朝、目が覚めると下に寝てることに気づき、
昨夜のことを思い出す。
はっと起き上がってベットを見ると、
かぐや姫がすやすや寝ている。
夢ではなかったのだ。
起こそうかと思ったが、
しばらくこうして可愛い寝顔を見ていよう。
白い素肌に長い黒髪。
口紅をつけてないのに紅いのだ。
もの憂げに顔をしかめて、
伸びをしたかと思うと、
パッと目を見開き、目が合ってしまった。
「おはよう」
思わず照れ隠しに言う。
「おはようございます。」
まだ目が覚めやらないようだ。
「もう朝だよ。
お腹は空かないかい?」
「いいえ、
まだ空いてません。」
「でも、少しは食べなくっちゃね。
何なら口に合うかな。
パンしかないんだよ。」
「何でもいいです。
いろんなもの食べてみたいから。」
お姫様にしては気取りがないよな。
二人でパンをトーストして食べた。
牛乳とサラダも出したが、
「意外と美味しいですね。」と
ぺロッと平らげてしまった。
結構、食欲あるらしい。
痩せの大食いかも。
「僕は会社に行かなければいけないから、
君はここで留守番していてくれないか。」
少し心配だけど仕方がない。
「何をしていればいいのですか?」
「別に何もしなくていいよ。」
「ここを片付けてもいいでしょうか?」
見られて恥ずかしいものもあるから困るな、
と思いつつ、そうも言えない。
「片づけてもらうとありがたいけど、
どこにあるか分からなくなってしまうから、
端に寄せておいてもらえばいいよ。
それより、僕が帰ってくるまで、
決して外に出てはいけないよ。
危ないからね。
それに、誰かが来ても
ドアを開けないこと。
ここで話せばいいんだ。」
とインターホンを教える。
まるで白雪姫だな。
「はい、分かりました。」
素直にうなずくかぐや姫を見ていると、
可愛くて思わず抱きしめたくなってしまう。
「でも、もし外にでたくなったら
どうしたらいいのですか?」
おいおい、急にどうしたんだよ。
「それはちょっと待ってて欲しいな。
今日、服とか買ってくるから、
それまで我慢してなね。」
「じゃあ、服に着替えたら、
外に出てもいいの?」
目を輝かすかぐや姫。
これじゃあ駄目って言えないよな。
「明日ならいいよ。
僕も休みを取ってくるから。」
仕方なく、といっても、
デートかな、なんて思いつつ、
約束してしまった。
続き