
去る3月24日(火)夜、お遍路をテーマにした珍しいトークイベントが、阿佐ヶ谷ロフトAで開かれました。先日お知らせしていたように、「『死』を歩く旅~四国遍路と生きる意味」という重そうなタイトルに、お客が集まるのだろうかと不安に思っていました。結果は企画したフォトジャーナリスト桃井和馬さんのご尽力で、80名近い善男善女が参集してくれました。お忙しい折、ご来場いただき誠に有難うございました。薄暗い客席の顔が皆、輝いていたのを覚えています。上に掲載したイベントの写真は、三田典玄さんよりお送りいただいたものです。有難うございます。
お遍路ナイトは、桃井さんの素晴しいお遍路写真のスライドショーから始まりました。一同、一気にお遍路の世界へと引き込まれてしまいました。
慣れないパネラーのひとりとして出席した拙僧は、プロの写真家の前で恥知らずにも自分のお遍路の思い出の写真をプロジェクターで紹介。高野山から和歌山を経てフェリーで徳島に渡ったときに撮影した海面に一直線に伸びた光りの道の写真を見ていただきながら、「これは彼岸に渡る道だ。四国は浄土だと感じました」と話しました。楽しくおしゃべりしているうちに時間が無くなってしまい、ほんとうに伝えたかったことが伝えられたのかどうか、応援に駆けつけてくれた知人達に、楽しかった、おもしろかったと言われてひと安心したものの、いささか後悔気味。

後はどういう経緯からかロフトプロジェクト代表の平野さんに「カルトはどうして見分ける?」と突っ込まれて、「自らの教祖や教義を絶対視して他の価値観を認めない独善的なもの」と応えたのを覚えているくらいで、印象的なことを言えたのかどうか。。。
四国58番札所「仙遊寺」の若い副住職、八木弘憲さんがお話しくださった、子供達とのやさしさにあふれたエピソードなどを伺って、心にあたたかいものを感じたところで、ちょうど時間となりました。あたたかい拍手をいただき、ほっとしました。
終了後、拙僧のお遍路友達を弘憲さんに紹介したところ、彼は仙遊寺さんのワンコの思い出を話しました。名前はチコちゃんというのだそうですが、拙僧もぬぅーっとしたそのワンコはよく覚えておりました。弘憲さんの話では、チコちゃんは死んでしまったとのことでした。その日、姿が見えなくなったチコちゃんをみんなで探しておりますと、櫻の木の下で眠るように死んでいたそうです。まだ肌寒く他の櫻はちょっとしか咲いていないのに、チコちゃんの櫻だけは満開であったそうです。不謹慎にも拙僧は「カッコイイ!」と言ってしまいました。拙僧の脳裏に反射的に浮かんだのは、
願はくは花の下にて春死なむそのきさらぎの望月のころ
そう西行法師の和歌ですよね。櫻の好きな日本人はこの歌を、理想の死に方と考えてきたのですよ。チコちゃんは、西行の生まれ変わりかもしれませんね。ああ、あやかりたい、あやかりたい。認知症気味の拙僧のこの日の記憶はもうこの一点に絞られてしまい後はすっかり消去です。
満開の櫻の下で眠りたる チコは夢見の永遠(とわ)の道行き
合掌 観学院称徳

因みに西行法師は、平安末~鎌倉初期の歌僧で、法名は円位。俗名は、佐藤義清(のりきよ)。そう、落語にもなっており、先代と今の三遊亭圓歌師匠がやっています。鳥羽上皇に仕えた北面の武士でしたが、若くして無常を感じ、僧となって、高野山や伊勢を本拠に、遠く陸奥や四国にも旅して歌を残しています。新古今集には94首も掲載されています。歌集「山家(さんか)集」が有名です。西行法師は文治6年2月16日に亡くなりましたが、有名な「願はくは花の下にて春死なむそのきさらぎの望月のころ」の歌にちなんで、前日の涅槃(ねはん)の日(陰暦2月15日)を忌日とし、この日を円位忌(えんいき)ともいうそうです。(『広辞苑』より)
仏教を知るお奨め本(5)(Posted on 06/… 2016年01月19日
仏教を知るお奨め本(4)(Posted on 06/… 2016年01月12日
仏教を知るお奨め本(3)(Posted on 06/0… 2015年12月11日
PR
カテゴリ
カレンダー
コメント新着
キーワードサーチ
フリーページ