+詩+90




¨言うならば¨








冷たく暗い暗い水の底

深く広い海の底




誰もいない孤独の海に俺は溺れ

どんどんどんどん深みにはまり

気付けば真っ暗な海の底にいた



助けて、助けてと何度も叫んだけど

仮面を被るこの世界では

誰も俺の存在に気付かなかった



海には光は差し込んでいた

けどそんな光さえ遠くにあった




海の底の、砂に埋もれていく俺

叫ぶ元気さえも残っていなかった




気付けばもう直ぐ俺にも仮面が被せられようとしていた

別に、どうだっていい



けどその時アンタが

俺を見つけてくれたんだ

アンタが俺を其処から引き摺り出してくれた




光。

光は遠くにあったんじゃなくて

俺が勝手に遠くにあると勘違いしていただけだった



手。

その大きな手で俺を撫で微笑んでいてくれた

その暖かい手で俺を包んでくれた




今此処の世界では

漂うんじゃなくて陸を歩く

正直言うと陸って坂道とかでこぼこ道とかがあって

今まで「漂っていた」俺には

すごく面倒で疲れる





それでも君と支えあって

ヨロヨロと、フラフラと歩いていけば

いいのかもしれないね。


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