢が20年以上で収量も1ヘクタール当たり50ヘクトリットルという低収量(かなりの高級ワイン並みです!)で、なぜプティ・シャブリと名乗るのか意味がわからないという感じのワインなんですね。このワインで次の魚料理もいけます。

Poisson du jour et saint.Jacques poêlée
Sauce YUZU et Beourre aux Algue de mer
本日の白身魚と北海道産帆立のポワレ、
柚子のソースと海藻バター
柚子のソースは、室温にゆるめたバターと柚子の皮の微塵切りを合わせた柚子バターと柚子果汁を合わせたソース。海藻バターは和歌山産のアオサノリをミルサーで粉末にしてバターとブルターニュのゲランド産の海藻入り塩を合わせたもの。柑橘の香りと酸味、海藻のミネラル分と磯の香りが、白身魚と帆立貝を引き立てます。きりっとした酸味と石灰質のミネラル感があるこのワインにもぴったりです!

Filet Canard Shallandais au sang et foie gras
Sauce Cepes sec trufféeシャラン産窒息鴨とフォアグラのソテー
ドライポルチーニのソース、トリュフ風味
この料理のポイントはソース!干すと美味しいのはシイタケだけでなく、ポルチーニも美味くなります!それに香りも深くなります。美味いソースです。それから、シャラン産窒息鴨がさんざん食べているはずの常連さんにもやたらに評判が良かったですね。中には「シェフ、これはいつものシャラン鴨と違う肉なの?」と言う方も何人かいらっしゃいました。肉はいつものシャランと同じなのですが、秋ごろから今年のクリスマスは、シャラン産窒息鴨で行こうと決めていたので、あらためてシャランの焼き方を研究しました。皮はカリカリに身のほうはしっとりはいつもの通りなのですが、そのしっとり加減がどこまでいけるのか?というのを今出来る限界あたりまで追求しました。その辺の方法論に関しては、もう言語化するのが難しいです。フライパンでチャッと焼くだけなんですけどね、、。しかし、シャランの窒息鴨は改めて美味しいなと思いました。20年近く前に初めてシャランを焼いた時には、全く手も足も出ないくらい難しい肉でしたね。この肉を焼くには免許を作った方が良いんじゃないかと思うほど、難しい肉ですよ。
さてこの料理には、やはりブルゴーニュ!ボーヌの一級畑ショワシュー、ドメーヌ・ビアー(相川商店)ブルゴーニュにはそこそこ詳しいつもりの私も耳にしたことがない畑でしたが、、、繊細な味わいが特徴の畑なので、単一銘柄で出荷されるより他の一級畑とブレンドしてボーヌ一級として出荷されるケースが多いのだそうです。この作り手のドメーヌ・ビアーはその繊細さにむしろ注目して、単一畑で出荷しているようです。ビアーは自然派の作り手で、土地のクリマを活かした素直な味わいが魅力なんですね。相川さんも「2011年なのに今飲んでもとてもバランスが良くて穏やかな味わいで料理を引き立てますよ」とのことで、、まさにその通りのワインです。若いのにこなれていて良く料理を引き立てるワインでした。

CAKE au beurre de Bresse AOC,Raisin au vin de Monbazillac pouriture noble
Pavé de Chocolat de MANJARI Valrhona
Mousse glacée au fraise créme patissiere
AOCブレス産バターとモンバジャックの貴腐ワインでマリネしたレーズンのパウンドケーキ
ヴァローナ社マンジャリのパヴェ・ド・ショコラ
イチゴのムースグラッセ、クレーム・パティシェール
デザートです。パウンドケーキときいて期待する人はあまり多くはないかもしれませんね。と言うのも、きちんとしたパウンドケーキを食べたことがある人は意外に少ないのではないかという気がします。パウンドケーキの生地は、カトル・カール(フランス語で1/4が4つという意味)と言って、バター、砂糖、小麦粉、卵が同割なんです。(後、少量のベーキングパウダーが入ります)フランスでは、女の子がお母さんやお祖母ちゃんに一番最初に習うケーキ生地と言われてますが、簡単なようで実はかなり難しいのにそれを知らない人が多いと思われます。まあ、詳しい話は長くなるし専門的になるのでなたの機会に、、、このパウンドケーキはちょっと美味しいですよ。まずAOCのブレス産のバターが美味い!値段だけでも普通のバターの4倍以上で、キロ単価でいうともうフォアグラと大して変わらないですからね。味わいもただ高いだけではなく本当に美味しいです。そこに貴腐ワインのモンバジャックでマリネしたレーズンがまたこれが美味いです。生チョコは、これも最高級のヴァローナ社のマンジャリ。ベリー系の風味が印象的なちょっと他ではない味わいです。イチゴのムースグラッセはイチゴのムースを一度冷凍してから半解凍くらいで召し上がっていただきます。クレーム・パティシエール(カスタードクリーム)とリキュールのコアントローで和えたイチゴをのせてあります。このデザートには、もちろんさかもとこーひーのサンク・オ・ピエクリスマスディナーブレンドです。貴腐ワイン風味のレーズン、豊かな風味のブレスバター、かなり特徴的なショコラのヴァローナのマンジャリだけでも難しいのに、普通はあまりイチゴに合わないはずのこーひーが見事にどのデザートとも合いました。お客様にも大好評でしたね!
数年前から、クリスマスディナーの時は全テーブルに私が料理を運んで出来る限り料理の説明をするようにしています。お客様の感想もうかがえていろいろ参考になります。
大晦日にクリヤマコトたちと忘年会をしました。実に楽しい年の暮でしたね。
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