FINLANDIA

FINLANDIA

PR

Calendar

Keyword Search

▼キーワード検索

Archives

2025年11月
2025年10月
2025年09月
2025年08月
2025年07月
2025年06月
2025年05月
2025年04月
2025年03月
2025年02月
2012年10月10日
XML
テーマ: 實戦刀譚(65)
カテゴリ: 實戦刀譚

陣中わざもの帳


  水戸勝村


  勝村〔かつむら〕という刀は、よく聞いてはいたが、
 内地では、未見のままであった。陣中ではじめて見た。
 刃長二尺三寸六分、反り五分、水府住勝村徳勝〔のりかつ〕という銘を切り、
 中心はズンと長い。身幅も重ねも相当にあり、地は柾目、
 飛び焼きのある砂流〔すなが〕しの直刃で、
 見るからに近代水戸魂を反映したような業物であった。
 所持者は橋本准尉で、袈裟掛け切り放しを五つもやったが、
 一人は肩甲骨から背骨へザックリと痛快に斬り込んで仕留め、
 一人は相当の重傷を負わせたが遂々〔とうとう〕逃してしまい、
 三人は各二太刀で仕留め、別の一人は面を斬ったが、
 浅いようであったが前 のめり に倒れたので二太刀目に留めを刺した。
 「面に行く刃は浅傷でも敵は十中の九までは参る。
 その他ではかなり重傷を負わせても逃げるものなることを体験した。」
 と語ったが、平野准尉の場合もそうであり、話が期せずして一致した尊い体験談で、
 今後の剣道教授上にも、大いに参考になる事と思う。
 両氏はともに剣道銃剣の達者であったという。
  横山部隊の某将校は、六月五日の開封東北での戦いに、
 同じく徳勝で敵二人を芋刺しに刺し殺したが、鍔元までわけもなく通り、
 さらにその血刀で銃を擬していた敵の高小手を斬り落としたという話を、
 連絡に来たある兵隊が話していった。
 多分修理に来るだろうとの事で、心待ちに待ったが、遂に来なかった。
  包頭で見た小林少尉の佩刀は、慶應二年の裏銘のある徳勝で、
 二尺三寸六分、反りは三分、大幅厚重ねのもの、
 これも相当に斬って刃曲がりのしたものであった。
  長運齋綱俊〔ちょううんさい つなとし〕で、
 青龍刀の柄ごと敵の両手を斬り落とした話、
 一竿子忠綱〔いっかんし ただつな〕で片手斬りに横胴を三分の二ほど斬った話、
 手柄山甲斐守〔てがらやまかいのかみ〕で、鉄兜を割った話等々、
 いずれも陣中の評判話であったが、惜しいことに人名を逸した。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2012年11月16日 19時55分31秒


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: