CJKが飛ぶ

Kalの休息―Fos

Kalの休息―Fortress of Solitude―

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◆DC Direct(2004)制作の“鍵”

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80pg. Giant Superman #187(Jun1966)

かつてはヨウサイと呼んでいましたが、
2006年SR映画字幕ではトリデとなっています(DVD字幕ではヨウサイでした)。
どちらでもかまわないのですが、私はヨウサイのほうがしっくりします。
このページはそんな彼の居場所について。

この名称は今でこそSupieの隠れ家として一般的ですが(←そうか?)、
元々は1938年10月に刊行のDocSavageシリーズで登場しています。

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◆左: Superman #204(Feb1968) より。休憩に行くはずが……な話。
◆右:Kyrgyzstanの2001年2月発行のSupie切手の1枚。FoSの前で記念撮影(?)

2006年8月に出た『ス☆パ☆マン パ☆フェクト・ガイド』は2002年刊行の
Superman, The Ultimate Guide to the Man of Steelの翻訳なので、
1986年以前のデータを扱っていません。映画SupieのFoSとも異なります。



マーク1北極のFoSが大々的に取り上げられたのは Action Comics #241(Jun1958) 、創刊から20年を経過してのことになります。

マーク1しかしその前段階として見逃せないのが、 Superman #17(Jul-Aug1942) です。
巨大な山陰に作られた建造物は the secret citadel と呼ばれ、過去の闘いの遺物を収めたり、
彼自身のトレィニングなどに利用されることが語られています。
その後 Superman #58(May-Jun1949) Fortress of Solitude の名が使われます。
ここでは氷と雪に閉ざされた極地の荒野polar wasteと説明され、まだ北極にあるとは明示されません。

マーク1FoSが北極にあると明示されるのが先の Action Comics #241(Jun1958) で、この時に初めて巨大な“金の鍵”も登場します。
北極の氷山頂上Mountain Top of Arcticに置かれた何トンもの鍵によって入り口を開けることができる仕組みです。
また様々な闘いでの遺物や生物、趣味の部屋(絵を描く)、LL・JO・CK・Batsyの部屋などの存在も明らかにされます。
さらにこの号では、BatsyがFoSに侵入します。どうやって侵入したかというと“鍵”に細工をして
中を空洞にし、そこに潜んでいたのです。さすがはBatsy、知能犯です。
The Super-Key to Fort Supermanと題されたこの話は
The Best of DC Blue Ribbon Digest Vol3#16(Sep1981) などに再録されています。

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◆左: Superman And His Incredible Fortress of Solitude(Summer1981) 。大型特別版(B4サイズ程度)コミックス。
◆中・右:2000年に発売された限定3500個のSnowGlobe。FoSに降り立つイメジで作られ、鍵も描かれている。

マーク1Official Metropolis Editionとして出された大型特別版コミックス Amazing World of Superman(1973) には、
FoSの内部が描かれます。ここでは見開き1ページに掲載された内部を6つに分けて並べます。

 まず中に入ると、第1階層は宇宙の動物を集めた部屋、特別武器庫・実験室・コンピュータ室になっています。
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 FoSは高いところに入り口があるので、下に降りていきます。
第2階層は左から宇宙とのコミュニケーションをとる部屋、隣がロボットを置いてある部屋、
右に行って公文書保管室・Kryptonite保管室、そしてSGirlのプライヴェトルームへの扉です。
 ロボットはかつてのコミックスに時々出てくるのですが、CKの実在証明をするために使われます。
 Kryptoniteは様々な色があり、それを実験用に保管しています。1958年にBatsyが侵入した時、
偶然にも地震が起こってこのK-Rocksがこぼれだし、Supieがピンチになるのですが、
Batsyが救い出すという展開になります。
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 第3階層はFoSの最深部に当たり、重要な部屋が続きます。
 まずは左から、Brainiacによってボトル詰めされた町Kandorが保管されている部屋です。
Supieはいつの日にかこの町を救おうと研究を続けていました。また Superman #158(Jan1963) では、
JimmyOlsenと共に身体を小さくしてこのボトルシティに入り、別のヒーローとして活躍します。
彼らのボトルシティでの呼び名はNightwing(=Supie)とFlamebird(=JO)です。
 この部屋の奥はSupieやSGirlの他、ヒーロー仲間の正体を記録した秘密の部屋です。
 右に進んで、様々な賞賛の記念品をしまう部屋、Kryptonの両親の像のある部屋となり、
その先はSupieの友人であるCKやLLなど親しいつきあいのある人々の情報を収めた秘密部屋になっています。
ここでもSupie=CKであることがばれないように、CKのものも用意してあるわけです。
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◆上記のカラー版、英吉利Egmont社で出していた Superman Annual(1979) に掲載。
SupieとJOは描かれず、各部屋の説明も減少

