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2006.12.03
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カテゴリ: カテゴリ未分類
18歳のBill君が書いた文章、

は、自分の家族内のドラマが
なかなか巧みに書かれています。

同時に、自分の仕事に気をとられ、
子供のことに全く関わろうとしない父親の姿や
Bill君の強い欲求やしつこいイタズラに
屈してしまう母親の姿が、かなり皮肉めいて
描かれています。


招かれていた父親。それをカバーするかの
ように、もう一人教授ではありながらも、
地道に教える、沢山の仕事をこなす、などの
仕事を引き受けながら、子育ても
ほとんど一人でやってきた母親。

しかし。
この母親が、温かい人だったのか、冷たい人
だったのか、しつけをしっかりするタイプだったのか、
なんでも子供のいいなりだったのか、
条件付けで子供をコントロールするタイプだったのか、
気分によって接し方も変わるタイプだったのか、

などに関しては、全く情報がありません。

従って、Primary Care Giverである母親が
子供にとって安心して頼れる存在だったか、
怖い存在だったか、理解してくれる存在だったか、
それとも必要なときにそこに存在していたか否か、


明らかなのは、子供が「孤独」であったこと。
家で開かれるパーティーとは、教授陣が集まる
大人の集まりばかり。
お友達も兄弟もいない彼は、
ずっとペットを欲しがっていたそうです。
しかし。
大学の中にあるマンションでは、なかなか
それも叶わなかったとか。
それと同時に、親御さんの無関心などの理由で
ペットを飼うことはずっと許されていませんでした。

ところが。
反抗期に入ったBill君。
父親と母親がまだ離婚する前のこと。

毎日のように「犬が欲しい。」と訴えます。
親がその言葉を聞きたくないのを知った上で。

クリスマス、なにが欲しい? 
と聞かれれば「犬」。
誕生日、なにが欲しい? 
と聞かれれば「犬」。
サンドウィッチになにはさむ? 
と聞かれれば「犬」。
ってな感じで。

親はあきれ果てたものの、
時がたてばBillも飽きて
そんなことを言わなくなるだろう、と
思っていたようです。

ところが。
あまりにしつこいので、母親がとうとう
「条件」と引き換えに、犬を買っても良い
というアイディアを出したそうです。
この時の父親の母親に対する軽蔑の目。
同時に、かかわりたくない父親は聞く耳持たず、
席を立っていってしまいます。

Bill君の文章によると、
「こんな『条件』ごときで僕が簡単に
 変わると本気で思っているのであるとしたら、
 世の中には親になってはいけない親が
 沢山いて、家の母親はその一人である
 ということである。」
と生意気っぽい発言をしたためています。

母親がこの条件を出したことで一端安心
していたのとは反対に、Bill君は
今まで以上に激しく「犬ゲット計画」を
家の中で展開していきます。

朝から晩まで犬の話。
親が話しの内容を逸らすと、
Bill君が元の犬の話に戻す。
「今そんな話していないよ。」
と父親が言うと、
「いいじゃん、これからすれば。」
と言い返すとか。
図書館に行って、2週間ごとに
違う犬の本を何冊も借りてきては、
家のあちこちに広げておくとか。

だんだん疲れてきた母親。
そこをあえて追い討ちをかけるように、
Bill君、ありったけのお小遣いを
はたいて、一番高い犬の首輪と鎖を
買ってくるとか。

『条件』のお話はあっという間にどこかへ
去り、Billの言動は酷くなるばかり。

父親が家に帰る時間も次第に遅くなり、
「犬」の話をするときは一人で対応せず
に済むディナータイムだけ、家族と
一緒にすごすようになったとか。

けれど、犬の話になると、父親は
「本を書く仕事が残っているから」と
席を立つ。
母親は父親の立って行った席を
恨めしそうに眺めながらも、次第に、
この勝ち目のないゲームに一人で
立ちあっていることに疲れてしまった
のだそうです。

結局、Bill君の言動が良くなる以前に
犬を買ってくるように父親に頼んだ母親。
父親もこれで、ようやくウルサイことから
開放されるといった様子で。

ただ。
Bill君の父親の買ってきた犬は、
Bill君が欲しがっていた種類とは
まったく違い、
ものすごく年老いていたとか。

犬を触ったこともない父親。
犬の種類の説明をお店の人から聞いてきた
そのまんまの言葉で、息子に説明する父親。

「名前は何?」
と母親に言われ、首輪についている札を
みたりしながら、会話が進まない父親。

「何かつけましょうよ。あなたの最近の
 本のタイトルとか。」

しらけるBill。

「彼になんて名前付けたい?Bill。」
と母親が言った時、Billはすかさず

「メスだよ、この犬。」
とボソっと言う。

しらけムードがやっと解けた安心感か
それとも親の会話に参加したことに
喜んだか、父親がそこではじめて嬉しそうに
「何だって?」
と言ってから、
「彼になんて名前をつけたい?」
と言った、とか。

どこまでも話が通じない親に対する嫌気が
さしたBillはそこで「外に行ってくる」
と言って、ドアを開けてバシーン!と閉める。

その瞬間、年老いた犬は、その音にびっくり
してか、その瞬間に眠ってしまった。

つまり死んでしまったのである。

死んだばかりの犬でも死体を触りたくない
父親は、その後庭に穴を掘って、シーツごと
穴に犬を落として埋めたのだとか。

こんなワンシーンでも、家族全員が一緒に
何かをしたのは、これが最初で最後ではないか、
というお話。

さて。
このBill君の言動が、
年齢相応のものか否か。
そして、この家族の何がどうなって、
今のBill君の状況に至ったか、など、
あらゆる場合を想定して、絞り込んでいかなくては
いけません、のです。

はー。

(つづく)






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最終更新日  2006.12.04 16:33:45
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