日舞と茶道と着物の蔵

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2006年02月03日
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カテゴリ: 和の生活 つれづれ
去年、「半七捕物帳」シリーズを読みたい由、ブログに書きました。岡本綺堂が、偶然知り合った岡っ引き上がりの粋な老人から実際に聞いた話を元にして書かれたシリーズだと知り、これは読まねば、と思ったのです。

それまで、正義の味方の岡っ引きなんてフィクションの世界だけで、実像は、みんな犯罪者上がりで、商人達に「ゆすりたかり」のごろつきのようなものだったのだろうと思っていたのです。(慶次郎縁側日記の「まむしの親分」みたいなの。最も、この親分は、これはこれで、すごーくカッコイイですが)

で、ついに、この前帰省した時に第一巻を買って帰り、読み終えました。読み終ってみると、「なぜ、もっと他の巻も買ってこなかったのだろう。」

半七捕物帳、もちろん、これは小説ですが、岡本綺堂が話を聞いた実物の半七親分のキャラや、彼の体験談は、そのまま投影されているのでしょう。いたんですね。こういう正義の好きな親分、本当に。そりゃあまあ、考えてみれば岡っ引きが小悪党ばっかりだったら、そんなに長いこと幕末まで容認されていたはずはないですよね。

晩年の親分、意外にももの柔らかな言葉使いですね。堅気の息子がいる、悠々自適の品のいい老人になったのですね。そして、若き日の、悪人相手に小気味のいいしゃべり口の親分は、想像以上に頭脳明晰で人情深いスーパー岡っ引きでした。

私は光文社の文庫でよみましたが、帯に「宮部みゆき氏愛読」とあります。何度も何度も読み返しているのだそうです。確かに、第一話の「お文の魂」など、「本所深川ふしぎ草紙」などの宮部ワールドに引き継がれているものがありますね。人の心が怪を作りだす..。「勘平の死」では、商家の旦那衆の素人芝居の「忠臣蔵」で勘平役の役者が舞台で怪死する話で、平岩弓枝の「かわせみ」シリーズでも、素人芝居の「忠臣蔵」の舞台で素人役者の旦那が死ぬ話がありましたけど、ここからヒントきてるのでしょうかね。もっとも、素人芝居の「忠臣蔵」は古川柳でも取り上げられていますから、江戸では、裕福な商人が役者の真似事をするのは盛んだったんでしょうね。それが、歌舞伎を支えてもいたのでしょう。

士族の家に生まれた綺堂は、まだ江戸の名残を留める東京に生き、半七老人から、江戸の町を悪人を追いかけて駆け廻った若き日の話を直接聞く機会に恵まれたわけです。生の江戸の空気、風俗を伝えてくれますね。なにか、安心して江戸情緒に浸れて、もちろんストーリーもおもしろいし、もっと読も。

半七捕物帳(一)半七捕物帳(一) 半七の見た江戸半七の見た江戸
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本所深川ふしぎ草紙






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最終更新日  2006年02月03日 09時32分15秒
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