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ワイルドスワン 上・下 ユン・チアン著
最近、また ぼちぼちと・・・だけれど、本読みを再開しています。
以前、とある人に「ワイルドスワンは読んだ?」って聞かれ、読んでないと答えたら、あの本は読んだ方がいいよ、読むと今の中国人がなぜこんな風なのかわかると思うよ、と 言われたのです。
それで、そうかー読んだ方がいいのかぁ~と思っていたのですが。
実はね、ワイルドスワンは出版された当時 ベストセラーになっていたし話題になって評価も高かったのですが、どうにも内容が重そうで暗そうで手を出す気にならなかったのですよね。
私はどっちかといえば、エンターティメントの軽いのが読みやすく好きな人間だったし。
でも、今回 図書館にあったら読んでみよう!と思い、図書館に行ってみたらちゃんとあった。(笑)
で、借りてきて読みました。
いやあ、感想を一言でいうと すごい!すごい!すごい!!
20世紀初めに生まれた 著者の祖母から 母・著者の 女3代の歴史が書かれてあるのですが
この本を読むと 中国の内部で人々がどのように権力に翻弄され 弾圧され、抗争に追い込まれ、大変なところを生き抜いてきたのかがよくわかります。
毛沢東の無茶ぶりも。
1950年代の大躍進政策
1960年代の文化大革命政策を 毛沢東は指揮し
その二つの時代に 中国国民は推定 4000万人~7000万人が飢えや弾圧抗争の中で死に追い込まれたとの記述がありました。
規模が違いすぎて、唖然とするしかなのですが、一般国民はその中でわけもわからずうろうろするしかなかったのでしょう。
著者の両親は共産党の地方幹部であり、理想が高く非常に頭の明晰な人たちでした。
そんな環境だからこそ、他の人たちが自分や家族の身を守ることにのみ没頭していた時期に それを超えて 社会の状況を把握し記憶し、こうして作品にできたんだろうと思います。
それにしても、このユン・チアンという人は すご~く頭がいい!ものすごい記憶力です。
ご両親もずば抜けて頭がよく能力の高い人たちですが、その子供たちもそれぞれ 抜群に頭がよくて困難な時代を乗り越えて成功しているみたい。
この本に書かれている内容は ある意味悲惨だし、社会の変化に翻弄されるしかない個人の苦難が 延々と書かれているのですが、
それでも 読後暗い気持ちにはならない。
むしろ 励まされるというか、自分の気力が奮い立つようなところがある。
なぜかというと、この女性たちは これでもかこれでもかというほど、ひどい目にあって、苦労し苦しめられるのですが、それでもけして負けていないのね。
ある時期は 弾圧され押しつぶされていても、次の目が出ると すかさず立ち上がって自分のやるべきことを目指してどんどん進んでゆく。
本当にたくましく見事な女性たちです。
私は特に ユンさんのお母さんに感心しました。
そうして 家族で悲惨な環境に追い込まれてもなお 家族の絆を失わずやりくりして 生き抜いてきた彼らのたくましさに感動します。
好き嫌いは別として、日本の未来は中国との関係を抜きにしては考えられないのは明白でしょう。
中国とのこれからを考えるためにもまずは 中国人の中に何があるのか 知っておいて損はない。
この本はすごくお勧めです。
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