ヒズボラは8月25日、ベカー高原からカチューシャ・ロケットやドローンでイスラエルを攻撃した。目標はイスラエル軍の情報機関アマンの基地、電子情報機関8200部隊が駐留するテル・アビブ郊外の「グリロット」基地、アイン・シェメルの防空基地を含む重要な軍事施設だったという。ヒズボラのサイード・ハッサン・ナスララはこの攻撃を「アルバイーン作戦」と呼んでいる。
相当数のドローンがこれらの目標に到達したとヒズボラは主張、それに対してイスラエル政府はこの攻撃による被害に関する報道を規制している。戦略的に重要なインフラや軍事基地に対する攻撃による被害を報道する場合、事前に許可を得るよう義務付けたという。損害は深刻なのだろう。
ヒズボラは今回の攻撃で高性能ミサイルを使わなかったようだが、イスラエルは相当数の迎撃ミサイルを使ったと見られる。補充は容易でないはずで、今後予想されるイランによる報復攻撃への対応が難しくなりそうだ。
イスラエルは7月31日、マスード・ペゼシュキアンの大統領就任式に出席するためにイランを訪問していた暗殺されたハマス幹部のイスマイル・ハニエを暗殺、同じ日にヒズボラの最高幹部のひとりであるフア・シュクルも殺している。こうした暗殺に対する報復の一環なのだろう。
ガザでイスラエル軍が住民を虐殺しはじめてからイエメンのアンサール・アッラー(フーシ派)はイスラエル関連の船舶を攻撃してきたが、「シオニスト国家の奥深くに痛烈な攻撃を加える最高レベルの準備を整えている」という。
また、イラクの抵抗グループはアラブ諸国に駐留しているアメリカ軍の基地に対する軍事作戦を再開することで合意したと報じられている。アメリカの占領略奪体制が揺らぐ可能性がある。
こうした状況について、 イスラエル国防軍の予備役少将で、機甲部隊で旅団、師団を指揮した経験を持つイツハク・ブリク少将(予備役)はベンヤミン・ネタニヤフ政権の政策に否定的な見解を表明している 。ハマスとヒズボラとの消耗戦が続けば、イスラエルは1年以内に崩壊するとしているのだ。ヨアブ・ギャラント国防相たちはハマスがすぐにでも崩壊するかのように宣伝していたが、事実ではなかった。イスラエルは軍事的に厳しい状況にあるだけでなく、経済も破綻している。
すでにイスラエルの軍や情報機関の内部からもネタニヤフ政権を批判する声が聞こえてくるのだが、聖書の世界から抜け出せないカルトの信者も少なくない。イスラエル人の相当部分はユダヤ人至上主義者だとする見方があり、ネタニヤフ内閣では終末論的な発言をするカルトが過半数を占め、武装集団を形成している。軍部も手を出せないようだ。
そうしたカルトはアメリカ議会にも広がっている。 アメリカ 議会で演説したが、その際、議員たちは58回に及ぶスタンディング・オベーションを行っているのだ。
今後、イスラエルはアメリカやイギリスをはじめとする西側諸国からの支援を受け、戦乱を広げようとする可能性が高いが、それに対してロシアはイランと接触しており、助言しているはずだ。
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【 Sakurai’s Substack 】