+詩+84


⊥羽根の記憶⊥








翼をもがれた僕

大空を飛ぶ君を追うため地面を這いつくばって生きる姿は

空を飛ぶ君から見たらたいそう滑稽だろうね












また翼が生えてくると信じていた

また飛べる日が来ると信じていた




でも僕はニンゲンだから

飛ぶ事が出来ない

「未来へ向かって羽ばたこう」と言われても





せいぜいジャンプするのが精一杯

あの月も

あの雲も

あの星も

あの空も

もう掴む事が出来ないのか.....






飛べなかったら歩けばいい

世界一高いハシゴを作って

それに登って遠い、遠い君の元へ

再び舞い戻ってやるよ





君を驚かして、悔しがらせてあげる







墜ちるのは簡単だった

けど登るのはとてつもなく大変だったんだね






下り坂は転がっていくだけで簡単だけど

どんどん地上のせまっちょろい景色だけになる




飽きた




だから新しい景色を探すために

古い景色に君はいないから

君を捜すために今日も僕はハシゴを作る





新しい景色を手に入れた僕を見て

悔しがる君を見るために




悪趣味かい?

でもいつも同じ顔ばかりしている君の表情に



色を付けてあげたいという僕のお節介と悪趣味ですから



君の顔、



ほら地上みたい




新しい背景と

新しい色を得よう

新しい羽根も手に入れよう

古い翼の記憶は君の色と混じり

また大層素敵な色を作り出すでしょう


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: