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スケキヨ氏の Tactical Life より引用

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2021年01月14日

又〔また〕洪範〔コウハン〕（※書経周書の一篇）を武王に伝うることは、何ぞや。

　云う。洪範は、天の、禹王〔うおう〕にあたえ給えるなり。
殷〔いん〕の紂〔ちゅう〕、罪〔つみ〕窮〔きわ〕まりて独夫（※平民）となる。
故に、天又天下を以て武王にあたう。
洪範は聖主の天下を治むる大法なり。
天の天下をあたうる人につたうべし、何ぞ遺恨を以てこれを廃せんや。
平氏三種の神器を抱〔いだ〕きて海に入〔い〕りしごときの無道をよしというべきや。
天下古今のいたむ所なり。
箕子、周の臣たらずして、朝鮮にいたることは、周を非とするにあらず。
殷の世臣なれば、其の身一人の義を立つるなり。

　問う。王〔おう〕箕子に訪〔と〕うとある時は、
武王みづから屈して箕子に就〔つ〕きてたづね給う也。
箕子を召せども、箕子志を屈して至らざらんことを知り給えばなり。
朝鮮に封〔ほう〕じて寶〔ひん〕としたまうも、臣たらじの志を遂げしめ給う也。
是〔これ〕実に忠恕〔ちゅうじょ〕の道なるか。

　云う。しかり。
武王、箕子の志に随〔したがい〕て違〔たが〕い給わざるも、みづから其の道を伸ぶるなり。
屈するにはあらず。
平人よりいわばみづから高ぶるの私心を屈して、賢を尊ぶの天理を伸ぶるとやいわん。
箕子も、独夫のとらわれ人〔びと〕に礼を厚くし給うも、みづから天理を楽しむ也。
其の実は一〔ひとつ〕なり。

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