2005年08月25日
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勝手にお父さんの所に行って。


お母さんに怒られるのなんか、承知で。

龍斗に怒られるのなんか、承知で。

心配かけるのなんか、承知で。



昔住んでた、家にはね、

大嫌いなあの人がいたんだぁ。

ぶっきらぼうで、酷い事も簡単に言えちゃうあの人。

でもね、行かなきゃいけなかったんだぁ。

何となく、行かなきゃいけなかったんだぁ。

それに、会いたかったんだ。

家族に。

そして、顔を目に焼き付けたかった。

家族の顔ぐらい覚えておきたかったから。


そして、全てを取り戻したんだ。

思い出も、絆も。



笑顔がキレイで、弱音を吐いたら、ずっと手を握り締めていてくれた。

優しくて、温かくて、いつの間にか忘れていた、あなたのぬくもり。

何年も離れていたけれど、お姉ちゃんと呼ばせてくれた。



どこか頼りないけど、へニャって笑う顔はとても可愛かった。

自分よりも、相手を優先して、車で迎えに来てくれた、あなたの優しさ。

記憶の片隅でしか覚えてないけど、お兄ちゃんと呼ばせてくれた。



ぶっきらぼうで、いつもいつも怒ってて。でも、最後の最後で、不器用に笑ってくれた。

そして、この前はごめんなって。少し言い過ぎたよって。

不貞腐れながら言ってくれた、素直になれないあなたの性格。

こんな、出来損なった娘にも、お父さんって呼ばせてくれた。


さなさんにも、直にぃにも、新しいお父さんにもない。

本当の家族の絆。

本当の家族の温かさ。

気づかせてくれて、ありがとう。



ずっと訪ねていなかった、麻衣の家。

今でも、天(そら)から見ていてくれますか?

あなたの人生を歩むことは出来ないけれど、

あなたの分まで、愛し、愛されています。

他の誰にも変えられない、あなたの存在。

姿は見えないけれど、心の中にしっかりと焼き付けたあなたの笑顔は、

今でも、心の中で、満開の花を咲かせています。





インターホンを鳴らしたら、いつかのように、直にぃが出てきた。

目を見開き、びっくりした顔をして・・・。


「おはようございます。龍斗居ますか?」

って言うと、「あぁ、ごめんな?居るよぉ」って、呼びに行ってくれた。

あなたも、優しい。

知っていたはずなのに、何も言わずに、呼びに行ってくれたから。

きっと、怒鳴りたかったでしょう?



慌てて階段を下りてきたあなたは、私の姿をみて、固まった。

優しく微笑むと、何処行ってたの?って動揺を隠し切れずに言ったんだ。

いろいろと って言うと、心配したんだよって、俯いた。

上がって と、俯いたまま言ったあなたは、何を思っていたのかな。



見慣れた、あなたの家さえも、忘れそうになっていたから、

帰ってきたよ。



部屋に入ってからも、あなたは俯き続けた。

ごめんね って言っても、俯いたまま黙ったまま・・・。

素直に言っていいのに・・・。怒っていいのに・・・。

あなたは優しすぎるよ。


龍斗?素直に言っていいよ。怒っていいよ。 って言っても、

あなたは何も言わないまま、突っ立って、俯き続けたまま・・・・。

でもね、知ってたんだ。

あなたが、目にいっぱい涙をためている事も。

一言でも喋ると、涙が零れてしまう事も。

泣いた所はかっこわるいからって、ずっと俯いたままなんだよね。



今日は、帰るね。もう何処にも行かないから って言って帰ろうとする私に

また、心配したんだよ って言ったあなた。

知ってるよ。知ってたよ。それを承知で居なくなったんだもの・・・。

返す言葉なんて見つからなかった。だって私が悪いから。

でも、その償いは、これからしていくつもりだよ。

だから、もう顔を上げて・・・?

所詮、私の胸の中の言葉。あなたに届くはずはないけれど。

本当に口に出したら、私も涙が零れてしまう。

そのまま、無言であなたの家を出て行ったんだ。





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最終更新日  2005年08月26日 14時42分15秒
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