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◆左: Superman #213(Jan1969) より(1)。FoSにいても、常に監視の目を怠りません。
◆中: Superman #204(Feb1968) より(2)。コスチュームを清潔に保つ時脱がないようです<バカ
◆右:1988年、UKで刊行されたコミックスのおまけポストカード(3)。カードのデザインは1982年。



 しかし、この後全体の構造が異なるFoSが登場します。1976年に設定された絵だと思います。
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上のタイプと同じ3層構造になっていますが、早い時期のものは入り口の扉が山の上の方にあり、
下に進んでいくと思われるのに対して、こちらは入り口から上に上がります。(全体は氷の山に埋もれている)
DCから刊行された All New Collector's Edition C-62 Superman the Movie(1979) 掲載の全体図。

入り口から中央に広い空間が開け、これまでの活躍で入手した記念品が並べられています。
向かって左側はSuperWeapon(敵から取り上げた物を含む)の保管室、
正面奥と右側奥は外界との様々なコミュニケーション(前掲図1参照)を取れる部屋になります。
右側コミュニケーションルームの手前にはJor-ElとLaraの巨大な彫像が置かれ、
さらに手前の空間は惑星Kに関する思い出の部屋。
故郷の両親の像の後ろに宇宙からの細菌類を持ち込まないための殺菌シャワー(前掲図2参照)もあります。

右側の壁から飛び出した空間BはS-Girlのプライヴェトルームです。

2階への階段はなく(飛べるので)、中央広間部分は吹き抜けで、コの字型に部屋が続きます。
左側手前は超コンピュータ(前掲図3参照)とPhantomZoneを監視するプロジェクタの置かれた部屋、
その奥が実験室で、そこにはボトル詰めされたKandorCityも置かれています。
左側が終わり奥の広いスペースは動物たちを集めた部屋がずっと広がります。
正面から見て右側は記録類保管室になります。

3階はKalのプライヴェトルームになるので、詳細は明らかにされていません。

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Limited Collector's Edition C-48(1976) より
先に「1976年に設定された絵だと思」うと書いたとおり、1976年の絵。
1階・2階の見取り図がそれぞれ見開きで描かれますが、
次のページをめくると、いきなりこの絵になります。
“おっと、緊急事態発生だ。もう行かなくては。最上階はまた別の機会に紹介しよう。では♪”
というモエ台詞を呟くSupieです。

以上のように初期設定とは幾分配置が変わっています。



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▲STMのDeletedSceneから
マーク1コミックスでは常識のようになっていたFoSですが、Fleischerアニメやカーク・ジョージのドラマでも登場しません。
テレビでは70年代のHanna-Barbera制作Super-Friendsシリーズで、コミックスとは違う形で登場します。

マーク1一方、1978年Supie発祥の国で上映された映画では、このFoSの成立をも描き出しました。
コミックスでは何度も登場しているFoSですが、それがどのように作られたかは触れていません。
暗黙の了解でSupie自身が作ったことになっているようです。
一方クリスのSTMでは、惑星Kryptonから脱出する際に搭載されたモジュールGreenCrystalが重要な道具となります。
養父の死を経験した10代のCKは、そのクリスタルの命ずるままに北極に赴き、Crystal自体がFoSを造り出すのです。
ティーンのKalがGreenCrystalを投げ、その落下地点からFoSが成長するのはなかなか幻想的な場面です。
2006年発売のDVDは、画質がとても良いのですが、FoSの緑が強すぎるように思われます。
公開当時の鑑賞の記憶にも、こういった写真にも緑はあまり強く出ていません。

