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2007年05月13日
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カテゴリ: 読書感想

「昭菜と名付けられた私」 の物語。
「雪の断章」「忘れな草」に続く〈孤児〉4部作の3作目「花嫁人形」を読み終えました。

すごい!
シリーズを読み進めば進むほど 腹が立って仕方ない のに、読むのを止められない!


岡家には美しい4姉妹の影に、社会とのつながりを断絶された娘・昭菜がいた。
家族から虐げられ、読み書きすら知らぬまま成長した昭菜は、
普段は冷酷な叔父・壮嗣が見せる密かな愛情だけを心の支えに生きるが……。

雪の花という言葉は、二人だけの秘密―。
許されぬ恋でもかまわない、この愛は、ただ一つの光。家族に疎まれながら孤独に成長した昭菜。若き叔父と育む愛は、悲劇のはじまりだった。



「愛の芸術の哀しみは語るすべなき錦織。
若冬に舞うひとひらは涙をためた花嫁人形に降りしきる。」



読めば読むほど腹が立つのに読むのを止められない。
つまりは、是も非も超えたところで、読者を世界に引きずり込む力があるってことで。一旦嵌ると抜け出せない、恐るべし佐々木丸美ワールド。

不幸な少女が拡大再生産されていくとしか思えないこの孤児シリーズ、相変わらず美男美女しか出てきません。そして、ヒロインの趣味がどんどん分からなくなってくるシリーズでもあります。更には、どんどん児童相談所(もしくは警察)に通報したくなるシリーズと言うべきか。

児童虐待が叫ばれてる昨今、出版された当時(30年近く前)ならいざしらず、今、これを出版して、主要登場人物達に対する読者の理解が得られるかは心底謎です。
主人公 昭菜に対する ネグレクト もここに極まれり。
いやもう、読んでて禾田部長こそが真の悪人、ラスボスじゃないかと真剣に思いました。
耳障りのいい御託を並べて、その実、犯罪行為を見逃す、むしろ助長するだけの存在にしか見えんがな。まあ、それは昭菜の想い人の壮嗣さんにも言えるわけで。
どんな理由があろうとも、ネグレクトを放置するのはネグレクトをするのと一緒。同罪です。

というわけで、読んでてむかつくのなんのってーーー!
「忘れな草」の高杉さん以上にむかつくキャラはもういないだろと思ったら上手がいたよ。
そういや、中学生の頃初めて読んだ時にもむかついたんだったっていう遠い過去(?)をも思い出しました。

壮嗣さんの台詞にいちいち腹が立つ。

「勉強を始める前にまず昭菜の心を強制したい。今まで何度も独学しながら織たちにちょっとからかわれるとやめてしまった。そんな弱い気持ちでどうするのだ、それは昭菜の中にどうせ私は勉強などしなくていいと甘ったれた気持ちがあるからだ、そして学問を奪りあげた者たちに意地も見せずにだらだらと赦してしまうことだ。」

小学校にも行かせてもらえなかった女の子に無茶言うな!(`Д´) ムキー!
っていうか、あんただってそれを助長してたくせに、どの口がそれを言うかな!

「恋は当人同志だが結婚は家が伴う」

え?それっていつの時代の話?戦国時代か?っていうか、一体あんた何歳?

という具合に、壮嗣さんの台詞にいちいち突っ込んでしまう罠。


昭菜も織も奈津子も、壮嗣さんに人生を狂わされていくばかり。
そんなこんなで、ひたすらむかつくんですが、なんで途中で読むのを放棄できないんでしょうか?
ラストでうっかり感動してしまうんでしょうか?
ある意味、これも一つのハッピーエンドだなんて思うんでしょうか?

駄目だ、佐々木丸美作品は、駄目なことが分かってて止められないやばい薬みたいだ。

ストーリーは相変わらず、分かるようでいてさっぱり分かりません。
「雪の断章」はまだ地に足がついていたけど、遺産の謎が絡まってくるとどんどん現実(リアル)とかけ離れていって荒唐無稽なファンタジーに。
更にはリリカルで情緒的な文体に惑わされるので、何が分からないのかも分かりません(笑)

そんな孤児シリーズですが、ひとまず次の「風花の里」で終わり。「花嫁人形」までしか読んでなかったので、「風花の里」は未読です。
未完のシリーズなので、読みたいような読みたくないような……
とは言え、文句を言いつつ、読むのは止められないんですけどね。

孤児シリーズが終われば次は館シリーズ。当分、佐々木丸美作品から離れられそうにありません。




前2作の感想はこちら→ 「雪の断章」 「忘れな草」



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最終更新日  2007年05月13日 09時43分38秒
コメント(2) | コメントを書く


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Re:「花嫁人形」 佐々木丸美(05/13)  
なかさん☆  さん
 おおーっ、なんかかずはさんの感想を読んでいたら無性に読みたくなってきたですよ!
 確かに腹立つ話の展開だった気がする・・・ただ、ひたすら残酷な話で、決定的に残酷なラストが印象的だった記憶が。
 悲劇に陶酔したがる中学生時代に読んだ時と、今とでは感想も変わって来るのかどうなんだか。
 今は読めなくなっちゃったなつかし漫画『キャンディ・キャンディ』もどう思うのか。
 数十年の時が私の感受性をどう変えたのか試してみたい(が、そんなヒマはどこにもない:涙) (2007年05月18日 02時51分46秒)

確かに、当時抜け出せませんでした(笑)  
ともやん さん
世にも美しい文体で綴られる、世にも醜くてドロドロとした人間関係に翻弄された運命の従姉妹三人目、昭菜の物語。

当時は岡家の家族全員でのあまりのネグレクト振りに、マジで腹を立てながら読んだものですが、年齢を経ると共に彼等がそうならざるを得なかったのは仕方なかったのかな。とも思いました。
そうは言っても、大人の事情など何も知らない昭菜自身には全く関係ない訳で、その点では理不尽な精神的虐待を長年してきた岡家四姉妹がああいう末路を辿ったのは必然だと言うしかない訳です。
四女の織ちゃんは本当に気の毒だったけど。

壮嗣さんの思考は今でも分かりません。
小学校にも通っていなかったのに自力で文字を判読し、意味を理解し、書けるようになった(それだけでも凄まじくスゲエと思います)昭菜への冷たさは演技とはあまり思えなかったし、その後二人きりの時には年頃の少女らしく可憐に装うことを勧めた感情も、よく分からないです
何もかも自分の支配下に置きたい、光源氏的感情だったのか?
そして岡夫妻も本心が分からない人たちですね。
昭菜の為に万年筆を買ってやったり、熱を出せば徹夜で看病をするぐらいの情はあるのに、それを一切表に出さなかったんだから。
この冷徹な人たちには、昭菜が書いた歪んだ「お父さん、お母さん」という文字が心に届いていなかったのでしょうか。

ちなみに、次の「風花の里」は従姉妹たちとは少し距離を置いています。でも読んでいないと人間関係やそれに伴う因果の繋がりが分かりにくくなる訳で…まさに麻薬ですね。
もちろん、後ろに控えている館シリーズも必読です。 (2007年05月27日 02時42分24秒)

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