幕張本郷の小さなフレンチレストラン   サンク・オ・ピエのオーナーシェフ、中村雅信の日記ページ

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Oct 8, 2018
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カテゴリ: シェフの雑記帳




 また、鴨やキジなど野鳥類は散弾銃で撃ちます。散弾なので打ちどころによっては内臓も被弾します。内臓でも特に腸の中は雑菌だらけですから、そういうのが肉に移る可能性もあります。そして打ち落とした鳥はたいてい犬が咥えて回収します。私たち料理人が、ジビエの鳥類を業者に頼むとクール便で段ボールに入ったそういう鳥の死体が届くわけなんです。それを自分で羽を抜いて、内臓抜いて使うわけなんですが、その行為自体も食品衛生法違反です。鳥の解体には、しかるべき資格が必要なんです。たとえ、飼育の食用のニワトリでも、お店で解体するには資格が必要です。まあ、考えてもみてください。この21世紀の時代に空飛ぶ鳥を打ち落として、犬が咥えてきたやつを高い金をとって非合法な方法でお客様に提供するなんておかしいですよね。ジビエを売りにするお店によってはシェフが自分でハンティングに出かける人もいるようですが、そういうのはもう完全に違法なんですね。食品衛生法は刑法ではないので、食中毒など出さなければ罰せられることはありませんが、ハイリスクな食材という点では間違いありませんよね。

 というわけで、もし使うとしても壱岐の網取り鴨くらいですね。網でとるので被弾しませんから内臓が崩れていないので、銃で撃ったものよりはマシということです。といっても、やはり自分で羽を抜いたりするので、違法には違いないです。

 サンク・オ・ピエでつかう、エゾ鹿はプロのハンターが撃ち、しかるべき加工施設で処理されて個体識別番号までついたものです。もう少し寒くなると入ってくる対馬のイノシシも合法的な肉です。

 そういうわけで、鳥類のジビエは基本的にやりません。鹿とイノシシだけということになります。真冬になると北海道の天候が悪い場合は鹿が入荷しないこともあります。特に一昨年は一冬ほとんど鹿がないということもありましたので、鹿好きな方はお早めにどうぞ!



 Cuissot de Chevreuil d’EZO roti Grand-Veneur エゾ鹿モモ肉のロースト、自家菜園のブルーベリーソース うちのスペシャリテです。一見すごいレアに見えますが、弱火焼きでゆっくり加熱して芯温はしっかり上げてあります。夏にとって冷凍してあるうちの畑のブルーベリーを使ったソースです。これにぴったりなグラスワインも用意してあります。ヴァン・ド・ペイ、コリーヌ・ロダニエンヌ、シラー60%ガメ40%です。鹿のベリーソースにはシラーが定番ですが、そこにベリー感の豊富なガメが入るので、まあよく合うワインですよ!

 一般的には鹿肉は熟成させて用いるシェフが多いのですが、私の場合熟成はしません。できるだけ新鮮なほうが臭みもなくて美味しいと思います。イノシシもそうです。ですから、「他のお店で食べた鹿肉と全然違う。」と、言われることがよくあります。熟成って要は肉の鮮度は落ちますから、臭みが出たりすることもありますからね、、。






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Last updated  Oct 8, 2018 03:24:06 PM


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madame-H@ キッシュに入れてます。 相かわらず、手間のかかるスープを楽しん…
ゆり777 @ こんにちは。 美味しそうですね~。 チキンがジュージ…
おかめ@ Re:食べる姿(10/31) なるほど!私も無粋な行為をしていた一人…
mermerada @ はじめまして! エスカルゴは好きで、メニューに有ると頼…
福島@ ソーモン う、うまそうですねーーー! 思わず涎が…

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