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▲STMのブループリントいわゆる青写真で、大がかりなセット関係の見取り図です。
公開当時15枚セットで売り出され、FoSは2枚収められています(通し番号のEとF、掲載はEタイプ)。
その他は惑星KryptonやLexのアジト、ダムなど。

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▲S2(1981)よりGreenCrystalを手に、LLに秘密を明かす場面。
左はスチール、右はタイのロビーカードより。

マーク1この映画版のFoSですが、シンプルな造りというか、生活臭はまったくありません。
あるのはテーブル(食欲)とベッド(性欲)……第1次欲求……それってケダモノ?(←不謹慎)

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▲乾杯場面。当時の写真だと、このように緑みはほとんどありません。
こういう写真で緑の強いものは画像処理後(DVD化後)のものですので、
それにクリスのサインが付いていても、確実に贋物です。
テーブルに載っているのがシャンペンとスフレというのもどうかと思います。
見にくいのですがモノクロはワーナーのリリース用です。
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▲ベッドシーン。モノクロの方はVIACOMでのS2のメイキングの際のリリース用です。

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▲左:S4より。今回は生みの親が登場せず、Kryptonにいた長老達との会話となっています。
右:1979年にCA州ブエナパークの蝋人形館に飾られたSupieのカード(部分)。
「認む」ページにカードは載せています。



マーク1巨大な扉に巨大な鍵と、セキュリティ万全のようですが、
早くも Action Comics #241(Jun1958) でBatsyが侵入に成功しました(前掲)。
知恵と勇気、そして深い執着心が、彼の侵入を可能にしたのでしょう。
翌年 World's Finest #100(Mar1959) にはLexLuthorが“TrojanHorse方式”で侵入しています。
また人工知能体Brainiacも World's Finest #164(Feb1967) でBatsyに化けて侵入しました。
この他、LLやJOも招かれた形ではなく侵入したことがあります。みんな好きですね【笑】

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Superman #284(Feb1975)
見開きページでこれまでのGateCrashersについて描いています

マーク1映画版ではFoSに鍵がなく、Lexが侵入に成功しました。
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▲招かれざる客2名(左)とご招待客(右)

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▲GeneralZodたちとの戦闘場面



マーク11986年、Supieコミックスの再設定が行われますが、FoSはしばらく登場しません。
ようやく登場するのが、 The Adventures of Superman #460(Nov1989) になります。
しかし、これをFoSと認めるのか否かが問題となります。
そもそも、このFoSができたのは南極です。作り主はThe Eradicatorという機械です。
何とも不吉な名前の機械ですが、これはSupieの故郷にかつてもたらされたものでした。
Supieがある事件から宇宙での孤独な旅を続けていく中で、その持ち主と出会い、地球に持ち帰ります。
しかし、Eradicatorのプログラムは地球人に危害を与えるため、Supieは金属で包んで、南極に捨てました。
不法投棄は事故の元、ではありませんが、Eradicatorは自らの力で、
南極の地に新たな要塞を作り上げたのでした。
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▲左: The Adventures of Superman #459(Oct1989) 、右:同 #460(Nov1989)

マーク1その後も設定は二転三転します。
まずは、 Superman: The Man of Steel #100(May2000)
直径5メートルほどの球体の内部に3次元空間を作り出します。
次に、 Superman #215(May2005) では
エクアドル・ペルー国境のThe Cordillera Del Condor Mountains山中に、
古代遺跡のような要塞を作り出します。

マーク1結局、従来の形に戻るのは2006年を待たねばなりませんでした。
ここでの重要な転換点は、何がFoSを作ったのかが明示されたことです。
当初のFoSがその辺りをはっきりさせていないのに対して、
今回のものはBabyKalの乗ったロケットに搭載されたクリスタルとなります。
このFoSはSTMでの設定のように故郷の素材が生み出す形となりました。

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ActionComics Annual #10(Mar2007) による見取り図


■Backissue■

FOScomics04FOS02BFOScomics05
◆ActionComics#336(Apr1966)
◆AdventureComics#382(Jul1969)
◆ActionComics#407(Dec1971)


FOScomics01FOScomics02
◆ActionComics#411(Apr1972)
◆Superman#416(Feb1986)




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